第二十九話 小銃の分解
64式小銃を分解する事になったのだが、
幸助達は分解に苦戦するのだった……
第一教室の中に入ると目の前の左端に
置いてあった64式小銃を前に入った順番で
一つだけ小銃を取って
机に立たせるようにと言われた。
すぐに佐藤班長に言われて
銃口はグランドの方を
向けた状態で脚を使い、
64式小銃を立てた。
机の上に小銃を置くと
三人ずつ長机の前に
並ぶようにと言われた。
三人で一つの小銃を
触りながら見るようだ。
この日から
小銃を触る事が出来るようだ。
全部の長机に64式小銃が並べられると
すぐに班付達が俺達に
プリントを配り始めた。
見てみると
64式小銃の分解図だった。
分解図には一つ、一つの
部品名が書かれていた。
「今、お前らの元に配られた
分解図の部品の名前を
全部覚えてもらう!」
「簡単やろ?」
どうやら、ここから
俺達を指揮するのは堤下班長らしい。
他の班長達は他の業務をすると
言って助教室に
帰っていったみたいだ。
さ、最悪や……!
エアコンが聞いた涼しい所で
よりにもよってこんな人と
ゆっくり小銃の
分解結合を行うだなんて……
俺がそう青ざめながら思って
周りの同期を見てみた。
すると、皆の表情も堤下班長が
俺達の前でゆっくりと
話をしていくごとに
表情が青ざめていった。
無理もない……。
昨日の地獄の腕立て伏せから
今日を迎えたばかりだからだ。
あの悪夢は皆、頭に焼き付いているから
堤下班長とは関わりたくないし、
姿すら見たくはないはずだ。
皆も考える事は一緒か……。
仕方なく、覚悟を決めて
64式小銃の解説を聞く俺達。
「お前ら、俺がやるのを
よく見とけよ!」
「一回しか言わんからな?」
堤下班長のその言葉を聞いた
俺達は静かに首を縦に振った。
その時だった……!
「お前ら、何頷いとんねん!
返事せぇやぁぁ!」
堤下班長は自分の目の前に
あった机を左手で思いっきり
叩いてから大きな声でそう言った。
「……!!!」
堤下班長が突然、
切れて驚く俺達。
「お前ら、しばれたいか?」
「い、いえっっ……。」
「ちゃんと返事せぇよ。
分かったな?」
堤下班長はゆっくりと
俺達を睨みつけながらそう言った。
「は、はいっっ!」
休めの姿勢で聞いていた
俺達は気をつけの姿勢をした
直後にそう言った。
上官に返事をする場合は
こうしなければならない。
※もちろん、
教育期間中のみである。
すると、堤下班長の
目の前にいた同期の目の前に
置いてあった小銃を取ると
分解結合の実演を始めた。
「いくぞ?」
堤下班長がそう言うと
俺達は一斉に唾を飲んだ。
「分解!」
堤下班長は大きな声で
目線を俺達より
少し上を見てそう言った。
堤下班長がそう言った
瞬間に早々と
小銃の分解を始めた。
数分ほどで分解し終えると
堤下班長はこう言った。
「分解終わり!」
「……!!!」
小銃を分解した堤下班長の
早さにただただ驚く俺達。
「これが分解や。」
堤下班長はそう言うと
また目線を俺達より
少し上を見てから
こう言った。
「結合!」
堤下班長がそう言うと
先ほど分解した小銃を
結合し始めた。
また、数分で結合を終わらせると
堤下班長はこう言った。
「結合終わり!」
堤下班長がそう言うと
班付達が一斉にこう言った。
「班長、凄いやろ?
お前ら、拍手しろ!」
班付達がそう言って拍手すると
俺達も堤下班長に拍手を送った。
拍手がこの部屋に数秒間
響き渡るとすぐに
堤下班長がこう言った。
「拍手なんか、いらんわ!
やめろっっ!」
堤下班長がそう言うと
一斉に拍手が止まった。
「お前らも今からすんねんぞ。」
「さぁ、やってみろ?」
堤下班長がそう言うと
俺達は一斉に小銃を分解し始めた。
「分解しながら部品の名前も
しっかり覚えていけよ!」
堤下班長が教室を
歩き始めると俺達を
見渡しながらそう言った。
難しいなぁ……。
消炎制退器?
照星?
そんなん書かれても分からへん……。
でも、この名前はこの名前やし
深く考えても仕方ないか。
しゃあない、
覚えるしかないかぁぁ……。
そう思いながら班付達の力を借り、
プリントを見ながら
なんとか分解をしていった。
すると、10分ほど立つと
一人の同期が小銃の部品の一つを
床に落としてしまった。
その同期が部品を
拾おうとした
その時だった……!
「おい、お前!」
堤下班長がその同期に話しかけた。
「は、はい……。」
渋々返事をする同期。
「今、落としたな?」
「はい……。」
堤下班長の
問いかけに怖がる同期。
「腕立て伏せよぉ~~い!」
「いちっっ、にっっ!」
堤下班長の号令で
腕立て伏せの姿勢になる同期。
「いち、に、さん、
し、ごっっ……。」
腕立て伏せの回数を
数えていく堤下班長。
「お前ら、いいか?」
「部品は絶対落とすなよ?
分かったな?」
堤下班長が
俺達にそう言った。
「はいっっ!」
俺達はそう言って返事をした。
その同期は腕立て伏せを
20回した時点で
起き上がる事を許されて
堤下班長からこう言われた。
「お前、次は絶対落とすなよ?」
「はいっっ!」
堤下班長の問いかけに
大きな声で
そう返事をしたのだった……
第三十話へ続く……
お仕事コンテストに完結させてから
挑戦させて頂くため
最終話まで残り僅かとなりました。
いつも、お読み頂けている
皆様のおかげで
ここまで書かせて頂く事が出来ました。
「自衛隊列伝 兵士の記憶」を
ぜひ、最後までお読み頂ければ幸いです。




