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奴隷

今回から主人公自重が減りそう

「・・・・ゴーグルとかないかな?」


 ゼノは村からずっと走り続け、現在昼になったので少し休憩することにして、アリーシャが持たせてくれた弁当を食べていた。


 ただずっと全速力で走り続けていて思ったのは、目がものすごく乾いたことである。


 当たり前だが、早く走ると顔に風がかかる。


 そしてゼノはすごい速度で走っていたため、物凄く目が乾いたのであった。


「この世界には、見たことないしな・・・自分で作れたらいいんだけど・・・」


 とにもかくにも、走るスピードを抑えなければいけないと理解した。




 あのサラマンダーとの戦いの時からすこぶる好調だけど、ちょっと調子が落ちてきているのもわかる。


「あのサラマンダーの血とかが切れてきたのかな?」


 間違っていはいない推測。だが、ゼノはあの血が栄養剤みたいなものだと思っていたが、それは勘違いである。



「よし、地図を見る限りあと半分のようだし、もう少し頑張るか」


 弁当を食べ終え、ゼノは再び少しスピードを抑えてギルドへ向けて駆けだすのであった・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「おらおら!!さっさと食べ終えて出発するぞ奴隷ども!!」


 都市に向けての道に、3台ほどほろ馬車が停車していた。


 この馬車は奴隷商人たちが乗っているもので、今は奴隷たちに昼食を与えているのだ。


 奴隷に昼食を与えるのはほとんどの奴隷商人はやらないが、ここの奴隷商人だけは違った。


 奴隷にきちんと食事をとらせることで、できるだけ栄養状態をよくして高く売りつけるというモットーだったからである。


 ただ、与える飯は物凄く安い物ばかりでまずいものばかりだった。




 奴隷制度はこの世界では普通にある。


 借金の肩代わりにされたり、犯罪を犯したりなどをして落とされた者たちが行きつくのだ。


 男性なら力仕事など、女性ならいろいろとあるのだ。


 国によっては廃止をしているところもあるが、それでも大体の国では残っているのであった。


 なお、奴隷になるのは人間以外の亜人系統が多い。


 身体能力や、種族特製によっては人間よりも優れているのが多いためである。


 


「さて!!お前ら出発するぞ!!」


 この奴隷商人たちは、馬車を動かし始めようとした時だった。



「ゴブァァァァッツ!」

「ブモォォォォォォッ!!」


 茂みから何かが飛び出してきた。


「ご、ゴブリンとオークの群れだー!!」


 商人の一人が叫ぶ。


 どちらも他種族を利用して繁殖するモンスターで、大勢の奴隷がいるこの馬車を本能的に狙ってきたのだ。


「うろたえるな!!護衛どもやれ!!」

「「「「おおおおっつ!!」」」」


 こんなことがたまにあるので、奴隷商人たちは護衛の冒険者たちを何人か雇っていた。


「てぇいや!!」

「ブモォゥ!!」

「そいやせ!!」

「ゴブァァ!」


 物凄い混戦となったが・・・


「ぐぁぁぁっつ!!」


 どうやら、相手の方が有利な状況である。良く見ると、オークジェネラルと言う上位種も混じっていた。


「急いで逃げろ!!」


 戦っている護衛の人たちをほおって馬車を走らせようとする。


 だが・・・


「馬が逃げました!」

「ゴブブブブ」


 いつの間にか、ゴブリンが先回りをして、馬車と馬をつないでいた縄などを切ってしまっていたのである。


「ちいいっつ!!」


 このままでは全滅も免れないと思った時であった。


「ブモォォォォ、・・・ブモウ?」

「な、なんだ?」


 ゴブリンたちは動いてはいるが、急に、オークたちの動きが止まった。


「ブモモモモモォォゥ!!」


 オークの中で、オークジェネラルが急に何かにおびえるかのような声を出し始めた。


 次々と他のオークたちも同じように鳴き声を上げて、全員同じ方を向いたかと思うと、そのままオークたちはその方角へ向けて駆けだした。


「い、いったい何があったんだ?」


 オークたちのそんな行動に、その場にいた全員があっけに取られていた。


 

