#1965 上級職ランクアップ!キャロル・エミメナ編!
「次はキャロル行こうか!」
「はい~、お願いしますですよ~」
ナゴが終わると、次に指名したのは【観測者】のキャロル。
少し緊張しているのかな? しますの後にですよ~がくっついている。
どうやらナゴが上級職になったことで、自覚が強まったようだ。
「キャロルは上級職、【ダンジョンシステムオペレーター】に就いてほしい」
「噂に聞くゼフィルス先輩のおすすめですね~。普通の【オペレーター】の上ですか~?」
「だな。【オペレーター】はただの上級職、中の上だが、【ダンジョンシステムオペレーター】は上級職、高の下だ。高位職だぜ?」
「もちろん受け入れます~」
俺が示せば、キャロルは即で受け入れを表明した。
高位職から高位職への〈上級転職〉である。断る理由がないな!
ということで、早速〈上級転職〉に必要なものを渡す。
「【ダンジョンシステムオペレーター】に就くには、専用の装備が必要なんだが、知ってるか?」
「専用装備。聞いたことがあります~。確か、【フリーダムメビウス】には必要だって~。それが【ダンジョンシステムオペレーター】にもあるってことです~?」
「お、ご明察だな。さすがは同じ〈調査課〉だ。今キャロルが言ったように【フリーダムメビウス】には〈メビウスの輪〉という専用装備が必要で、これを持っていることが発現条件となっている。他にも【憤怒】を始めとした【大罪】系の職業にもこの特徴が見られるな」
発現条件に専用装備が必要な職業というのは少ないが存在する。
その代わり、発現条件が解明されている職業が多いんだけどな。
「というわけでキャロルにはこの〈オペレーターのキー〉を渡そう」
「ありがとうございます~」
俺たちが上級ダンジョンに初入ダンした1年生の頃にエリアボス周回中に大量にドロップした装備の1つだ。
これが手に入るかは運なので、俺は〈上級転職〉の発現条件が揃えやすいカイリの【ダンジョンインストラクター】推しだが、【ダンジョンシステムオペレーター】は専用装備が必要な分、かなり特化して色々調べることが可能だ。
エリアボスの位置はもちろん、道の把握、カイリではできない階層門の場所の把握から、エリアボスが動き出す条件なども看破できる優れた性能を持っている。
今リーナとカイリの2人で丸裸にしている最上級ダンジョンも、キャロル1人居れば丸裸にすることが可能だと言えば【ダンジョンシステムオペレーター】の凄さが分かるだろう。さすがは専用装備持ちの調査特化職だ。
加えて〈信じる心〉を取り込めば、準備完了。〈信じる心〉、補充しておいてよかったぜ。
あとはキャロルに〈上級転職チケット〉を渡すと、キャロルは少し緊張の面持ちで〈竜の像〉に手を置いた。
「あ、【ダンジョンシステムオペレーター】、ありました~」
「よし、タップだ!」
「はい~」
ジョブ一覧を見て安心した表情のキャロルが、今度はしっかりと迷いなく【ダンジョンシステムオペレーター】をタップする。
他の一覧が消え、【ダンジョンシステムオペレーター】がキャロルの上に輝いた。
「おめでとうキャロル、これでキャロルも【ダンジョンシステムオペレーター】だ」
「ありがとうございます~。感謝いっぱいです~。これからみなさんのお役に立てるよう精一杯頑張りますね~」
「期待しているぞ!」
これで2人目。
カイリの後任となる非常に優秀な職業持ちの出現だ!
