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空襲

走っていた、

私は人々の流れとは逆な方向に走っていた、

人々の流れを避けるため、

私はある家の裏庭に飛び込んだ、

そこには、倒れた女と、その子供であろう姉妹が泣いていた、

おそらく爆風で吹き飛んだ瓦の餌食になったのであろうその女は、

後頭部から大量の血を流していた、


とっさに私はその今にも死にそうな女を背負い、

姉妹の手をとって走り出した、

片手だけで二人の姉妹をつなげれるわけがなく、

姉妹が手をつなぎ、私が姉であろう女の子の手を取って走っていた、

妹であろう女の子がぐずり出した、

しかし、一刻の猶予も許されないこの時、

ひたすら走り続けた、


やがて広い場所に出た、

今まで走り抜けてきた街の方は真っ赤になっていた、

向こうから車が来た、

中から作業着の人が出てきた、

油のシミが目立つ作業着はボロボロに焦げた所もあった、


最初はそいつも姉妹と女にはビックリしていたが、

事情を簡単に説明して納得がいったのか、

女を車に運んだ、

軍の施設の病院である程度治療して一般の病院に転院させればいいはなしだ、

姉妹は場所がなかったので私の膝の上に乗せている、


やがて車はコンクリートの広くて長い道にたどり着いた、

かまぼこの化け物かのような大きな建物の前に来ると、

私はそこで礼を言って降車した、


愛機が作業着の人達に囲まれて居る、

暖機していたのだ、作業着の人達は私を見るとすぐに動き出した、

私の愛機の車輪の車止めを外す、

機上で敬礼をして作業着の人達に礼を言った、

地上を滑走して発進位置に機体を移動させる、


レバーを倒してエンジンをうならせる、

座席に押し付けられるような重力の中でもわかるように、

車輪からくる振動が消えてエンジンの振動のみになる、

スイッチを押し込み、ぶら下がる車輪の脚を格納する、

これで空気抵抗を減らし、速度が自然とあがる、


街は、飛行場は、真っ赤になっていた、

軍の施設は地下にもあるため半分の機能はそこにまだ生きていると思われる、

はるか上空を無数の飛行機雲が走っていた、

私はその先にある敵の爆撃機を目指し、

高度をあげた、













月日が流れた、

十年も流れただろうか、

私も軍を引退することになった、

焼けた街は見事な復興をとげた、

そんな見違えた街中を自分の車で散策するのが最近趣味になった、


今日も何気なくあそこのパン屋まだやってるや、

あそこのバーは昼間でもやってたのかとか、

独り言をつぶやきながら運転していた、

独り言をつぶやいてしまう時点で私は自分が相当に歳をとったと実感してしまう、


信号で止まっていると女の人に話しかけられた、

女に縁がなかった私にとっては不慣れなことである、

しどろもどろになりながら何があったのか聞いてみた、

どうやらタクシーのお金がなく困ってたそうだ、

目的地もこの街の中にあるようなので乗せて行ってあげることにした、

もちろん、私が異常な緊張をしながらの運転だった、


ふと女の人が話しかけてきた、


「あそこのレストラン、十年も前の空襲に屈しなかったみたいね」

「あぁ、あそこの料理長は頑固だからね、あの硬いハゲ頭が爆弾全て跳ね返したって噂もあるくらいに」


上品に笑うその女の人の仕草一つ一つに目が奪われそうになる、

しかし、女に見とれて軍人が交通事故を起こしたでは末代までの恥となりかねないので、

脳内で自分に集中しろと何度も言い聞かせる、


「立派になりましたね、この街は」

「あの頃の木造とは違って今は石造りが半分を占めていますから景観も段々と違ってくるんですよ、石造りはもっと増えますしまだまだ景観は変わると思う」


レンガやコンクリートの家も増えてきた、

そんな風に考えていると、女の人がポツリポツリと何かを語り始めた、


「昔、街が真っ赤になった日に、お母さんと逃げてたんです、

でも運悪く飛んできた破片から私たち姉妹を守るために重症を負ったんです」

「………」

「その時でした、飛行服を着込んだ男が飛び込んできたんです」


既にこの時点で私の勘が働いていた、

もしかして、あの日の、


「………あの後母は一命を取り留めましたが、車椅子を手放せなくなりました、もう少し傷が深ければ車椅子どころじゃないと医者に言われた時、私は、」


目的地であるなんの変哲もない一般的な家の前に車を止めた、

女の人は、それでもしゃべり続けた、


「貴方に真っ先にお礼が言いたかったんです、あの時は本当にありがとうございました」

「………人生で女の人に礼を言われるとは流石に思わなかった、いい思い出になったよ、ありがとう」

「よければお茶をしていきませんか?妹も学校が終わる頃ですし、母もきっとお会いしたかったと思いますから」

「そうだな、久々の休日だしご馳走させてもらうよ」


古っぽい流線型のクラシックな車から、

二人の男女が、小さな家に向かって歩いていた、

石畳の歩道は、その様子を微笑むかのように、

街は、夕日に真っ赤に染められていた

主人公:性別は男で空軍のパイロット、愛機はMC.202によく似た機体、しかしに二線級の基地であるためか、MC.205によく似た機体を欲しがっていたのに結局回ってこなかった、さらに引退直前に至っては練習機にしか乗れなかったために相当不満げだった様子


女(姉):ヒロインなのかな?とにかくごま塩頭な主人公を尊敬の目線で見る、作者曰く「オジサン萌え設定、だから主人公が年老いたオジサンでも変わらぬ目で見ていた」という無茶設定の塊、正直言って助けてもらった事だけでも尊敬の目はいけると思われる

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