#1939 秘密のプライベートビーチで今年も水着姿!
「ここが、〈エデン〉のプライベートビーチ!?」
「すごいです。というかなんですかここ!?」
「とても綺麗……思わずホロリ」
隠し扉を抜け、洞窟内をある程度進んで抜ければ、そこにあったのは高い崖に囲まれた秘密の入り江。〈エデン〉のプライベートビーチだった。
初めてここに来た〈エースシャングリラ〉の面々が茫然としていたな。
ソアは純粋に驚き、ミツルは丁寧な口調が崩れているし、シオンはなんか感動でホロリしていた。それ以外にも、
「ここがハンナちゃんが言ってた秘密の入り江! ここでハンナちゃんはゼフィルス君に水着アピールしてたんだね!」
「わーわー! ミーア先輩声が大きいです!」
「なんだかワクワクしますね。ここを、自由に使ってもいいのですか?」
「秘密の入り江! テンションがふつふつと上がってくる~!」
「わかるです。インスピレーションが湧いてきますね」
生産7人衆の中ではここに来たことが無いミリアス先輩、ソフィ先輩、レンカ先輩、タネテちゃんも感動しているようだな。
もっとはしゃいでくれていいぞ!
「それじゃあ早速設営だ! 男子集合! ――セレスタン、道具を出してくれ!」
「お任せくださいませ。――サトル、サポートを」
「おっしゃー!」
ドドドンっと積み上がっていく道具を前に男子が集まって、作業開始だ。
「まずは更衣室の設置からだな! これはマリー先輩、アルル、頼めるか?」
「任しときぃ! さすがにこればかりは兄さんには任せられへんからな!」
「早速取りかかるで!」
「こっちはメルト、ヴァンを中心に日陰作りと設営だ! 場所を確保して拠点を作るぞ!」
「了解だ」
「任されたであります!」
まずは遊ぶための拠点作り。
女子たちは奥の宝箱があった洞窟で着替えてもらい、男子はテントなどの設営だ。
これが終われば水着姿の女子たちを見ることができるとあってテンションが上がる! ふふふ、速攻で終わらせてやんよ!
「ゼフィルス先輩、これ、これも男子がやらなくちゃいけないんですか?」
「そうだミツル、がんばれ! 大丈夫だ、この後ご褒美的なものも待っている。全ては俺たちの頑張りに掛かっているんだ!」
一部、男子だけが水着素材を集めたり、設営をしたりすることに不満がある男子もいるようだが、それも今だけだ。彼らは水着というものを知らないのだ。
知れば分かる。分かるのさ!
そう思っていたところに、トラブル発生。
「ぐはぁ!?」
「な! ヴァーーン!? どうしたーー!?」
「ヴァンが気絶している!」
「どういうことだ!?」
ヴァンが突然の気絶。ホワイ? いったいなぜ!?
しかし、その原因は即で判明する。
「おーっほっほっほ! ゼフィルス様ー! お手伝いさせていただきますわー!」
「ちょ、お嬢様、男子の目のあるところでいきなり着替えてはいけません!?」
「おお!?」
とてつもなく強力な胸部装甲の持ち主が現れたからだ。
もちろんノーアのことである。ノーアは下手をすれば3年生のエステルを超えかねない実力者、だと思っていたのだが、風の噂曰くどうやらすでに超えているらしい。
圧倒的なその威力がドカンと放たれ、ヴァンが何にやられたのかを雄弁に物語っていたんだ。というかクラリス、今ここで着替えたって言わなかった?
「大丈夫ですわ! 〈マイセット早着替え〉はもはや着替えの域を超えています! 一瞬で服が変わるのですから殿方の前で着替えても安心ですわ!」
「その影響で殿方が意識を飛ばしていますよお嬢様!」
そう、ノーアの腕に巻かれていたアイテムはとても見覚えがあった。それ〈マイセット早着替え〉じゃん!
ヴァンがぶっ倒れた理由も判明。エステルを超える胸部装甲の持ち主が目の前で着替え(?)をしたんだからそりゃヴァンは倒れるよ!
「ゼフィルス様、どうでしょうこの水着?」
そう言って惜しげもなく身体――じゃなくて水着を見せてくるノーア。
その水着は空を思わせるスカイブルーのホルタービキニ。首に回った布で吊り上げるように豊かな胸部装甲を持ち上げているが、非常に大変そうという感想が最初に来た。あの質量を持ち上げている大儀な布に敬礼! とても素晴らしいです!
「とても似合ってるぞノーア! まるで海に降臨した女神のようだ」
「まあ! 女神だなんて、嬉しいですわ! ――ささ、次はクラリスですわよ。さっさと早着替えを済ませてしまうのですわ!」
「この男子の注目の中で早着替えができるのはお嬢様だけですよ!? というか、あとで怒られちゃうんじゃないですかこれ? 最初にお嬢様クラスのインパクトを見たら、後発の女子は嘆きますよ?」
「あら?」
女子がみんなマリー先輩とアルルで造った簡易更衣室へ向かったのに、ここで一瞬で着替えてしまったノーアは文字通り男子たちから注目の的だ。
ヴァンはぶっ倒れてるし、他には――あ、ミツルも倒れてんじゃん!
