#1996 ゼフィルスが装備するに相応しい最上級武器!
真の最強装備や〈装備強化玉〉のことをアルルやサトルたちに任せ、俺たちは昨日に引き続き、〈万界ダン〉へとやって来た。
早速10層にショートカット転移する。
「今回の私は守護型を担当ですわー!」
「アイ・アム・キノコ!」
「どう見てもキノコ要素が無いですよ?」
「アイ・アム・キノコ!!」
守護型ボス、クラリスにツッコまれてもめげず自分はキノコだと主張する〈ソルジャースキノコスター・オーバーマッシュ〉、通称〈オバキノコ〉は2班を含んだ3パーティが担当した。
「ソノマンマー!」
そして守護型ボスに挑んだ瞬間立ち上がってやってきたエリアボス〈ソノマンマー・クイーン・マママッシュ〉、通称〈ママキノコ〉群は、到着する前に〈オバキノコ〉が落ちたことで、〈エデン〉10パーティフルメンバーを相手に戦うことになってしまい即陥落。準備万端に待ち構えてたからね。2回目あるあるである。
「『ドロップ革命』ですわ!」
「〈金箱〉は――2箱!」
「中身はなにかしら!」
もう普通の〈金箱〉級までしかドロップしない〈ママキノコ〉のことは忘れ去られ、みんなの興味は守護型ボスの〈オバキノコ〉に移った!
おかしい、絶対エリアボスの方が強いのにね。
『ドロップ革命』でドロップテーブルを引き上げたとき、エリアボスである〈ママキノコ〉は希少ボスドロップになる。希少ボスの報酬は「〈金箱〉確定」のみなのだ。
対して守護型ボスを引き上げると徘徊型ボス級のドロップになる。
徘徊型はレジェンド級をドロップする。ドロップにレジェンド級が含まれている可能性があるのは守護型ボスなのだ。
もうシエラやノーアたちのいる2班は毎回守護型ボス戦決定だな。
クジ引きしてお祈りして〈金箱〉2箱をオープンする。
「これは――レシピ、しかもレジェンド色ですわー!」
「「「おお!」」」
早速レジェンド級来た!
引いたのはノーア。引きが強い! さすがは革命娘だ!
「『解読』します! これは――〈杖王・キングクリスタル〉! 杖装備のレシピですね」
「「「「おお!」」」」
「いきなり杖のレジェンドキターー!!」
「杖王!?」
杖の汎用装備だ。
名前はまさかの杖王。
そりゃ強いさ! 能力値もかなりの高さ。さすがの高さだ。生産職の頑張りによっては魔法力が驚異の4桁に届く可能性も高い。
これ、マリー先輩のところのエルフさんにはがんばってもらわないといけないな。
そのエルフ男子も、そろそろLV100に届くはずなんだよ。
「〈デブブ〉からドロップした杖よりもだいぶ数値が高いわね!」
「あっちは〈金箱〉級だからな。〈能玉〉も早く作ってもらいたいぜ」
『能玉化』はこの前の真の最強装備パーティーの一件でうっかりやりそびれたんだ!
こっちも帰ったら早速メイリー先輩に打診しよう!
「それじゃあもう1つの〈金箱〉ね!」
「では僭越ながら、私が」
残りの1箱を開けるのはクラリスだ。
「クラリス、しっかり祈るのですわ! そうすれば〈幸猫様〉たちは応えてくださいますわ!」
「さすがはノーアだ! よく分かってる! その通り、祈りは届くんだ!」
「…………頑張ります」
ふっふっふ、ノーアは〈幸猫様〉とお祈りの重要性について、だいぶ分かってきているな。これはもしかしたら、次代のギルドマスターのポストに一番近いかもしれないぞ? ふはは!
「では、オープンです――これも、レジェンド色のレシピです!」
「「お祈りが届いたー(届きましたわー)!!」」
さすがは〈幸猫様〉だ!
クラリスのお祈りが届いたに違いない!
俺はノーアと思わずハイタッチをキメたんだぜ。
すぐにエステルによって『解読』すれば、これはなんと――。
「これは――〈太陽王剣・ガラティーン〉のレシピと出ました!」
「「「「〈ガラティーン〉!?」」」」
「最上級のガラティンキタ!?」
なんということだ。
それは太陽の力が宿る聖剣の一種、俺が1年近く使っていた上級武器〈陽聖剣・ガラティン〉の最上級版だったのだ!
しかも、今度はレシピで作製可能!
