#1902 第五回大面接!〈錬金術師〉部門、開始です!
早速作ってもらった。
〈ポーション〉作りはハンナ曰く、【錬金術師】としての基本だそうだ。
【闇錬金術師】だと作れないのですがそれは……? まあ細かいことはいい!
基本がしっかりできていれば伸びる。やる気や憧れ、丁寧さなんかが加われば最高だ。
その辺をしっかりとチェックしていくのだ。
ただ、その途中でハンナが今気が付いたとばかりにとある質問を投げてきたんだ。
「ねぇゼフィルス君、ちょっと聞きたいんだけど、男子さんは入れてもいいの?」
「な、なんでそんなことを聞くのかね?」
なぜかドキンとしたのは、気のせいにしておくんだぜ。
俺は一度も男子に入ってほしくないなんて言った覚えはない! だから大丈夫だ。
「うーん、セレスタンさんやミサトさんに少し聞いたんだけど、男子さんって〈エデン〉に加入しづらいんでしょ?」
「ああ、なんだ。そっちか」
てっきり俺が女子だけを選んで加入させているのではないかと疑われているのかと思ったぜ。ふう。もちろんそんなことは欠片も無いぞ?
「そっち?」
「いやなんでもない。そうだな。〈エースシャングリラ〉でも男子の受け入れを積極的にしているから、〈アークアルカディア〉で受け入れをしない理由にはならないな」
すでにサトルやソドガガ、タイチという男子もいる。これがメンバー全員女子ならば躊躇うが、すでに男子もいるんだから問題は無い。あれ? でも3人だっけ? 〈アークアルカディア〉は男子が4人だったような……。気のせいだったか?
「そっか、うん了解」
「…………まさかとは思うが良い男子でもいたのか?」
「え? えっと、私じゃなくてシレイアさんがね、面白い子を見つけたんだって」
「……ほう」
室内でシレイアさんを探せば、1人の男子の前でその手際を真剣な表情で眺めているシレイアさんを発見できた。
50人ずつの面接だというのにあんなに1人に集中されてはハンナも気になってしまうのも分かるな。あの男子はチェックしておこう。
「なるほどなるほど。ちなみにハンナはよさげな子はいたか?」
なぜかハンナの気になる相手が知りたくなってしまった俺です。
思わず小声で聞いてしまったぞ。
「え? えっと、1人ね、すっごく上手い子がいるんだよ。ほら、あの子だよ」
ハンナも小さな声で返してくる。とても良い。ハンナボイスは和むんだよ~。
おっと和んでいる場合ではない。これは真剣な調査なのだ。
ハンナの視線の先にいる相手は――女子! セ、セーフ(?)。
「あの子、〈錬金術課〉では珍しいけど、【合成師】なんだって。私たちにできないこともやってくれるだろうし、手際もいいから、さっきから気になってるんだ」
「ほほう。いいね。【合成師】か」
――【合成師】。
それは【錬金】系列の職業の1つで、ハンナの言うとおり【錬金術師】と大体は同じことができる生産職だ。
錬金釜を使っての合成もできるし、〈ポーション〉系の作製もできる。
違うのは得意な方向だな。
なんと【合成師】は、すでに完成しているポーションに、もう一手間加えることが可能なのだ。極端なことを言うと、〈ポーション〉と〈ポーション〉合成して〈ハイポーション〉を作ったり、とかな。
その名の通り何かと何かを合成して全く新しい物を作りあげるスキルがあり、これが【合成師】の真骨頂。
レシピに拘らず、要らない素材同士、いらない武器同士、要らない〈ポーション〉同士を合成して、新しく有用な素材や武器、〈ポーション〉を作ってしまうのだ。ちなみになにができるのかはランダム要素もあり、「なにこれ!?」と驚くような強力な装備ができてしまうこともあれば、「ああ、うん。こんなもんだよね」という程度のものができることもある。
レシピ要らずなところとガチャにも似たランダム要素なスキルに惹かれ、【合成師】を仲間に入れるプレイヤーも多かった。
俺はガチャでたまに大当たりするより、堅実に確実に作りあげてくれる方が性に合っているので【錬金術師】派だが、別に【合成師】がダメというわけではない。
実際あのスキル使ってとんでもない武器ができた時とか、脳汁ぷしゃってやべぇことになるからな。俺も経験あるわぁ。ああいうのもいいよね。
「なるほど。あの子はハンナおすすめの有力候補だな。チェックしておこう」
見ればかなり手際が良い。
俺はハンナに慣れすぎてちょっと感覚が麻痺しているが、周りの子と見比べればその動作は一目瞭然だった。え? もちろんハンナほどではないよ? ハンナは最初から色々凄かったからな。
「それじゃあ次! 2番手の子たちね!」
ミサトの声で交代。
1番手の子が引き上げ、続いて2番手の子が錬金釜の前に立つ。
あ、結構項垂れている子も多いな。がんばれ。
俺もしっかりと見ていく。
だがそれからも、ハンナの言う【合成師】の子以外で特段目立つ子はいなかった。
とはいえまだ彼ら彼女らは入学して2ヶ月ちょいの1年生。これから育成すればアルストリアさんやシレイアさんクラスには育成できるだろう。
え? ハンナクラス? で、できるかな~?
