表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
筋肉召喚士〜一生に一度の儀式で筋肉の神を引いたんだが〜  作者: セルライト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/13

第一話:選ばれし獣(?)

「……いいか、アレン。召喚士は一生に一度、己の魂を触媒に『運命の伴侶』を喚び出す。それが竜なら覇道を、妖精なら知恵を、スライムなら……まあ、それなりの人生を歩むことになる」


聖なる召喚神殿。師匠の厳粛な言葉が、アレンの胃をキリキリと締め付ける。

周囲の候補生たちは、すでに「勝ち組」の顔で自慢の召喚獣を従えていた。


「見ろよアレン、俺のフレイムウルフを! モフモフで強そうだろ?」


「ふん、私のはクリスタル・ピクシーよ。美しくて魔力も最強なんだから」


(いいなぁ、かっこいいなぁ……。僕もせめて、人に見せびらかせるくらいの魔獣がいいな……!)


アレンは震える手で、黄金に輝く魔法陣の前に立った。


「全神経を集中しろ。お前の深層心理が、最強と認める存在を形にするんだ!」


師匠の激が飛ぶ。


(最強……最強……! どんな困難も跳ね除け、何者にも屈しない、圧倒的な力……!)


「来たれ、我が運命を切り拓く最強の使役獣ッ!!」


魔法陣から、かつてないほどの黄金の光が噴き出した。

神殿の柱がミシミシと鳴り、あまりの魔圧に候補生たちがひれ伏す。


「こ、このプレッシャー……まさか、伝説の武神か!? それとも黄金竜か!?」


光が収まり、土煙の中からゆっくりと立ち上がったのは——。


「…………サイド・チェストッ!!」

サイドチェストの構えで、左右の大胸筋をピクピクと脈動させる、テッカテカの巨漢だった。

衣装は、はち切れんばかりの極小タンクトップと、短パン。

その肌は不自然なほど褐色に焼き上げられ、ポーズを決めるたびに「メキメキッ!」と周囲の空気が物理的に悲鳴を上げている。





「………………はい?」





アレンの口から、魂の3分の2くらいが漏れ出た。


「お、おいアレン……なんだその、**『オイルを塗りたくった動く山』**は」


師匠が、杖を落としてガタガタ震えている。


「あ、あの……すみません、これ、何かの間違いですよね? モンスター召喚ですよね? なんで人間……というか、**『人間を超越した何か』**が出てきてるんですか?」


すると、巨漢がゆっくりとポーズを解き、地響きを立ててアレンに歩み寄ってきた。その瞳は、厳しい師のようでもあり、慈愛に満ちた聖母のようでもあった。


「……少年よ。聞こえるぞ、君の軟弱な僧帽筋が助けを求める悲鳴が」


「えっ、しゃべった!? しかも僧帽筋の通訳してる!?」


「私は『筋域きんいき』より召喚された指導者、剛田ゴウダ。君が私を呼んだのだ……『何者にも屈しない力が欲しい』と」


「いや、そう言いましたけど! それは魔法とか、鋭い牙とか、そういう意味で!」


剛田は無言でアレンの細い腕を指先でつまんだ。


「……枝かな?」


「腕だよ!!」


「君、さてはプロテインを飲まずに白米ばかり食べているな? カロリーを筋肉に変える努力を怠った罪は重い。今日から私が君の専属トレーナーだ」


「召喚獣って、主人の言うこと聞くもんじゃないの!? なんで初対面で生活指導受けてるの!?」


剛田は満足げに頷くと、神殿の天井を見上げて仁王立ちになった。


「案ずるな少年。この世のあらゆる問題——魔王の復活、国家の危機、そして恋の悩み……それらは全て、バルクアップによって解決可能だ」


「絶対に無理だと思うんですけど!!」


アレンの絶叫をよそに、剛田は懐から(どこに持っていたのか)新品のダンベルを取り出し、アレンの手に握らせた。


「さあ、冒険の第一歩ファーストレップだ! 記念すべき最初の契約を祝し、この言葉を贈ろう……」


「アレン君。覚えておきたまえ。魔法は唱えなければ発動しないが、筋肉はそこに存在するだけで正義なのだ」


(……一生に一度の召喚、やり直したい。切実に。)

【剛田の今節の名言】

「魔法の詠唱に30秒かけるなら、その時間でスクワットが15回できる。世界を救うのは呪文ではない、大腿四頭筋だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