#1947 海で途中休憩お昼タイム。ミリアス先輩渾身作
「はいはーい! そろそろお昼にするよー!」
「おおっとミリアス先輩の直々のできたて料理だ! 行くぞヴァン! 倒れてる場合じゃないぞー!」
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、お昼時間。
毎年俺が仕切ってバーベキューの準備をしていたのだが、今回はその道のプロ、ミリアス先輩が直々に作ってくれたのだから最高。
あのほっぺがもちーんと落っこちそうな料理が食べ放題とあって一気にみんな集まってくるんだ。
ちなみに1番はカルア。むしろミリアス先輩が声高く呼んだ瞬間にはすでにそこに居たよ。
「はっ!? ここはどこでありますか!?」
「ようやく起きたか。お昼ご飯の時間だぞヴァン」
ちなみに午前の時間の大半を気絶して過ごしていたヴァンは、なぜか城内に誰かが置いた玉座っぽい椅子の上に座らされていた。
気絶していても城が消えないのが良き。
え? なぜヴァンが気絶していたのかって? 理由がいっぱいありすぎて分かりませんね! 女子はみんな眩しいのだ。
他にも大勢連れて巨大タープの下へと向かう。するとそこには大量のテーブルと椅子が設置され、さらに屋外バイキング!? とでも言うような驚くほどの料理が並んでいたんだ。何これすげぇ!
「「「おおー!」」」
「しゅごいですミーア先輩!」
「ええ! どれも目移りしてしまいますわ! いけません、これはいけませんわー!」
「た、食べ過ぎちゃわないように注意しないと……!」
ミリアス先輩と仲の良いシレイアさん、アルストリアさん、ハンナが目を輝かせているが、同時に懸念もあるような悩ましい表情もする。
食べ過ぎるとあれだ、身体のサイズが変わるからね。特にお腹。
「ん! 美味しい! どれも、これも、絶品! おかわり! カレーも3倍追加!」
「3倍追加!? う、うむ。カルアなら大丈夫か。お腹の心配が無いのは羨ましいな……」
3倍追加とはなんだろう? まあ、カルアのぽっこりお腹は可愛いので問題はないのだろう。リカがとても羨ましそうにカルアを見ていたんだ。
俺もいただこう。まずは厚切りのローストビーフからがっつりいく!
「あむ。おおう!? こ、これは美味い! ただの塩味なのに、これたまらなく美味いぞ! 次は魚介類いくぞー。―――カニ最高ー!」
「よかったよかった~。勇者君――じゃなくてゼフィルス君に気に入ってもらえたみたいだよ~」
「おおミリアス先輩! これすっごく美味しいぞ! 改めて、お昼ご飯作ってくださりありがとうございます!」
「いいのいいの! マリーとかメイリーがあのウォータースライダー作ったんでしょ? 他にもソフィやアルルちゃんも手伝ってるって言うし、私も手伝わないとね!」
「いやぁありがたい。俺が作るバーベキューより全然こっちの方が良いぜ!」
ミリアス先輩を大絶賛で褒める。つい夢中になってみんなと遊んでしまいほとんど任せてしまったが、さすがは本職だ。100人以上が満足する量をこれだけ美味しく作りあげるなんてな。
これと比べると俺のバーベキューは、まあ素人に毛が生えたような感じに思えるぜ。
「私はゼフィルス君が作ってくれるバーベキューも好きだったよ?」
「そうですわ。海でバーベキュー、あれも乙なものでしたわよ」
「ですです! わ、私もバーベキュー好きでした」
するとハンナ、アルストリアさん、シレイアさんからのフォローが! くぅ! そう言ってもらえると一昨年と去年、試行錯誤しながら用意したあれこれが報われて嬉しい!
というか、ミリアス先輩がバーベキューを用意しなかったのってそういうことか? 俺と被らないようにして思い出を上書きさせないように配慮してくれたのかも!
さすがはミリアス先輩だ!
「う、うう、ううう~」
「これ美味しいです! とても美味しいと二重丸に花丸まで付けちゃいますよ!」
「私も~美味しさに毛並が良くなる~」
チラッと初参加の1年生ズを見ると、フェンラが感動しながら食べ、クラが審査員のように溌剌ハキハキし、マルティがおいしい物を食べたことでツヤツヤになってた。ミリアス先輩の料理すげぇ。
ソアたちはどうかな?
