#1901 ハンナの後任大面接!いったい何人受かるのか
〈聖界ダン〉の60.5層を攻略し、〈竜笛〉を用いた周回を開始。
周回したレイドボスが全て〈パーフェクトビューティフォー現象〉になる〈パーフェクト周回現象〉を堪能しまくった。フォーーー!!
少し、いやとても、いやかなりはしゃいでしまったぜ。
クルクルしてしまったよ。今回はシエラに止められちゃったけど。
その翌日、今日はちょっとしたイベントが待っていた。
「こ、これ! なにこれ凄い! こんなポーション見たことないよゼフィルス君!」
「それを一発で作りあげるハンナも相当だと思うぞ?」
「「こくこく」」
〈生命の神玉薬〉と〈知恵の神玉薬〉のレシピ、そして〈聖なる神の錬金棒〉のお土産は、もちろんハンナたち【錬金術師】チームに渡されたのだ。
採れるだけ採り尽くした〈生命の実〉と〈知恵の実〉も、もちろん渡してある。
するとハンナが目を輝かせて――早速作ってくれたのだ。
いや、この表現はいささか軽いか? だが本当なのだ。ハンナがとっても喜んで棒とレシピを受け取り、〈最上竜王級・錬金釜〉の下におもむろに向かったかと思うと、レシピをセットし、素材を投入し、〈聖なる神の錬金棒〉でかき混ぜて、最上級ポーションをぽぽぽぽんっと作ってしまったんだよ!
見ろ、俺の言葉にアルストリアさんとシレイアさんも何度も頷いて同意しているじゃないか。
「それよりも見てよこのポーション! 飲むだけで、飲むだけでだよ? HPの最大値が増えて、HPが回復して、さらにSTRとVITにバフが掛かっちゃうんだよ!? 今まで攻撃力や防御力をバフするポーションはあったけど、STRとVITをバフするポーションは初めて見たんだよ!」
しかし、どうやら興奮するハンナにとってその程度のことは些事だったようだ。
作りあげた〈生命の神玉薬〉をキラキラしながら見つめているハンナ。
うむうむ。喜んでもらえて俺もゲットしてきた甲斐があるというものだよ。
でも効果が強すぎるから、とりあえずは身内だけで使おうな。
「ハンナさんったら、気軽にそんな世界でもただ1つの、それこそ国庫に厳重に保管されていても不思議ではない生産アイテムを簡単に使いこなしてしまって」
「しかも前代未聞のとんでもポーションだったのに、たった1発で最高品質を作りあげてしまうその手腕、憧れますぅ~」
うむ。アルストリアさんもシレイアさんも同じような感想だな。
アルストリアさんだけはちょっと困ったように微笑んでいるが、まあ問題はなさそうだ。
本当に、この最上級のポーションを、高品質を超える最高品質で作りあげるハンナの手腕に脱帽だ。
むしろLV100要らないんじゃないの? 今のLVでもう全部作れるんじゃない? って気さえしてくる。
「まだまだですよ~。あとはこれを量産できないと話になりません! 多分、今の私だと、この品質を保ったまま同時に作れるのは5本までかな~。せめて20本くらい同時に作りたいよ~」
……いや、まだハンナのレベル上げの余地はあったな。
作れるは作れるが、大量生産するにはLVがまだ足りないらしい。
ハンナがLV100になった時、これをいったい何本同時に量産してしまうのか、怖いような楽しみなような、である。
とここで新たなお客さんが来訪する。
「ハンナ、ちょっといいかしら? ――あら、ゼフィルスも来ていたのね」
「たはは~。3人ともおはよう~、いやもうこんにちはかな?」
シエラとミサトだ。
ここは秘密の錬金工房。我が〈エデン〉の心臓部だ。
そんなところに来るとはいったい何事!? と思うかもしれないがなんのことはない。〈エデン〉のスーパースカウトウーマンミサトを見れば分かる。
そう、今日はこの前言っていた【錬金術師】の卵(?)たちの面接日なのだ。
「3人とも準備はいいかしら?」
「うん、大丈夫ですよ。今終わりましたから~」
「ハンナは軽く言っているが、たった今、国宝に認定されてもおかしくはないポーションを作りあげたばかりだ。あ、これね」
「…………」
「たは!」
シエラのなんら問題も無い普通の問いに予想以上の物がぶっ込んできた模様。
俺がスッと渡した〈生命の神玉薬〉の最高品質、それを『解析』付きのアイテム〈解るクン〉と共に渡すと、シエラがジト目になり、ミサトが「たは」った。
側に居るアルストリアさんとシレイアさんが何度もうんうん頷いているな。
「えっと?」
「それよりもハンナ、面接の準備はできているかしら? 今回は、ハンナの後任の採用なのよ?」
流した!!
シエラ流した!!