〈エースシャングリラ〉の今後の活動に、必ず力になってくれるだろう。
今からキャロルの活躍が楽しみだ。
「それじゃあ次、エミメナ行こうか」
「頑張ります。頑張りますので終わったらご褒美ください。できれば、お菓子的な物を――うぐっ!?」
「もう~エミメナちゃんたら~。この〈上級転職〉が途方もないご褒美だとちゃんと自覚しないとダメですよ~?」
「キャロちゃん、顔に似合わない手刀をガラ空きのボディに決めないでください……」
すれ違いざまに一撃。
エミメナのセリフに笑顔のまま怒りマークを宿したキャロルが制裁を加えていたんだ。なかなかに手慣れている感。
「はい~、エミメナちゃん挨拶忘れずに~」
「ううっ。私はわがまま言いました。〈上級転職〉のご指導、ご鞭撻、よろしくお願いします」
「おう。任せておけ!」
エミメナの教育はキャロルに任せておけばよさそうだな。エミメナはがんばれ。
「エミメナに就いてほしいのは、〈転職〉の時にも言ったが【メドゥーサ】だな」
「はい。覚えています。〈石化〉の状態異常を中心に、ほぼすべての状態異常を操ることができる上に、デバフとヒーラーもこなせると」
メドゥーサとは髪が蛇になり、見つめた相手を石にすることで有名な怪物だ。
だが、怪物になる前はそれはそれはとんでもない美少女であったとされており、女神の中でも有名なアテナとその美貌で競ったとも言われている。
だからか〈ダン活〉では〈石化〉の状態異常と同時に癒しの力も与えることのできる「女」カテゴリーのみ就ける職業となっていた。
【ナイトメア】も反転ヒールという攻撃と回復の二面性を持っていたため、そこからの系列で〈上級転職〉できるとなっているな。
「だな。今一度確認したいんだが、【メドゥーサ】で問題は無いか?」
「はい。エリサ先輩と同じ【睡魔女王】も良いですが、道を示してくださったときに言われた先駆者としての道を歩みたいと思います」
「そう言ってくれて嬉しいぞ!」
エリサも【睡魔女王】の先駆者だ。
【悪魔】系はこれまで3種も判明している。しかし、最後の1種、【メドゥーサ】だけはまだ誰も就けてはいなかった。まだちょっと憧れが足りないな。
だからか、最近は【悪魔】よりも【天使】の方に就く学生が多く、〈天使の聖剣〉ギルドが台頭してきているほどだ。
ここで【悪魔】の地位を上げ、最後の1職も先駆者を育てておきたい考え。
「それじゃあ発現条件の最後のやつを満たそう。〈天杯の宝玉〉だ。受け取ってくれ」
「は、はい!」
【ナイトメア】に〈転職〉した時からすでに【メドゥーサ】になる方向に育成してきたため準備は万端だ。
故に残りは宝玉。魔王系になるときにも使用する〈天杯の宝玉〉だ。
エリサやシヅキもこれを使って【睡魔女王】や【ルシファー】に至ったが、当然【メドゥーサ】にも必要だ。
「つ、使います」
少し躊躇した様子だが、すぐに使用し、光の粒子となった宝玉が震えるエミメナに吸い込まれていく。
「これで準備はそろったはずだ。それじゃああとはこの〈上級転職チケット〉をもって〈竜の像〉をタッチすれば現れているはずだぜ」
「う、受け取ります」
「エミメナ頑張れー」
「うい~」
だいぶカチコチの様子のエミメナにキャロルから応援が飛ぶ。
どうやらエミメナは緊張に弱いらしい。
「あの、ちょっとだけアメを舐めてもよろしい、でしょうか?」
「本当は飲食禁止だが、見なかったことにしよう」
「あ、ありがとうございます! はぐ! 甘い~、緊張が解けていくようです~」
俺に許可を取って明るい表情になったエミメナが素早く飴を口に入れ、そしてすぐに幸せそうにとろけた顔をし始める。さっきまで緊張で顔がこわばっていたのに、もうそんな様子もないな。
エミメナがお菓子好きなのはこれも理由っぽい。本人曰く、お菓子を食べると緊張をほぐせるのだそうだ。
これも、緊張せずにヒーラーができた理由だとこの前話してくれたんだよ。
「もういけます!」
「おう、行ってこい」
「えい!」
緊張が解けた様子のエミメナが〈竜の像〉に触れると、そこに出てきたジョブ一覧にはしっかり【メドゥーサ】の文字が載っていた。
そしてエミメナ、すぐにそれを緊張した様子も見せずにタップしていたんだ。飴ちゃん効果すげぇな!
「おお、おおおお!」
そうしてエミメナの上に輝く【メドゥーサ】の文字。
「わきゃ!?」
「わ!」
「これって! 覚醒の光です~!?」
そして現れるのは、上級職、高の上でSUP36以上の職業に就いた時にのみ発生する――覚醒の光!
緊張がほぐれたはずのエミメナもこれにはわたわたしてたんだ。ちょっと体も浮くしな。パシャパシャ。
「か、体が勝手に動いちゃうです!? これが覚醒の光ですか!?」
「エミメナ、キレイですよ~」
「あ、こっちに目線くれ」
「ゼフィルス先輩は何をしてるんですかー!?」
何ってもちろん記念の撮影だよ!
わたわたしつつも無事に覚醒の光を終え、着地するエミメナ。
ちょっとお疲れ気味の様子。
俺はそこにしっかりとお祝いの言葉を贈ったんだ。
「おめでとうエミメナ。これでエミメナも今日から【メドゥーサ】だ」
「あ、改めて、ありがとうございます。ゼフィルス先輩……」