ミツルも初心なタイプか? どうやらノーアのインパクトが予想以上の被害を生んでいるらしい。だが、これで分かっただろうミツル?
「とにかくお嬢様はこの麦わら帽子を被って知らぬ存ぜぬで海でも見ていてください! あ、パレオも巻いてください!」
「みなさん〈マイセット早着替え〉があるのですからこっちで着替えればよろしいのに」
「いえ、その結果殿方が2名ほどですね!?」
うむ、後はクラリスに任せよう。がんばってノーアの認識を修正してほしい。
〈マイセット早着替え〉の活用は非常に有意義だ。証拠に、俺たちも使おうと思ってたからな。しかしまさか女子、しかもおそらく〈エデン〉でトップクラスのスタイルを持つノーアがいきなり使ってくるとは予想外だったぜ。
これも、ノーアが自分の身体に絶対の自信を持っている証左なのかもしれないな。
「は!? 僕はいったいなにを?」
「ミツルよ、起きたか。もうダメかと思うたぞ」
「サンダダ? あれ? 僕は寝ていたの?」
あ、ミツルは起きた。なお、記憶は飛んでいる模様。
あんな記憶を飛ばしてしまうなんて、ミツルよ、不憫すぎるぞ。
あとで何か奢ってあげよう。
「ミツルよ、動けるか?」
「う、うん。じゃなくてはい! あれ? でもなんだかすごくやる気が出てきたような?」
ふむ、記憶は無くても覚えていることはあるらしいな。
他の男子もノーアの登場で一瞬でやる気爆発。さっきの不満はどこへやらという勢いで準備に奔走し始めたんだ。
ノーアナイス!
心の中でノーアにグッジョブを送りつつ、巨大タープで日陰を確保し、人数分のビーチチェアなどを出していく。
結局ヴァンは幸せの天国に旅立ったまま帰ってこなかったのでビーチチェア一番乗りはヴァンになった。
これ状態異常の〈気絶〉じゃないから状態異常の回復ポーションじゃ起きないんだよなぁ。あ、そういえばこの前、気絶から即復帰できる伝説のお茶が存在するとか噂を聞いたっけ。今度ヴァンのために探してみようか。
「ゼフィルス! 待たせたわね!」
「その声は、ラナ!」
設営が終わり、俺たち男子も〈マイセット早着替え〉で着替え済み。
あとはいよいよ女子たちがくるのを待つだけという段階で、最初に響いたのはもちろん、我らが王女様の声だったんだ。
「こっちに振り向くことを許すわ!」
男子たちの女子を待つポーズは――海を眺めるである。
後ろで女子が更衣室から出る様子は見てはいけないのだ。
あと女子が許可してくれるまで、男子はそのまま待機である。
だがここでお許しが出た。
俺はゆっくりと振り向いたんだ。
「おお!」
「どうゼフィルス? 似合うかしら?」
そこに居たのは、ラナと護衛のパメラ。エステルやシズはいないぞ。理由は言わなくても分かるな?
ラナが着ていたのはスカートの付いた白をベースとしたワンピース水着。スカートには可愛らしい青系のフリルが入っており、非常に清楚というか、浄化されそうな色合いを醸し出していた。腰には小さくて可愛い花のポーチと白ベルトがチャームポイント。シンプルなれど可愛くも美しい、そんな仕上がりの水着だった。
「さらに追加デス!」
「おお!」
ここでパメラが取り出したのは白で透けている羽衣。
それを着たことでラナは、一気に聖女っぽい見た目になっていたんだ。
「どう、ゼフィルス?」
「すげぇ。可愛くも可憐に見える。まさに聖女だ。俺にはラナが聖女に見える。なんて似合うんだ……!」
「も、もうゼフィルスったら本当のことを! 照れるじゃないの! もっと褒めていいわ!」
俺の褒め言葉に顔を赤くしたラナが照れつつもドヤっとして次を催促してきたのでそのまま言葉を尽くして褒めまくった。
ちなみにパメラが着ていたのは黄色のビキニタイプ。
お腹の辺りで布がクロスして上下が繋がっているのでビキニじゃないかもしれないが。なんか忍者っぽくてパメラに似合っているんだぜ。
「ラナ殿下、そのくらいで、そろそろ交代してくれないかしら?」
「あ、シエラたちも来たのね! 私はもう十分堪能したからいいわ! シエラもたっぷりとゼフィルスに褒めてもらうのよ」
「…………」
ラナがとてもドヤっとして横に退くと、次に出てきたのはシエラが1人。
しかしその後ろには中々の列が続いていた。どうやら今年も来てしまったようだ、このイベントが! 俺の褒め言葉ストックは十分貯めてきたぜ!
まずはシエラ、美しい!