「こ、これはゼフィルスの武器ね! ゼフィルスが使うべき剣だわ!」
「はい。ゼフィルス殿が〈ガラティン〉を使っていた時のことは今でも鮮明に思い出せます」
「あの時の、太陽のように輝き私たちを導く様子、とても印象に残っておりますわ!」
ラナが言いだし、エステルも肯定する。
ノーアたち2年生なんか、加入した当時俺が〈ガラティン〉を使っていたからか、これを使っている印象が強いようだ。
あとから入ってきた組はよく分かってない様子だが、アリスやキキョウたちに教えてもらっているな。
「それじゃあこれは、帰ったら早速アルルに真の最強装備にしてもらうか!」
「いいわね! まず1つ目よ!」
幸先良き!
まさか〈ガラティーン〉のレシピがドロップするとは。
これを最終装備にしてしまっても良いんじゃないかという素晴らしい能力値だよ。
とはいえこれもまだ通過点。俺が求める最終装備は、ランク5のさらに先にあるのだから。それが手に入るまではお世話になります!
一瞬〈エンペラーゴブリン〉がドロップした剣レシピが頭を過ぎったが、すまん〈エンペラーゴブリン〉……俺はこっちを採用する!
なんだか「ガーン!?」となっている〈エンペラーゴブリン〉の姿が見えた気がしたが、きっと気のせいだろう。
アルルに良いお土産ができてホクホクしつつ、俺たちは次の11層へと進むのだった。
「さあ次は11層だ! 初級は10層で最後だとすれば、11層からは中級下位級のフィールドが広がっている可能性が高いぞ!」
「中級下位とか懐かしいわね!」
「それでゼフィルス、11層はどこのダンジョンを追想しているのか、予想はついているの?」
俺の宣言にみんなが気を引き締めたのが分かった。
ラナのようにワクワクしているメンバーも少なくないけどな!
シエラが神妙にして問うてくるので俺は鷹揚に頷いて答える。
「最初に登場するとなると――〈楠玉の遺跡ダンジョン〉、〈三本の木橋ダンジョン〉、〈盗鼠の根城ダンジョン〉のどれかだろうな」
「? 聞いたことないわね」
「確か、中級下位で人気のダンジョンの名前、だったわね」
「攻略が楽だと評判のダンジョンですよラナ様」
俺の言葉にやる気満々だった初期メンバーたちが一瞬思い出せなくて、いやラナなんて結局思い出せなくてエステルから教えてもらってるな。
中級下位とか、特に通過点だったからなぁ当時の俺たち。
上級生が多すぎて、比較的簡単なダンジョンに人が多く詰めかけていたために、不人気で周回のできるダンジョンばかり行っていたためだろう。
故に、今回ちょっと楽しみだったりする。
ちなみに〈エデン〉の古参メンバーズや、2年生で〈エデン〉以外のギルドに加入したことがないメンバーは、みんな俺とほとんど同じ道を通っているので分からない様子だが、他のギルドを経由したラウやルキア、ゼルレカやシヅキなどは「え? うそ知らないの?」「マジで?」みたいな驚愕の表情を顔に貼り付けていたよ。
どうやら〈エデン〉とその他とで、認識と常識に深い不一致がある模様だ。
「ま、入ってみれば分かるだろう! さあ、行くぞ!」
「どんな相手が待ち構えていても倒せば問題ないもんね!」
「……分からないことがあれば聞いてくれ。できる限り情報を教えよう」
「ありがとなラウ。だが大丈夫だ。俺だってしっかり情報は仕入れてあるからな!」
「そうか……。なら、大丈夫か?」
「おう! 大船に乗ったつもりで安心してくれ!」
ラウが情報提供を提案してきたが、その後の返しになぜか疑問風だったのが少し気になった。大丈夫だよ?
こうして俺たちはいよいよ10層の階層門を潜り、11層へ到達する。
そこは、大量のクス玉がそこら中に垂らされている、遺跡風のダンジョンだったんだ。
「ここは――〈楠玉の遺跡ダンジョン〉だ。間違いない」
経験者のラウがそう言ったことで、〈エデン〉の半数近く、いやもっとかもしれないメンバーたちが「ほほう、ここが」みたいな雰囲気で辺りを見渡していた。
「おかしいな。中級に進出した学生がまず初めに入ダンするダンジョンのはずなのに、なぜ〈エデン〉は知らないんだ?」
「ラウ君、細かいことは考えない方がいいよ? だって〈エデン〉だもん」
「…………そうだな」
「アリス、キキョウ、2人ともマジでここ来たことないのか!?」
「うん。初めてなの~。こんなにパンパカパーンがあるところ初めて見たの~」
「あ、アリス勝手に触ってはダメだよ? 前にこんな感じのクス玉で爆弾を落としてきたボスが居たでしょ?」
「マジで知らないのかよ……」
一部のメンバーがカルチャーショックと言わんばかりに打ちひしがれているような気がしたが、きっと気のせいだろう。
〈エデン〉のメンバーってみんな高位職で強いから、ここに来る必要って無かったんだよね。




