第10話 とある呼び出しにて
職員室の前を通り過ぎいよいよ人気のない廊下を歩く。
この廊下は学園長の許可が下りるまで続く仕組みになっていて、許可のない者が立ち入ると永遠にさまよう事となる。
数メートルも進むとさっきまでの暗い廊下が消え、目の前に立派なドアが現れる。
じゃんけんで負けたルカが3回控えめにノックすると、重厚な扉はゆっくりと開き始めた。
完全に開いたのを確認して進むと、そこにはロココ調のアンティーク家具に囲まれた空間があった。正面奥にはデスクがあり、学園長は足を組んでこちらを見ていた。
「よく来たわね」
入学式、歓迎会と目にするのはこれが3回目であるが、未だにルカはこれが学園長だとは信じていない。
体のラインがしっかりと現れるスーツを着こなし、長い髪はポニーテールでまとめており、12センチのピンヒールと短すぎるスカートは近くで見るとより一層その個性の強さに圧倒される。ちなみに彼はいつも「綺麗すぎて女の子に間違えられたら困っちゃう」と口にするが、その軍人並みの体格と高身長のおかげで間違えられたことなど一度もない。大抵の新入生は入学式で彼を見て来る学校を間違えたと悟る。
「学園長、呼ばれた理由は一連の事件についてですよね?窓ふき以外の罰、決まりました?」
「こらレイちゃん。あんまり急かすような男は女の子に嫌われちゃうのよ?ねぇ、シャルちゃん?」
「私も早く言って欲しいでーす」
「んもう二人してせっかちなんだから。そっちのベイビー二人は緊張してるみたいね。可愛いわ、アタシ好みよ♡」
「……はぁ」
アドラーが困ったように返事をする。
「まぁ世間話もそこそこに、本題に入りましょうか」
学園長は一呼吸おいておちゃらけた態度から真面目な表情を見せる。
「貴方たち4人は先日の器物損害の罰である窓ふきすら最後までやり通さず、講堂のステンドグラスをも破壊。入学早々ここまで派手にやったのは久しぶりに見たわ。アタシそういうの大好きよ♡とはいえ損害額から見れば退学になるところだけど……新入生相手にそれは酷だと思うのよ。だからチャンスをあげるわ」
「チャンス?」
「そうよルカちゃん。私の願いを叶えてくれたらお咎めなしにして授業にも出席させてあげる」
「その願いって……」
「まぁまぁ無茶な事言いますね」
「乗るか反るかはあなた達次第よ」
そう言われてもルカたちにはやるか退学かの道しかない。
つまりハナから選択肢などないのだ。
示し合わせたわけでも無く全員が同じタイミングで首を縦に振った。




