#1900 〈エデンの園〉で生命と知恵と錬金と万歳!
「今回も大勝利で―――〈パーフェクトビューティフォー現象〉バンザーイ!!」
「レイドボスを倒す度にパーフェクトなんて、とてもパーフェクトよ!!」
「ルルもパーフェクトでグーを贈っちゃうのです!」
「ん!」
宝箱が落ちれば、もちろんみんな集まってきてバンザイだ。
いやぁ、今回も強かったね。
全体攻撃の連打は厳しかったよ。おかげで全貌を見る前に封じ込めちゃったし。
全体攻撃の初見殺しはアカンて。
だが、こっちの人材が豊富だったおかげで戦闘不能者無しで勝てた。きっと問題無いだろう。
「…………」
はっ! なんだかシエラが後ろからジト目を向けてきている気配がする!
問題無いよ! なにも問題無いね!
「ゼフィルスさん、はい。クジですわ」
「リーナ! 用意がいいな!」
「はい。最近は必ずこれですものね。当たりが4つ入っていますわ」
当たりが4つ入っているクジがいつも!
素晴らしい! パーフェクトだ!
もう〈神猫様〉がいらして以降、このようなパーフェクトなクジがいつも必要になってしまって笑いが止まりません! ふはは!!
「私はこれよ! あ、当たりだわ! ついにやったわーーー!」
なぬ!? ラナに当たりクジだと!?
笑いから一転、最初の一発目でラナに当たりクジを持ってかれて動転する俺。
大丈夫だ。〈幸猫様〉は俺の味方だ! 俺も当たりクジを引いてやるぜ!
「あ、あら? わたくしも、当たりクジを引いたようですわ」
「おや? 僕もですか」
「あ! ラクリッテちゃん見て! 私も当たりだったよ~!」
「ん? んんん??」
あれ、おかしいな。当たりが4本入っているはずのクジでラナ、リーナ、セレスタン、ノエルが赤いクジを引いている気がするぞ? まだ30本以上残っているのに、もう全部ハズレだとでも言うのかい? いやいやそんなはずは……。(現実逃避)
「ゼフィルス、しっかりしなさい。ポカンとしてるわよ」
「はっ! シエラ? 聞いてくれシエラ! なぜか30本以上もクジが余っているのにもう当たりクジが無いなんて幻覚を見てしまったんだ!」
「それ幻覚じゃないわよ。見なさい」
後ろから肩を揺すられて現実に帰還した俺が見たものは、4つの宝箱の前に座る4人の姿だった。幻覚じゃなかったの!?
「では〈幸猫様ファミリーズ〉の皆様、どうかゼフィルス様の代わりに幸運を。では」
1番手はセレスタン。
パカリと開いた〈金箱〉には、1本の棒が入っていた。金属製の聖なる光を放っているとでも形容すべき棒。聖なる棒だ。
「なにその棒? それでサターンを叩けば良いの?」
「ラナ様、それはこの棒が勿体ないかと」
なぜかラナが棒を見て誰かを叩こうとしていた。確かに浄化できそうな棒だよね。
エステルがそんなことに使うのは勿体ないと諫めていたが、聞いていたらサターンはどのみち絶叫コースだっただろうな。
「『解析』なのです! これは――〈聖なる神の錬金棒〉というそうなのです!」
「「「「「錬金棒!?」」」」」
ルルが『解析』してくれた結果にみんなで度肝を抜かれる。
もうね、名前だけで分かるもんなんですよ。
錬金――その名前だけでみんなの脳裏にはうちの可愛い錬金術師、ハンナの笑顔が浮かんだことだろう。俺の脳内にはこの錬金棒で思わずスライムを叩いちゃったハンナが出てきた気がしたが、きっと気のせいに違いない。
「錬金棒と言えば、錬金釜をかき混ぜる道具で生産アイテムだったわね?」
「なのです! これはハンナお姉ちゃんにプレゼントなのです!」
「承知いたしました。ではゼフィルス様からお渡ししていただければ」
「お、おう。預かろう」
そうしてセレスタンから錬金棒を預かった。
ん? なぜ俺に託したのだろうか?
まるで毎朝ハンナと会ってるんだし、その時にでも渡してね、と言われた気がするのは気のせいだよね?
セレスタンを見る。微笑んでいた。わ、わからん!
「じゃあ次ー! 私が開けちゃうね!」
2番手はノエル。特等席にラクリッテを置いて、お祈り後にいざオープン。
「わ、レジェンド色のレシピだ! ――ルルちゃん、おねがーい」
「ルルにお任せなのです! 『解読』!」
ノエルのお願いにルルがキリッとした表情で『解読』しているな。
手の方は〈幼若竜〉をなでなでしているが、見なかったことにしよう。
「お、おお~。これ第三形態の大剣のレシピ?」
「大剣ですの!?」
「お嬢様、食いつきすぎです!」
「あの防御スキルをブレイクする大剣と言われては興味が湧かないはずがありませんわ!」
大剣と聞いてノーアがノエルの後ろに回り込んだ。速ぇ~。
「名称は〈智天使・ケルビムの回炎剣〉! かっこいい響きの剣が来ましたわ!」
「大きさは? あれは刃渡りだけで20メートル近くありましたが?」
なんだかんだ言いつつもクラリスも気になっているようだな。
だが、ノエルの横に居たラクリッテがぷるぷるしているぞ?