こうして一先ず面接に残ったのは――腕の良い14人となった。
「わわ、結構減っちゃったね」
「だな。思ったよりも【錬金術師】で優秀な子って一握り、だったんだな」
マジでハンナで麻痺してない俺? 1年生たちの錬金風景を見て、「あれ? こんなもんだっけ?」と思う日が来るとは!
「とはいえハンナのステータス振りは公開されていることもあってみんなそっち方向に振られているのがありがたい」
「うう、なんだかちょっと恥ずかしいなぁ」
ハンナは恥ずかしがっているが、ぶっちゃけこれは大切で必要なことだった。
俺はあるときからハンナに頼み込み、ハンナのステ振りを公開させてもらっている。とはいえ下級職【錬金術師】のみだけどな。上級職の【アルケミーマイスター】はまだ踏み切っていない。
あの時は凄かった。なんというか生産職が集まるエリアの空気がうねって見えたもん。空間を歪ませるほどのどよめきか。うむ、然もありなん。
なにしろ、ハンナは入学当初、フィリス先生から攻撃スキルの使用可能を勧められたからな。
当初は「へ?」って思ったのを覚えているよ。でもリアル世界ではそういうものかな? とこっちに来たばかりの俺はあまり気にしていなかったんだ。だが、今後入学してくる生産職たちにも同じことを勧めている可能性に気が付いてからはやべぇと感じて、しばらくしてからハンナのステータス振りの公開に踏み切ったんだ。
おかげで生産職なのになんでそんなスキル取っちゃったの!? という事故が無くなったのだから素晴らしい。
今回200人の加入希望者には全員にステータスを提出してもらったが、みんなハンナと同じようなビルドをしていて嬉しかったものだ。
そこから腕の良い14人を選ばせてもらった形。
では、実地の次は対面での面接だ。
ここに居る子たちはセレスタンチェックを抜けてきてはいるが、最後は自分たちの目でいい子を選び抜く。なおここではツッコミ力の高い子は高得点だ。
「あの、私ハンナ様に憧れています! 職業は【合成師】ですけど、これからいっぱい勉強します! どうか〈アークアルカディア〉の末席に座らせてください!」
トップバッターは、なんとあの【合成師】の子だった。
14人中、【合成師】は彼女だけだ。素直で純粋な子ももちろん高得点だよ。
合成ガチャは、欲深いものがすると妖怪が現れるからね。
「あの、そう言ってくれて嬉しいのですが、まず名前を……」
「あ、ああ!? 失礼しました! 私、セイカって言います。その、よろしくお願いいたします!」
ハンナが苦笑しながら促すと、自己紹介してくれる。少し天然入っているのも良いね。
彼女の名はセイカ。良い名前だな。黄緑色の髪が小さな顔を覆うくらいのショートボブに同色の瞳、ただ片目は髪に隠されていて大人しい系の印象を抱くのだが、どうやらやる気と熱意はかなり高めのようだ。自己紹介の前に自己アピールがきちゃってたしな。熱意があるのも得点高いぜ。
「はい、よろしくお願いします。さっきの〈ポーション〉作り凄かったですね。見てましたが他の方と全然違いました」
「ありがとうございます。実家が錬金術店で、10歳から手伝っていて、〈ポーション〉作りは得意なんです」
どこかで聞いたような話だ。はて?
「そうなんですね、実は私も10歳から家を手伝っていて――」
あ、ハンナと同じなのか! そう言えば昔同じことを聞いたな!
あれ? もしかしてこの子、鍛えれば第二のハンナになりそうな予感?
それからセイカはハンナと意気投合。面接というのを忘れるくらい、というか実際忘れてたなハンナ?
俺が声を掛けるまで普通に話してたし。
まあそんなことがあったが無事面接も進んでいき、14人中、なんと8人も採用することに決まったのだ。
内訳は女子5人の男子3人。
ちょっと女子比率が多かったが誤差の範囲だろう。誤差だよね?
もちろん【合成師】のセイカは採用だ。
今回の面接はハンナたちの後任、未来の〈エデン〉と学園を背負っていく存在たちだ。
ハンナは早速初日からドンっと余っていたボス素材をふんだんに使わせながらまずレベリングを開始してたよ。俺も〈上級転職チケット〉と〈心〉系アイテム、用意しておこう~。




