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ゲーム

「ゲームについて説明してほしい」

『ここ、ムー大陸を、あなた方それぞれのスタイルで、旅してもらいます』

「このクリスタルで満たされた空間を?」

 とたん、だった。

 全周囲が、地平線まで広がる草原になったのだった。

 大きな青空、白い雲。風がほほを撫で、どこかで鳥の囀る声まで聞こえてくる。今、バラバラだった全員の重力方向も大地に倣い、皆して立ち並び、その地面は裸足に土の感触をよこして――嗚呼、リアルとも見分けがつかない素晴らしく完璧なVRなのだった!

 ブラン一頭だけは別の景色を見せられているのだろう。空に浮かんで寛いでいる。そのシュールさに微笑を誘われる。


『ここは、わたしの星の風景。“ムー星”の光景です。こんなでよければ、ご利用ください……』

 これで俄然元気になったのが人間族、ショーグンだ。会話の主導権を取る。

「勝敗はどう判定されるのだ?」

『さきほどご覧頂いたように、このムー大陸は、その端がちょうど地球中心にあります。そこが旅のゴール。先着した者が勝者です』

「アハハ、ムーよ?」

『なんでしょう』

「気づいてないのだろうが、俺ら人間にとって、大陸(おまえ)はチト大きすぎるのだ」

『乗り物をご用意いたしましょう』

 とたん、今まで大草原だった景色が一変する。それは、現代的な、広大な複合ターミナルだった。

 遠く、青い海が見える。港だ。巨大豪華客船から軍艦、帆船、ヨット、そして冗談のつもりか、スワン・ボートに至るまで、堂々と係留されている。そこから少し内陸側がエアポートだった。これも大型機から小型機まで、飛行機各種がズラリと並んでいる。なんと宇宙ロケットも、そして、のどかな気球も、あったのだった。

 中ほどには鉄道車両が、これも古き懐かしい蒸気型から、最新の流線形の物まで整然と待ち構えている。

 そして近場には陸上車両だ。バスからスーパーカー、戦車に軽自動車まで、なんでもそろった多輪車両。そしてバイク、自転車などが、それこそ数かぞえきれなく並んでいて、最後にはなんと馬車、さらに単体の馬そのものまでもが、準備万端整いプレイヤーのお越しを待っていたのだった。

 そのどれもこれもが、どこかしら雰囲気が変わっているのは、それがムー星人仕様だからなのだろう。

「すごい……」

『どれでも、あなたの旅のスタイルで……』


 ショーグンが真面目な顔してこちらに問う。「いいのか?」

「世界一流のプレイヤーと競争できるなんて、身に余る光栄です」

「なぁ、お前は命を賭けてるんだぜ?」

「お互い様です」

「だな。けどよ、年期も場数も雲泥の差だ」

「手を抜かないでください。全力でよろしくです」

「……マリリン、それと、真理君のことは心配するな」

「では、百人のこと、請け負います」

 ニャッとした。エールの交換は終わった。


 僕がうなずくのを確認して。声だけの存在が、宣言した。

『ゲームスタートです』

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