ああ、そう言えば狸王様の首、この大剣に斬られたんだっけ……。
「これ、凄い特効がいくつも付いてます。『獣キラー』『霊キラー』『悪魔キラー』などなど、こんなにスキルの付いた大剣も珍しいですね」
「『獣キラー』……それで狸王様の首がキラーされてしまったんですね」
「防御ブレイクがありませんわ!?」
なんとノーアの言う通り、武器スキルにブレイク無し。
実はあれ、武器じゃなくて〈ケルビム〉本体の能力なんだよ。そりゃ武器に防御スキルをブレイクするスキル付いてちゃアカン。強すぎるもん。
特効系特化、それがこの大剣の能力だな。
大剣使いはノーアとクイナダ、ゼルレカくらいなので、これはノーアだけ作ればいいだろう。クイナダには〈森界狼新王の牙王剣〉があるしな。
「それじゃあ次はリーナの番ね!」
「開けますわ!」
3番目はリーナ。しっかりお祈りしてパカリと開ける。
中に入っていたものは、これまたレシピ。
ルルに『解読』をお願いすれば読めるようになっていき。
「これは……! 〈生命の神玉薬〉と書いてあります! 〈生命の実〉、60層にあった実を使った回復とバフのレシピですわ!」
「なんだってー!」
「「「「おお!」」」」
その名を聞いただけで俺は震えた。
それ、すげぇ欲しかったやつの1枚。1発目でツモったのか!?
その効果は〈生命の実〉の強化版。HP回復と同時にSTRとVITにバフを掛ける回復アイテムだ。薬系アイテムなので料理アイテムとは別で一定時間バフが掛かる凄まじい効力を持つ。
効果を聞けばみんなも盛り上がる。盛り上がらないわけがない!
「これ、〈アルティメットエリクシール〉より回復量は低いけれど、バフの値が凄まじいわね」
「これ、私のバフや料理アイテムとは別枠でバフが掛かるんだよね? え? 凄くないかなそれ?」
「凄いなんてものじゃありませんわ。バフするアイテム自体ほとんど見つかっていませんのよ! 見つかってもステータスを入れ替えるとか、耐性を上げるとか、そういったものですわ。このようなステータスバフと回復、両方が上がるというのは、まさに最上級と言って過言では無いアイテムですわ!」
「わわわ、リーナさんの目が燃えていますー!?」
シエラ、ノエル、リーナ、ラクリッテがそれぞれ感想を言い合う。
リーナがとても良いリアクションをしているな。
そう、〈ダン活〉にはバフ系のアイテムというのはあまり存在しない。
だが、この60層では〈生命の実〉と〈知恵の実〉で確実に確保できるため、俺もゲーム時代はここへよく通ってお世話になったものだ。
もちろん実の加工アイテムも60.5層のレイドボスで手に入るので俺は今回、かなり狙っていたんだ。周回する気満々だった。まさか1発で片方が手に入るとは、嬉しいところ!
「最後は私ね! すっごく良いものを引いてやるわー!」
「ラナなら有言実行できると、俺は信じてる!」
ラナならできる! ラナならやってくれる!
だってラナだもん。(←これ以上ない信頼)
「お願い〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉〈神猫様〉。あとでたっぷり愛でてあげるから、とても良いものをくださいな」
いやちょっと待とうかラナ。
それで良いものがきたら〈幸猫様〉方がラナに愛でられたくて良いものにしたような感じになっちゃうじゃん!?
「開けるわよー!」
「あ」
しかし俺の待ったは届かず。
ラナがパカリと開けたところ、中に入っていたのはやはりレジェンド色のレシピ。
ルルが慣れた様子で撫で撫で『解読』をパフォーマンスしたところ、浮かび上がってきたのは、リーナのレシピと対になるとんでもないレシピだったのだ。
「これ、〈知恵の神玉薬〉のレシピって書いてあるわ! MPの回復に加えてINTとRESがバフされるそうよ!」
「ラナが当てちゃったーーーー!? 〈幸猫様〉!?」
〈生命〉はHP回復薬、〈知恵〉はMP回復薬だ。これの凄いところは、加工していない実の状態だと〈生命〉と〈知恵〉のどちらかしか効果を発揮しないが、加工して回復薬にすると両方の効果を得られてしまうところだ! じゃんじゃん飲んで回復しながら4種のバフを常時上げ上げし放題なんだよ!
リーナが片方を当ててくれてよっしゃと思っていたら――ラナがもう片方も当てちゃった!?
まさか〈幸猫様ファミリーズ〉がファミリーでラナに撫でられに……!?
俺でもそんな贅沢はしたことないのに!?
「みんな! 60層に戻るわ! モナたちにあの木の実を大量に確保してもらうのよ!!」
「「「「「おおー!」」」」」
ラナの指揮が絶好調。
こうして俺たちは大量に実っていた実を全て確保し、ついでにレイドボスの周回をして帰還したのだった。