うむ、それがいいだろう。とても無難である。ハンナもあまり気にしてないしな。
そっと最高品質の〈生命の神玉薬〉を俺が預かると、いざ出発。
そう、冒頭に話したイベントとは、ハンナたちの後任採用イベントのことだ!
この学園、ひいては未来の〈エデン〉の運命や、その他のギルドが最上級ダンジョンへ突入できるか否かが掛かっている。
ポーションが無ければ最上級ダンジョンへの突入は難しい。故にこの面接に、様々な未来が託されているのだ!
「どんな子がくるんだろう、楽しみだねゼフィルス君!」
「そうだな!」
なお、ハンナは全くそんな難しいことは考えていない模様だ。
到着したのはとある〈ダンジョン生産専攻〉の校舎の一室、学生たちの授業で使われるような大きな錬金工房だった。
錬金工房で面接するのかって? イエス。腕前も重要らしいんだよ。
確かにハンナって、もっと小さい頃から親の手伝いで錬金していたって昔聞いたもんな。最初から堂に入った錬金捌きだったのを覚えているんだぜ。
故に腕前を見ながら面接するということでここが採用されたのだ。
まずはスーパースカウトウーマンミサトが入室し、すでに集まっている子たちに声を掛ける。
「たは! やーやー未来の学園を支える学生たち。いよいよ自分の人生を左右するときがやってきたよー!」
ミサト、すんげぇ煽ってんじゃん。
ガチでその通りなんだけどさ。
なるほど、これで気を引き締めない子は、うん、不採用だ。もう面接は始まっているんだな。
その後もミサトが煽る煽る。
そして十分この面接の重要性を説いたところで。
「それでは入って来てもらいましょう。ハンナさん、ゼフィルスさん、いいですよ」
俺たちが呼ばれる。
普段なら「ハンナちゃん」「ゼフィルス君」呼びのミサトだが、後輩たちの手前、場を緩くしないために敢えて「さん」付けで呼んでいるようだ。
俺たちも気を引き締めて面接へと向かう。
もちろん、今日面接官をするのはハンナと俺だけではなく、シエラ、アルストリアさん、シレイアさんも一緒だが、メインは俺たち2人だな。
「「「「―――!」」」」
俺たちが入室すると静かに息を飲んだ声。
緊張感マックスや! チラリとハンナを見る。あ、笑顔が固まっているな。
こっそりハンナの肩に手を乗せて、緊張を解してみる。
「!」
その間に俺が代表で【錬金術師】たちの卵に自己紹介した。
「まず自己紹介しよう。〈エデン〉のギルドマスターゼフィルスだ! こちらはみんなも知っているだろう。〈エデン〉所属にして〈生徒会〉の生産隊長、ハンナだ。それに同じく〈生徒会〉にも所属しているアルストリアさんとシレイアさんも来ている。こちらはサブマスターのシエラだ」
自己紹介の間、面接者たちも緊張しっぱなしだった。思ったよりもハンナを目にしたときの緊張が激しい。まるであこがれの大物を前にした時のような――ってハンナは〈錬金術課〉の憧れだったっけ。
「今日は集まってもらい、まず礼を言おう。皆も知っての通り、今日は〈エデン〉の下部組織、〈アークアルカディア〉の採用試験となる。枠は9人までだが、もしそれ以上採用することになれば溢れた子は〈エースシャングリラ〉の方に入ってもらうことになる。その時はまた希望を調査するからそのつもりで」
本日集まった希望者は、ざっと200人だそうだ。
いや、来すぎ。〈錬金術課〉だけじゃなくて〈魔法薬術課〉からも来ているそうだ。
ちなみに〈魔法薬術課〉は【薬師】系などの専攻だな。【錬金術師】系も所属可能な専攻で、ポーションを専門にしたい【錬金術師】系の学生も所属しているらしい。
〈ダン活〉ではポーションの質を求めるなら【薬師】、量を求めるなら【錬金術師】と分けられている。俺としては【錬金術師】の採用を優先したいところだ。
これだけくれば何人かいい子がいるだろう。アルストリアさんが言うには最低5人は欲しいと言っていたので、目標は5人以上の採用だ。
必要事項を言い終わると、最後にハンナが口を開いた。
「これより錬金術の腕前を見せてもらいます! 作るものは〈ポーション〉類を5種類! 失敗してもいいですから、落ち着いて頑張りましょう」
―――はい!
錬金釜は大昔(?)にハンナも使っていた〈錬金セット〉だ。
それが50個並んでいる姿は壮観。
4グループに分かれてもらい、まずは実技から見せてもらう。
ここで良い成績、もしくはハンナたちが気に入ったら面接会場にご案内だ。
そこで面接し、よければ採用する。
ちなみにここにいる200人は全員がセレスタンチェックで合格済みだ。
いったい何人いい子がいるのか、とても楽しみである。




