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6-1. 演出された絶望 ――アマテラスの恐怖
出雲を血で染め、
古き共生の絆を断ち切ったスサノオの暴走。
それは、泰氏にとって「想定内のエラー」であった。
いや、むしろ彼らが望んだ結末ですらあった。
泰氏は、スサノオの狂気を利用して、
アマテラスを精神的に追い詰め、
彼女を実権のない「完璧なる象徴」へと
昇華させるための最終工程に着手した。
出雲から帰還したスサノオの精神は、
すでに崩壊していた。
彼は自らの罪を塗り潰すかのように、
アマテラスの神聖な織殿に、
引き裂いた馬を投げ込み、
田の畔を壊し回った。
アマテラスは震えた。
だが彼女が恐れたのは、
弟の暴力そのものではない。
スサノオを怪物に変え、出雲を焼き、
そして自分を「全能の光」へと祀り上げた、
背後に立つ泰氏という存在の不気味さであった。
「私は……
何を創り出してしまったの」
アマテラスは、泰氏から授けられた
『八咫鏡』を投げ捨て、天岩戸という
名の巨大な石室へと引きこもった。
その瞬間、列島から「公式な光」が消えた。
泰氏はこれを好機と捉えた。
人々から光を奪い、絶望させることで、
「光の再来」を
よりドラマチックに演出し、
逆らえない権威を確立するためだ__。




