#1896 〈座天使〉の宝箱は「騎士爵」いっぱい大恩恵
〈座天使・ソロネ〉撃破! そのドロップは〈金箱〉4つだった。
イエス! 〈幸猫様ファミリーズ〉バンザーーーーイ!
「〈パーフェクトビューティフォー現象〉バンザーーーーイ!」
「〈金箱〉4つよーーー!!」
「〈神猫様〉が神様なのです!」
その通りだルル! 〈幸猫様ファミリーズ〉は神様だ!
あとで新調した神棚いっぱいにお供え物をしなければ!
俺たちは勝ち鬨を上げた。あと〈パーフェクトビューティフォー現象〉にバンザイした。
「毎回飽きずによくやるわね。〈神猫様〉が当たってからレイドボスは毎回〈金箱〉4つでしょうに」
「まあまあシエラさん。ラナ様も喜んでおられますし」
「喜ばしいことは認めるのだけど……」
おお!? これは、ジト目気配!?
俺の勇者アイが的確にシエラのジト目を捉える。シエラのジト目だ! バンザーイ! 俺のテンションは一段と高まった。
「ゼルレカ、クイナダ先輩、聞きてぇんでやがりますが、ゼフィルス先輩たちは毎回これをやってるんでやがりますか?」
「あ、ああ。まあな」
「ハンナちゃんに聞いたけど、最初からこんな感じだったらしいよ? 初めてドロップした〈金箱〉にもしっかりお祈りを捧げ、そこで〈幸猫様〉を当てたって聞いたなぁ」
「あ~、つまりゼフィルス先輩の思い出深い〈幸猫様〉、そのファミリーズが起こした奇跡に盛り上がっているってぇことでやがりますか?」
「いや、あんまり理解しようとしなくていいと思うぜ?」
おかしいな、ゼルレカ、クイナダ、モニカがこっちを見ながら小声で喋っているのだが、なぜか理解を放棄されたような気がする。
みんなで〈幸猫様〉たちに感謝と願いを捧げようぜ!
「私はこれを開けるわ!」
「あ!? またラナが先に!?」
「いえ、ゼフィルスがいつまでもバンザイしているからでしょう。それも毎回」
シエラがジト目でそう指摘してくる。俺はハッとした。
そういえば毎回俺がバンザイしている隙にラナが宝箱を先取りしていた気がする。そして、俺はいつも〈金箱〉の興奮でそれを忘れてしまうのだ。俺は戦慄した。
「ええいラナ、今回もクジ引きで決める! その宝箱はやらんぞ!」
「望むところよ! 私が毎回クジが弱いなんて思わないことね!」
いつも通りクジ引きで公平に決める。
50人で当たりは4つ。
ラナがいつになく強気だ。まさか何か秘策が?
いやいつも強気だった気がしなくもない。
そうしてクジの結果――ルル、ゼルレカ、クイナダ、モニカが当選した。
「な、ななな、なーー!?」
「ルルが勝ち取ったり~なのです!」
「全然秘策なんて無かった!」
結果俺もラナも敗北。ルルが勝ち残っていた。くっ、今回は大人しいと思ったら伏兵だったのか!
「エステルー! なんで私はクジが弱いのかしら!? 宝箱の当たりはなんとなく分かるのに、おかしいわよ!」
「ラナ様はそのままで大丈夫です。よしよし」
エステルがラナを甘やかしに掛かっていた。
うんうん、俺もそのままのラナで良いと思うんだぜ。
「それじゃあルルはありがたくラナ殿下の宝箱を貰っちゃうのです!」
「素晴らしいですルル! ――ゼフィルス様?」
「お、おう。スクショはしっかり構えておくから心配するなってシェリア」
ルルがドヤ顔でラナがこれだと目を光らせた宝箱を見繕っていた。なんて抜け目ないんだ! そしてシェリアよ、こっちは任せておけ。振り向かなくていいぞ?
「〈幸猫様ファミリーズ〉の皆様、ルルはとてもいい子にしていたのです! 良い物くださいなのです!」
サンタさんかな?
