表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

第十二話 世界維持教団 グレイシス

気づけば、ギルドの中は少しずつ騒がしくなっていた。



さっきまでは空いていたはずなのに、いつの間にか討伐士や商人らしい人影が増え、ざわざわとした話し声が広がっている。



「じゃあ、依頼受けてくるから」



そう言って、シアは軽く手を振ると受付の方へ向かっていった。



その背中を横目に見送りながら、颯真は腕に抱えている仮面――

メルヴァンと一緒に、ギルド中央に設置された大きな掲示板の前に立つ。



無数の紙が、重なるように貼られている。

文字、図、簡単な挿絵。どれもこれも意味が分からない。



(……読めねえ)



異世界の文字は、相変わらずさっぱりだ。



「おい、メル。これ、なんて書いてある?」



「どれだ?」



颯真は仮面を少し持ち上げる。



「ふーん……適当なの拾うぞ」



メルヴァンは、貼り紙を読み上げていった。



「《グロウルバット》羽の採取十五体分。危険度Ⅰ【ハーモス】。

《ロックモール》6体討伐……こっちはⅡ【ディアス】だな

後は、外壁塗装の募集中だったり…」



「……ハーモス? ディアス?」



颯真は首を傾げる。



「危険度の指標だ。

Ⅰ《ハーモス》は無害寄り。一人でも受けられるのが多いな。

無害と言っても、油断すると最悪死ぬけどな」



「え……まじで?」



「Ⅱ《ディアス》は注意域。

基本は二、三人で受けることが多い。

まあ、一人じゃ無理なのがほとんどだ」



なるほど、と颯真は内心で頷く。



(危険度ランクみたいなもんか。

でも、結構厳しめっぽいな……)



そう思ったところで、メルヴァンが続けた。



「……まだこれで全部だと思うなよ」



「え?」



「この上にm、ふたつランクがあるぞ」



「……ほう」



(なんか言いかけた気がするけど、まあいいや)



「ちなみに前に倒したドラゴンは、ディアスの一つ上――ヴァリスだな。

一瞬で決着ついちまったが、本来はめちゃくちゃ強い」



「……まじか。そんなのを一撃でやったのか」



他にも様々な依頼が貼られている中、

颯真は無意識に、少し変わった依頼書に目を留めた。



そこに描かれていたのは、魔物ではなく――人の絵。



長髪。

耳がやや長く、目つきの鋭い、どこか胡散臭そうな男だった。



「……なあ、これは?」



「どれだ?」



「これ、魔物じゃないよな?」



メルヴァンが一瞬、黙る。



「……ああ。そいつは魔物じゃないな」



「じゃあ何」



「指名手配犯だな。

というか、これ――」



メルヴァンは鼻で笑った。



「俺のこと封印したバカルト教団の奴じゃねえか。

そうそう、世界維持教団――グレイシスだ」



颯真は目を見開く。



「え?」



「へえ、国から指名手配出てるな。えらいこっちゃだな。

それとその長髪の男、確か……俺が嵌められた時、現場にいたな」



「……まじか」



颯真は思わず仮面を見下ろす。



「本当に何もしてないのか?、心当たりは?」



「ないな」



即答だった。



「なんで襲うか聞いても『黙れ、化け物』って言われて会話成立しなかったし。

そもそも、ほとんど関わりなかった」



一拍置いて、低く言い切る。



「覚えとけ。

話の通じない奴は、魔物より厄介だぞ」



そのとき――



「お待たせ」



シアが依頼書を手に戻ってきた。



「依頼、取れたよ」



掲示板から離れ、三人はギルドの出口へ向かう。



背後ではさらに人が増え、朝のギルドは本格的に動き出していた。



扉を抜け、外の光が目に差し込む。



――こうして、初依頼の朝が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