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一ノ瀬兄妹(に)は伝えたいことがある  作者: 久川梓紗
桜闘
10/59

10話「準決勝」

疑問に思いませんか…?

二年生が生徒会長だなんて…!←

時期によるのですが…((

「これから準決勝を始めます。」


 アナウンスが鳴る。


「準決勝だな。」

 背を向けていた櫻井に目を合わせるように体の向きを変える。


「今回のお題は…『睨めっこ』です!頑張ってください!」


「「桜闘(おうとう)じゃねぇよ!!」」


 アナウンスがお題を言った後、体育館にいた生徒ほとんどが口を揃えて言った。

 今回の企画者は本当に時間省略と闘いを嫌ってるらしいな。

 誰が考えたんだ?これ…。


「今回の桜闘は随分簡略化されてるな。」

 櫻井が独り言のように呟く。

「そうだな。」

 その言葉に同意する。


「生徒会長がほとんど考えたんですよ。ね、一ノ瀬くん。」

「え?」


 後ろから声が聴こえ、その主の方に振り返る。

 サラサラな髪の毛にべっこう柄眼鏡。

「放送委員委員長。」

 彼に指を指して言ってしまった。


安食琉蘭(あじきるか)です。」

 安食が営業スマイルで挨拶をする。

 …本当にこの人の笑顔は素敵だと思う。

「受け付けしてた人か。」

 櫻井が会話に混ざる。

「はい。」

 安食が頷いた。


「生徒会長が考えたと言う事は一ノ瀬が考えたんですか?」

 櫻井が安食に聞く。

 あっ、まて。柚樹が考えたと言う事は…僕が今まで反応してたことは、矛盾してるということではないか。

 柚樹は対戦内容知ってるにも関わらず毎回驚くとか…可笑しいだろ。

 僕が混乱をしている様子を見てか、安食が微笑を浮かべる。


「そうです。あ、でも会長は面倒くさそうに思い当たるのを書いて、私達実行委員がくじ引きで引いた順に、決闘内容を決めたので一ノ瀬くんが知らないのは当然ですよ。」

 なんか、軽くフォローされた気がする。

 それと、生徒会長と一ノ瀬。と言う名でなんか区別されてるような…。そんな気がした。


「そうだよな。生徒会長が決めたなら一ノ瀬が知らないのは可笑しいと思ったんだ。」

 やっぱ、そう思うよな。

 僕は乾いた笑いを漏らす。

 自分がある意味危険な位置に立っていることにも構わず、納得してしまう。


「準決勝を始めます。選手の四名は集まってください。」

 放送がまた鳴り響く。


「では、頑張ってください。」

 安食が僕達に手を降る。

「ありがとうございます。」

 僕と櫻井は安食に会釈をして集合地に向かおうとした。

 その時、軽く僕の腕が引っ張られ、身体が傾く。


「無理は決してしないように。一ノ瀬さん。」

 耳元で柔らかく優しい口調のはずなのに、からかいや真剣さが混じった声が聴こた。


「では、頑張ってくださいね。」

 僕が体制を直した時には笑顔で手を降ってる安食がいた。


「はい。」僕はそう言うと逃げるように彼の元から去った。


『無理は決してしないように。一ノ瀬さん。』

 さっきの安食の声がまだ僕の耳にはっきりと残る。

 …今まで話してた安食の声だったけど、そうではなかったから。

 とてもいつもニコニコ笑ってるような人の声には聴こえなかった。

 __それに…一ノ瀬さん。と彼は言った。櫻井といた時は生徒会長か、一ノ瀬くん。と言っていた。


 ……彼は何か知っているのだろうか。




 ___僕と柚樹のこと。





「では、これから準決勝を始めます!ルール簡単!五分いないに笑った方の負け。ただし、相手に手を出したら失格になります!頑張ってください!」

 アナウンスが耳元で聴こえてくる。


 僕らは今からステージ上で子供の頃、誰もが遊んだだろう遊びを今からやるのだ。

 ……ここの学校以外なかなかこんな体験はできないと思う。…絶対。


「では、よーい、スタート。」


 マイクの雑音が痛い程に耳に届いた。


 僕は真顔で真っ直ぐを見る。

 今の僕の頭は相手のことをまともに見れる状態でもなく、何かをやる対応力もなく、ただただ、真っ直ぐを見る。それしかできなかった。


 僕の頭に色々なことが投げ込められ、それについて延々と回っている。


 …まず、櫻井は負けることはないだろう。

 あいつは基本的に無表情で暮らしていると思う。ポーカーフェース過ぎてなに考えてるか、今の僕には分からない事が多いが…。


 横に視線をやっていたのを対戦相手に戻す。

 対戦相手は自分の耳を引っ張ったり、舌を出したりしている。

 ボーっと相手を見る僕にとってその様子は馬鹿をしてるようにしか見えない。

 くだらない。と言う言葉さえ出た。


「クッハハハハ、あ"っあ"はははは…!!」


 何処からか笑い声が聞こえる。

 対戦相手の方を見ても自分の顔を引っ張ったり動かしたりで忙しそうなのでこいつではない事は分かった。

 と言う事はきっと櫻井の対戦相手だろう。

 僕は目をそっと閉じた。


 彼の対戦相手には申し訳ないが、櫻井はこんな下品な笑い方はしないと思う。

 反対に、そんな彼を見て見たいと言う気さえした。


 目を開いた時、櫻井が相変わらず無表情のまま僕らを見ていた。

 それにつられて僕は自分の対戦相手の見る。

 彼の眉がピクリと動いた。


 僕が思うに人間は、人の笑を聞くと大概少し笑ってしまう。

 それは櫻井みたいに無表情で暮らしてるような奴や、今の僕みたいに相手を見下したりしている人以外はだいたい。

 誰もが大概、笑うだろう。そしてその笑の元となる物事や人物を見たら…。


「ぅっ…ん。」

 僕の対戦相手が自分の口を手で塞い他のが見えた。

 …そろそろかな。


 彼の肩が震え始めた。

 僕は対戦相手の視線を追っていくと無表情の櫻井が立っていた。

 やっぱり笑のもとはこいつだったか。と確信する。


「あははは。アハハハっ!」

 対戦相手が自分の手を離して盛大に笑った。


 なんか、全てがどうでもよく感じてしまう。

 勝負だということも忘れていた。


 さっきまでの笑いか沈黙だけだった体育館にアナウンスが鳴る。


「これで決勝を闘う二人が決まりました!」

 ステージ下から拍手が聞こえる。


 この中に僕らのこと嫌がってる人いるんだろうな。

 と言うよりほとんどが嫌がってるのかもしれない。


 …なにせ、拍手しているのが、実行委員の数名なのだから。

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