なぜか良い子じゃないとサンタさんが来てくれないというおまじないを思いだした。
「とう!」
開けた! パシャパシャ。
みんなで一斉に宝箱の中を見る。
中に入っていたのは――レジェンド色に光るレシピ。
「『解読』なの~!」
すぐにアリスが〈幼若竜〉で『解読』を発動する。
きっとあの〈幼若竜〉はルルのだろう。アリスが重大な役目を任されて嬉しそうだ。パシャパシャ。
「こ、こりは! 〈足特装型戦車〉なのです!」
「「「おお!」」」
「ラナ様、少々お退きくださいませ」
「え!? ちょっとエステル!?」
なんとそこに書かれていたのは――〈足特装型戦車〉のレシピ。
エステルが装備することの多い、地面を滑るように走るローラースケートに近い装備系統だ。
〈戦車〉系ではあるものの、乗車人数がほぼ無い個人用である代わりに、〈足特装型戦車〉は装備中にスキルが使えるなどの大きな利点がある系統だな。
それを聞いた瞬間、今まで乳母のように慈悲に溢れた顔でラナを慰めていたエステルがスッと姿勢を正してラナを退けていた。
ラナは「それは私がエステルに渡す物だったんじゃない!?」と困惑顔だ。
「これは、まさか、地面ではなく空を滑る〈足特装型戦車〉では?」
「どうやらそうみたいよ。またとんでもないものがドロップしたものね」
エステルが震え声でレシピを読むと、シエラも頭を抑えながらそう答えた。
そう、先ほど言ったように、今までの〈足特装型戦車〉は地面を滑るように進むローラースケート型だった。
しかし、今回当たったのは空中を滑るように進むことができる、空中スケート靴とでも形容すべき装備だったのだ。天使の翼が生えている靴の形をしている。
「名前は〈スカイスローン・ハイローラー〉。見た目はあのレイドボス〈ソロネ〉が身体の周りに纏っていた輪が靴の周りにくっついた感じね」
「かっこいいのです! ルルもこれを装備してお空を駆けるのです!」
「ルルは〈乗り物〉系の適性がないから無理でしょ」
「ガーン!?」
残念ながらシエラの言う通り、【ヒーロー】系は〈乗り物〉に適性無し。
これ、ルルは装備できないやつだ。
「良いですね。これでまた1つ強くなれそうです」
「ゼニスと空を駆けるというのも楽しそうですね」
「クワァ!」
逆に適性のある「騎士爵」メンバーは新たな装備に喜色の笑顔だ。
「えっと、そろそろ開けても大丈夫か?」
「はい、ゼルレカさん。お待たせしましたわ。開けちゃってくださいませ」
「お、おう。それじゃあいくぜ」
ルルの番がいつまでも終わらなさそうだったのでリーナが話を進める。
お祈りを済ませたゼルレカが最初だな。中から出てきたのは、これまたレジェンドレシピ。
だがそこに書かれていたのはみんなもびっくりの内容。
「〈軍勢天使ゴーレム〉のレシピですか……!」
「ゴーレム系アイテムのレシピ、その天使バージョンを作れるものですわね! 飛行ユニットをアイテムで召喚できるというのはかなり使えますわよ!」
これにはギルドバトルの司令官、リーナが非常にテンションが上がっていた。
前に〈天下一パイレーツ〉戦で軍勢系のゴーレムを使ったが、強かったからなぁ。
あれの天使ユニットバージョンだ。そりゃ強いぜ。
〈伝説猫作製レシピ〉の猫ゴーレムよりも強い上に【アルケミーマイスター】で作れるので、今度ハンナに作ってもらおう。
「では続いて、私が行くね!」
3人目はクイナダ。
こちらもレジェンド色のレシピで、内容は〈座天戦突シリーズ全集〉という装備全集レシピだった。
「わ、これ、強い! 〈突〉だから槍や弓を使う人に大きな補正が入るみたいだよ!」
「〈騎乗〉時にさらに補正が掛かるとも書いてあります。これは、私かエステルさん、もしくはアルテが合いそうですね」
クイナダが当てたのは、まさに槍突撃を基本とする「騎士爵」と非常に相性の良い装備シリーズだった。アイギスの言う通り、槍使いであるエステル、アイギス、アルテに合うだろう。
これもLV100になった暁にはマリー先輩とアルルに作ってもらわないとな。
「待ってくれやがれです。こっちも〈乗り物〉のレシピでやがりますよ! これ、列車系じゃないでやがりませんか?」
「ええ!? モニカさん、私にも見せてください」
モニカもお祈りしてパカリ。中に入っていたのは四連続レシピ!
それを読み上げた瞬間食いついたのは、もちろん〈ブオール〉を操るロゼッタだ。
「わ! 〈ブオール〉の空飛ぶ版ですよこれ! 凄い、これ、是非造って欲しいです!」
「名前は〈スプールルート〉。列車とは言いましたが、これ〈スターライト〉に近い客室内蔵型の機関車ですよ?」
「50メートル級!?」
「素晴らしいな!」
最後に当たったのもまたとんでもないものだった。
つまりは〈ブオール〉の上位装備。機関車と客車を合成したかのような、まるで船とでも形容できる性能を持っている〈乗り物〉〈戦車〉装備だった。
見た目は蒸気機関車とディーゼル機関車を合わせたような、黒をベースとしたデザイン。横から見える客室の窓は大型客船を思わせる。そんな色々なかっこいいところを合わせたような感じだ。
全長は確かに〈戦艦スターライト〉と同じだが、高さ的にかなり大きいため、〈スプールルート〉、通称〈スプール〉の方が倍くらい巨大に見える、見た目機関車の豪華客船戦車だった。もう俺も自分で何を言っているのかわかんねぇぜ。
だが、今回も素晴らしい〈パーフェクトビューティフォー現象〉をありがとうございます〈幸猫様ファミリーズ〉! こいつはビンタが捗るぞ!
「ゼフィルスさん、これは是非作って欲しいです!」
「了解だ。タネテちゃんに依頼しておくな。ただそれには、ここ〈座天使・ソロネ〉の素材がかなり必要だと書いてあるが」
「狩りましょう」
「わ、今日のロゼは本気だね!」
「ええ。あそこまで真剣なロゼはそうは見ません。私たちも全力で協力しましょう」
即決のロゼッタに仲の良いフラーミナとカタリナもちょっと押され気味だ。いつもと逆の光景。
だが、みんな〈ソロネ〉の周回には同意のようで、〈聖界ダン〉を攻略しつつちょくちょく〈ソロネ〉周回をすることに決まったのだった。




