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聖夜の約束  作者: 紅桔梗
9/11

(9)

 



 この日は雨だった。


 綺麗な夜景には似合わない、


 灰色の雨だった。


 とても嫌な予感が頭をよぎり


 胸騒ぎを覚え急いで向かったけど、


 手遅れだった。


 病室には彼女は居なかった。


 否


 この世から彼女は消えてしまっていた。


 いつも彼女が居たベッドは空で。


 当たり前が崩れる音がした。


 病室は寂れてしまっていた。


 僕は中へ入り、


 空のベッドにそっと腰を下ろす。


「こら!たっくん!

 そこはちーちゃんのベッドよ!」


「―――っ!?」


 声が聞こえた気がして

 振り返ってみても、そこに彼女は居ない。


『あら。ふふふ。

 先生には内緒よ?

 添い寝しましょ!』


 そう言って悪戯っぽく笑う彼女は、


『たっくーん!!ねぇねぇ!一緒にかくれんぼしましょー!』


 無邪気に笑う彼女は、


『たっくん!』


 彼女は、


『……たっくん?』


 ちーちゃんは、


『―――――たっくん。』


 君はもうっ、


『おにーさん』


 いないんだ―――。



『ねぇ、約束よ?

 死んじゃダメよ。』


「―――っ!!」


 自然と涙が零れる。


「うぅ……あぁ、、、あああああああああ!!」


 ――――――君はもういないんだ。






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