「まるで・・・何かと戦う覚悟をしたかのようなそんな感じでし、」

「どわぁぁぁぁあっつ!!」


 いきなり、オークたちが向かっていった方角から叫び声が聞こえた。


「誰かが襲われたのか!?」


 その叫び声が聞こえたので、奴隷商人たちは驚いた。


 次の瞬間。


「ブモォォォォォォォッ!!」


 オークたちが次から次へと吹っ飛んできたかと思うと、地面に激突していき、ゴブリンたちが下敷きなったりしていった。


「・・・ぜ、全滅しています」


 飛んできたオークたちの容態を確認した冒険者たちは、オークが全部絶命していることを確認した。


「だ、誰がやったんだ・・・・・?」


 悲鳴が聞こえた後に飛んで来たオークたち。


 間違いなく、その悲鳴の主がこいつらをぶっ飛ばして倒したのだと理解した。


 つまり、それだけの化け物のような人物だと予感した。





 飛んできた方角を恐る恐る見ると、誰かが走ってきていた。


 銀髪の青年のような容姿で、明らかに普通の人ではない速度で走っている。


 奴隷商人としての勘が叫んだ。


 間違いなくあれがオークたちを吹っ飛ばした人物だと。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時は少々巻き戻る・・・・



ゼノは速度をゆるめて走っていた。


「このまままっすぐ行ってそこから突き当りで右のみちっと」


 頭の中で道順を確かめていた。間違えて違う道へ行ったら大変だからな。



 と思っていた時である。


「ん?」


 向こう側から何かが寄せてきているのが見えた。


「なんだろうな・・・・って、どわぁぁぁぁあっつ!!」


 顔が豚の大群が押し寄せてきた。


 しかも体はまるで見にくく太っているような感じである。


 モンスターについていまいち疎い俺だが、あの容姿はさすがになんのモンスターかわかった。


「オークの大群かよ!!」


 こちらも走っていて、あちらも大挙して向かってきているのですぐ近くまで来てしまった。


が、様子を見ると何やら全員必死そうな形相で襲い掛かってきた。


「でもさすがにこれ時は気持ち悪いわっつ!!」


 毛虫に次ぐトラウマになりそうだったので、最初っから全力でオークたちを蹴飛ばしまくった。


 まるでサッカーボールのようにポンポン飛んでいき、向こうへと墜落した。


「うう、気持ち悪かった・・・」


 そこから、俺はまた駆けだした。オークを吹っ飛ばした方角に人がいたら、まずそうだしな。







 走ること数分。


「あー、やっぱりこのあたりに墜落していって・・・馬車までいるじゃん」


 どうやら3台ほどの馬車が見えた。


 このまま走って逃げても何やらまずそうだったので、急停止をかけた。


「すいませーん、大丈夫ですか?」


 と、何やら全員あっけにとられた顔をしていた。


「あ、ああ別に何ともないが・・・」

「君はいったい誰だ?このオークたちを吹っ飛ばしたのは君かね?」


 どうやら一人だけしっかりとした人がいるようである。


「えーと、・・・・冒険者登録をしに行こうとギルドに向かっているゼノです」


 さすがにこの状況はまずかったかな・・・?


「オークを吹っ飛ばしたのは間違いないのかね?」

「一応」


 間違いなく吹っ飛ばしたけど・・・誰かつぶれてしまったとかじゃないよな?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 奴隷商人たちの中でも、リーダであるボンビンは冷静さを保って、銀髪の青年に質問をした。


