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ホテルビーチ 3
もう、その場の勢いというものだ。
マリーの手のひらのそれを、握り取った。
クレジットを開始する。すぐに完了する。これで僕のもの。
「これは君のボールだ!」
「?」
そして、パフォーマンス。まるでプラムを食べるみたいに齧って吸収、体内に備蓄させたのだった。
「うん……」と頷き、わざとらしく目を丸くしてみせる。
「美味しかった! 君ってとっても甘いんだね!」
視界の明度をあげた。マリーは真っ赤になっていた。「ヘンタイジャパン!」
見られていることに気づき、ますます赤くなる。
「正直に言うとね、声をかけられたとき。君と遊べる、と激しく勘違いしたんだ」「ヘンタイ!」
「ごめん。でも僕は、全財産巻き上げられてもいいと有頂天になってたんだぜ」「ヘンタイよ!」
「だって君は、マジ可愛いんだもん」
「ああ、降参だから――!」
どう振る舞ったらいいのか分からないふうに、嬉しそうに、身を捩っている。
「――アナタに手伝ってほしい」勇気の言葉だった。
堅く頷く。
「よろこんで。期待に応えられると思うよ」
父の子であることに誇りを感じる。
そして、握手。柔らかな触感だった。




