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第三章 起承転結の転。主人公とヒロインの間にサブキャラがからむの図。・その7

「これは『ベストセラー小説の書き方』にあった、重要な点五つのうちのひとつだな。『二、 主人公をとにかく追い詰めろ。主人公にどんどん無理難題を押し付けて、その度に何とかしてそれを乗り越える。その為に、問題、その解決策が思い浮かぶまでは小説を書いてはいけないと主張。そうじゃないと、無理難題をご都合主義で解決することになってしまう』」


 言って、俺は顔をあげた。


「だから、いまみたいなライバルをだして、なかなかドラゴンスレイヤーとして認められない、なんて感じにするのは、間違ってない考え方だと思う」


 言ったら静流が嬉しそうにした。


「ありがとうございます。それで、性格なんですけど。やっぱり、主人公の佐竹鋼哲朗に突っかかっていく形にしたいんです。『どっちが本当のドラゴンスレイヤーなのか、勝負しなさい』って感じで」


「あ、いいかもな。ドラゴニアンのマリアがマジラブで、ケモミミのジルがツンデレなんだから、そういう、主人公にケンカを売るタイプがいると、キャラクターの差別化ができるかもしれないし」


「で、最後は、やっぱりデレるのかよ?」


 由紀乃が訊いてきた。


「ほら、ラストは『仕方がないな。認めてやるよ』なんて感じで。そういうの、パターンじゃん?」


「あ、いいですね。ラストバトルで、佐竹鋼哲朗がドラゴンスレイヤーズソードを自在に使いこなして、それで『自分にできなかったことを、あいつはやってのけた』なんて感じで。そのアイデア、もらっていいですか?」


「べつにいいよ。あたしがライトノベル書くわけじゃないし」


「ありがとうございます」


 嬉しそうに静流がもうひとつのノートにメモをはじめた。


「それで、その、ドラゴンスレイヤーの子孫の名前は?」


「えーと、初代ドラゴンスレイヤーはランズガルドって名前で、その子孫だから、それに似た名前にしたいです」


「リンとかルンってどうですか?」


 これを言ったのは春奈だった。目をむけると、おもしろそうに中二ノートをパラパラめくっている。


「ほら、ランズガルドがランだから、その子孫で、リンとかルンとか」


「あ、いいわね。ルンは、なんだかルーン文字っぽいから、リンにしようかな」


「すると、ニックネームはリンで、フルネームはリンズガルドになるわけか」


「――ズガルドって、女の子っぽくないですね。リンズガルドじゃなくて、リーンにします。それなら女の子っぽいし」


 言って、静流がメモしはじめた。サブストーリーと、主人公に突っかかるサブキャラクターは、これでOKだな。


「じゃ、今日のところは、これで終了かな」


「え、おわりなんですか?」


 俺が言ったら、春奈が残念そうな顔をした。


「せっかく知らない学校にきたんだし、あたし、もっと遊んでいきたいです」


「あ、そうなのか。――そうだな」


 俺は少し考えた。ま、夏休みだし、春奈みたいな小学生が高校のなかを歩きまわっても問題ないだろう。


「じゃ、ライトノベルを書く講義はこのへんにして、あとは学校探検でも」


 言いかけて、俺は気づいた。さっきから、水も飲まずにしゃべりっぱなしである。そろそろ三時だし。


「ちょっと休憩しようか。学校探検はジュースを飲んでからだ」

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