地球ダイブ
自由落下を意識した瞬間。僕の体は、まるで真空の領域を進むように抵抗なく、クリスタルの中を落ちた。
巨大な断面模様が加速度的に、吹き上がるように上へ流れていく。一瞬、目がくらむ。
「ひょう!」
こんなでもだ。
目に見えるあそこまで、約20分もかかるというのだから、地球はでっかいものだ!
向こうに視線を飛ばす――
“眠りのショーグン”。
僕がスピードを上げていくと、リンクしてるのか兄貴の体も同じく上げていく。減速すれば減速し、二人の距離は変わらない。
遙か上空に、恐る恐る追従してきている女の子たち。そんな彼女らから、『ため息』が聞こえた。
そう。こんななら、旅を先行させたショーグンが有利だからだ。
「――」
周りを見る。
地球直径、約12800km。ここらは、地殻と呼ばれる領域だった。花崗岩、玄武岩などからなる層だ。
すぐに上部マントルに突入。直径約12700km。金星をほぼ飲み込む大きさである。かんらん石などからなる流動性を持つ熱い石質の層だった。
なお、熱光は、ムーの方で適度に遮光してくれている。でないと、熱か光圧で死んでいたかもしれない。
下部マントルに突入。直径約11500km。約24万気圧。固体となったマントルの層だった。
外核突入。直径約7000km。火星を飲み込む大きさである。約130万気圧。火炎地獄はかくやと思わせる。鉄とニッケルなどからなる、流動性をもつ層だった。ここのダイナモ機構により、磁場が生じているのだ。
内核突入! 地球の、究極の熱源だった。固体となった鉄合金である。直径約2500km。冥王星を余裕で飲み込む大きさだ!
嗚呼、最果て、極寒の星が最高の熱星だったなんて!
自分の戯れ言に自分で笑う――
そして、0km。地球中心だった。400万気圧。その温度は、太陽表面と同じ、6000度!!!
先着したのは、ショーグンだった。