 そして、間違いなくこの人物がこいつらを吹っ飛ばしたのだと確信した。


 銀髪黒目の好青年といった具合に見えるが、奴隷商人としてこれまで数々の相手をしてきたボンビンの勘は告げた。


 確実に敵には回してはいけないような人物だと。


 できるだけ平静を装って、頭の中で考えた。


 今質問したところ、冒険者登録をするためにギルドに向かっていると聞いた。


 というか、これだけの実力があるのになってないのはおかしくないかとツッコミを入れたくなった。


「ギルドにいって冒険者登録か・・・まだ冒険者でないのか」

「ええ、今から登録しようと思って向かっているんですよ」


 と、ここでボンビンはふと思いついた。


「そうだ、私たちは奴隷商人なんだが・・・護衛としてそのギルドまででいいから来てくれないかね?」


 先ほど、オークが慌てたように見えたのは、この青年が怖ろしくなって戦う覚悟をしたのだと気が付いた。


 ならば、この銀髪の青年がいればこの先ギルドまでならかなり平穏に行けるのではないかと思いついたのである


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「奴隷商人ね・・・」


 この世界に奴隷商人と言うのがいたのかと、俺は驚いた。


 ・・・まあ、別に世界が違うからそこまで気にすることでもないか。


 前世の地球とは倫理観とかは違うからな。


 だけど・・・・護衛としてついていくのはな。なーんかいやだな。



「護衛と言っても、俺はまだ冒険者でないんですが。それに、他にいますよね」


 俺が視線を向けたのは、剣などを持った人たちである。


 明らかにあれがこの奴隷商人たちの護衛だよね?


「冒険者でなくとも、私は実力のある物なら護衛にしたいんだ。ギルドまででいいからなってくれないかな?」


 ふむ、このおっちゃん実力主義みたいな感じか・・・・



「護衛をした見返りとかはあるのか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「見返りか・・・」


 どうやら、この銀髪の青年は乗ってくれそうな雰囲気である。


 ここで何かを示さねば、いけないな・・・


 と、ボンビンは奴隷のことを思いついた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・だったら、ギルドに着いたときに私たちの奴隷の好きな誰かひとりを無料であげよう」

「ボンビンさん!?」


 他の奴隷商人と思われる人が驚いたような声を上げる。


 と言うか、ボンビンて言うのかこの人。・・・ちょっと笑いたい名前かも。


 だけど、奴隷の誰か一人か・・・・別に奴隷がいるわけではないけど・・・。


「・・・だったら、まずは奴隷を見せてもらおう」


 みた方が良いな。ろくでもないのが多いかもしれないし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この青年が気に入るようなやつがいなかった場合、確実にこの話はなかったことになるだろう。


 ボンビンはそう思った。


 だが、伊達に奴隷商人を長く続けているわけではない。


 しかも、今回運のいいことに、確実にこの青年が気に入るかもしれない奴隷がいるのだ。


 最高級の奴隷で、本来は貴族とか金持ち連中に売りつけたかったが、この青年が護衛になってかつ敵に回らなくなるならそれに見合った価値はあるはずだ。


 ボンビンはその奴隷を見せるために、最後尾の一番厳重な馬車に案内をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ゼノはまあ、別に奴隷制を反対するわけではない。


 そもそも自分は元をただせばこの世界の人とは違うから、前世の価値観を押し付ける意味もないのだ。


 ・・・奴隷をもらったとしても扱いに困るが、まあ、うん。ゴライアス家のお手伝いとかそういうふうになってもらえればいいかな。


「こちらの奴隷なら、確実に気に入ると思いますが・・・」


 ボンビンとかいう奴隷商人に、最後尾のなにやらちょっと違う馬車に案内された。


「この中にいるのは、我が奴隷たちの中でも最高級の者たちです。普通に肉体労働に従事させるのもよし、性欲のはけ口にするもよしの中でも本当に最高級の奴隷たちですよ」



 中を見て見ると、どうやら牢屋のようになっている。


何人かいるのだが・・・・・特に目立ったのは・・・・ん?


 ふと、奥の方にいる一人に目がいった。


 頭の上の方にふわふわの獣耳があり、きれいな尻尾を持った感じ女の人がいた。


 なんか日本の妖狐とかそういう物に近いな・・・・。


 こちらを振り向いたとき、きれいな感じの顔だった。


「あれは?」

「おお。あれは最近奴隷になったばかりの獣人の娘、金狐族の者です」


 なんというか、場違い感が半端ないな。この世界ってなんとなく西洋風な感じがするけど、あれって思いっきり和風・・・・。


 でも、きれいな人だな・・・・。



「・・・・それじゃあ、ギルドに着いたらあの狐の娘で」

「では、護衛を引き受けてくれるのですね!!」


 引き受けることにしたけど・・・・なんだろう、物凄い罪悪感が。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方、ライガル村では。


「・・・・ん?」

「どうしたアリーシャ?」


 村の復興作業中、アリーシャの様子を見てゴライアスは気になった。


「いや、今ゼノさんが何となく何かやらかしたような気が」


 ゼノのいる方角に向けて、アリーシャはなんとも微妙な表情を向けたのであった。


女の勘、侮りがたし。

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