「ううん最高! ねぇねぇミツル君! 次はエビ食べよう! これすっごく美味しかったんだよ!」
「だから姉ちゃんは僕の皿に勝手によそうの止め――むぐっ!? って美味ぁー!?」
ソアが感動したエビをミツルの皿によそおう、と見せかけてミツルの口の中に突っ込み、ミツルが感動にキラキラしていた。仲がいい。
「あ、ユナそれ何、どこにあった?」
「デザートです。うん、美味しいです。甘いです。最高です。向こうにありました。シオン先輩もどうぞ」
「いってくる。マシロンもいこう」
「は~い、シオンちゃん待って~」
堅物そうに見えるユナは意外にも甘いものが好きだった。
表情がキリッとしてるのに甘い物をパクッと食べると顔がとろけるほど崩れているのが面白い。そしてまたキリッと表情を立て直し、甘い物をパクリ。とろとろ~ってなってる。意外な発見だ。
ん? アレはミアハ? ヴァンの所へ向かっているな。同じ【城主】系の先輩後輩として仲を深めようというところか? なんだか先の展開が読めた気がするぜ。
「ヴァン先輩! 今日はウォータースライダーの城を作ってもらい、ありがとうございました! あれすっごいですね。城をあんな風に使うなんて私、すごく感銘を受けたんです! あんな使い方があったなんて、私、もっとヴァン先輩に色々教わってみたいんです!」
「…………」
「あれ? ヴァン先輩~?」
ほほう。【御館姫】のミアハはあのウォータースライダーの土台となっているヴァンの城に感銘を受けたらしい。だがミアハよ、ヴァンはすでに椅子に座りながら器用に意識を飛ばしているぞ。ミアハは大きいのだ。今まで同じ系統の使い手であるにもかかわらずヴァンとミアハがそれほど接点がない理由である。
あ、シャロンがフォローに向かったな。
「おーっほっほっほ! なら午後はビーチバレーで遊びませんこと?」
「受けて立ちます~」
ぬ! この声はノーア!
それに【ナース】から〈上級転職〉し、【メディカルキャラバン】になった女子、ユルシィの声だ!
ざわつく男子。それはそうだろう。なにせノーアの胸部装甲は……。
それがビーチバレー? 特に同学年の騎士男子たちはいきなり円陣を組んでたぜ。
また、ユルシィは同学年でおそらくクラリスに次ぐノーアの仲の良い友達だ。
第三回大面接では、ノーアの推薦で加入してもらった、ゆるいしゃべり方のゆるふわ女子で、三つ編みのおさげが可愛いヒーラーだ。目と髪は黄色で、どちらかというと村娘みたいな素朴さがあってノーアの対極に居るような感じなのだが、見た目と違って能力は非常に優秀。ノーアとも大のお友達になるほど何かが噛み合っているのだとか。なお、クラリス談である。
ちなみに今は黄色のワンピース水着に身を包んでおり、非常に普通っ子。
あと、マシロやシオンとも結構仲がいいようだ。
「ゼフィルスさん?」
「んお!? な、なんだリーナ?」
ノーアの言動に気を取られていたら逆側から突如リーナに話しかけられる俺。
なぜかびっくりしてしまったんだ。なんでびっくりしたかは秘密なんだぜ。
話しかけてきた時のリーナは笑みを貼り付けたような顔をしていたのだが、徐々に頬が赤くなり、いつもの豊かな表情へと戻っていく。
「そ、その、よろしければ午後は遊びませんこと? もちろん2人で、ですわ。その、水上バイクでタンデムとかどうでしょう?」
「それはいいな! よし、それじゃあリーナ、食べ終わったら水上バイクに一緒に乗ろうか!」
「はい!」
盛り上がりまくったお昼も食べ終わり、ミリアス先輩が笑顔で「片付けも任せて!」といって纏め始めたため、俺はお言葉に甘えることにした。
よーし、午後はまずリーナとタンデムだ!




