↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件  作者: 未知(いまだ・とも)
第1章 〜魂の帰る道〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/73

第9話「妹の初任務、いきなり国王案件!?女王様からのご指名クエスト、受けて立ちます!」

前回は『妹』のみきぽんの正式入団を祝う大宴会!


酒場でわいわい大盛り上がりの中、まさかのスマホ配信バレ事件もあって、ギルド仲間もリスナーもみんなで大はしゃぎでした。


そんな楽しい夜が明けて……今回はなんと、女王陛下とご対面です!

新人冒険者のまきぽん、いきなり国のトップと謁見しちゃって大丈夫なの!?

「……ん……」


柔らかな朝の光が差し込んできて、私はゆっくりとまぶたを開いた。

そこにはギルドハウスの木製の天井があった。


(……やっぱり、夢じゃなかったんだ)


昨夜の宴も、賑やかな市場も、そしてバロールとの死闘も——。

全部、現実。


もしかしたら、目が覚めたら自分の部屋かも……

なんて、ちょっと期待してたけど……甘かったかな。


だけど。

すぐ横から聞こえてくる寝息に、ホッと胸を撫で下ろす。


小さな身体を丸めて、私の布団に潜り込んでいる女の子。


(みきぽん、いてくれた……夢でも幻でもないんだよね)


そう思った瞬間、自然と口元がほころんでいた。


「もにゅ……おねーたん……ぷりん……」


寝言をつぶやきながら、みきぽんがもぞもぞ動いた。


「ふふ、食べ物の夢見てる……」


私は吹き出してしまった。


大きな伸びをすると、みきぽんは起き上がった。

髪は寝癖でポワポワに跳ねていて、ツインテールもめちゃくちゃだ。


「仕方ないなぁ……ほら、ここ座って」


私は木製の櫛を取り出し、背後から髪を丁寧にとかしてあげた。


「おねーたん……?」


まだ眠そうな目で私を見上げながらも、大人しくちょこんと座っている。

長い髪を二つに分け、高い位置でツインテールに結ってあげると——。


「はい、できたよ」


「わーい! あいあとでち♡」(注・ありがと)


嬉しそうに抱きついてくるみきぽんに、胸がきゅんとした。


この子に出逢えて、本当によかった——。


 * * *


食堂に降りると、エプロン姿のバルガンの豪快な声が響いた。


「おう! 寝坊助ども、朝飯はもうできてるぞ!」


長机の上には、湯気の立つポリッジ(オート麦の粥)、焼きたての黒パン、野菜がたっぷり入ったスープが並んでいた。


「またやさい……」


「野菜を食わんと、大きくなれねーぞ!」


口を尖らせて不服そうなみきぽんの頭を、バルガンはポンポンと叩いた。


(あーあ、また始まった……w)


その光景を見て、ノエルは


「大丈夫よ〜、お姉さんがあまーい蜂蜜をかけてあげるからね」


と笑い、リゼは


「おい……甘やかしすぎだ」


と呆れている。


そんな微笑ましいやりとりで、今日もギルドは朝からにぎやかだった。


その空気に一区切りつけるかのように、奥の扉からエリアスが現れた。

まだ朝早いというのに、すでにもう濃紺のローブに身を包み、仕事モードに入っているようだ。


「まきぽん」


「えっ、なに?」


思わず背筋が伸びてしまいそうな、真面目な声色だった。


「女王陛下が、あなたにお目通りを望んでおられます」


「——えっ!? じょ、女王陛下!?」


思わず声が裏返る。

ノエルは驚いてスプーンを落としそうになり、リゼは表情を引き締めた。


「本日の午後、みきぽんを連れて王城へ来てください——皆さんも一緒に」


「ん、俺もか?」


「あら、何かしら……?」


バルガンとノエルにも、緊張が走る。


王宮使えのエリアスやリゼと違って、王城は、私たちのような一般冒険者がおいそれと入れる場所ではない。


「おしろ……? おひめたま、いるでち?」


「いや、いるのは女王様だから……って、そこじゃなくて!」


パンを頬張りながら首をかしげるみきぽんに、私はツッコミを入れた。

みきぽんのあどけなさは、緊張を一気にほぐしてくれる。


でも——。

女王陛下が直々に……なんのために?


答えの出ない疑問を抱えたまま、私たちの新しい試練が始まろうとしていた。


 * * *


リアンナハの王城は、白い石で築かれた堅牢な城壁に囲まれ、その中心にそびえる塔はまるで天を貫く槍のようだった。


幾重にも用意された厳重な門や扉を通り、赤い絨毯が敷かれた大広間に足を踏み入れると、私は思わず息をのんだ。


「す、すご……マジでこれ、ゲームのムービーそのまま……!」


思わず小声でつぶやくと、リゼに横目で


「静かに」


と睨まれて、慌てて口を押さえた。


「おねーたん、しーっでち!」


「おうおう、みきぽんの方がお姉ちゃんみたいだぞ」


「みんな静かに、……陛下がいらっしゃるわ」


ノエルの一言に、みんなは背筋を正す。


「——女王陛下、ご入場!」


儀仗兵の声が響いた途端、広間に並んでいた兵士たちが一斉に胸に拳を当てる。


リゼも同じように静かに構えるが、さすが黒翼戦士団の団長——

彼女の仕草は、一際高い気品を放っていた。


(え、えっ……これって私もやらなきゃいけないの!?)


思わず混乱した私は、日本人らしく慌てて深々と頭を下げてしまう。


「……!」


横目でちらりと見たみきぽんも、慌ててまねをして、ぺこりと小さな体でお辞儀。


(……あ、やば。絶対おかしかったよね、これ……!)


広間の奥の荘厳な扉が開き、従者を引き連れながら一人の女性が入ってきた。


真紅のマントをまとい、白金の髪を背に長く垂らした少女。

まだ若いはずなのに、その眼差しはどこまでも澄んでいて、揺らめく炎のような力強さを秘めている。


『神聖なる炎のフィオナ・ブリーデ』——この国を治める若き女王だ。


「皆の者——よくぞ参りました、面(おもて)をあげなさい」


彼女の声は澄み渡る鈴の音のようで、広間の空気を一瞬で崇高なものに変えていった。


顔を上げると、壇上に立った女王フィオナは、薄く唇をゆるめて微笑んでいた。

その眼差しは「仕方ない子たちね」という温もりを帯びていて、叱責ではなくむしろ慈しみのように感じられた。


黄金に輝く玉座と、その背後には、永遠の炎を湛えた燭台が燃え続けていた。

その神秘的な雰囲気に圧倒され、膝が震えそうになる。


(……あ、やっぱりただの女の子じゃない。この方は、この国を守る『女王』なんだ)


冗談じゃなく、本当に『選ばれた存在』って感じがする。


「まきぽん。あなたと、その隣の小さき者が……市場を救った、と聞いています」


「は、はいっ!」


「おねーたんとみきぽん、がんばったでち!」


小さな胸を張るみきぽんを見て、女王の背後に控えたエリアスが微笑みながら頷いた。


「ふふ……愛らしい子ですね」


女王はかすかに微笑み、しかしすぐにその瞳を真剣な光に変える。


「今日皆を招いたのは、他でもありません」


皆が陛下の発言に静かに耳を傾ける。


「今、王都の北の洞窟に『闇』が広がりつつあります。

 人々を襲う魔物がそこから溢れ出し、民を脅かしているのです」


「……闇」


私は掠れた声でつぶやいた。

声を発するのにも勇気がいる雰囲気だ。


「兵士の一団を遣わせましたが……数名の兵が消息を絶ちました」


(……えっ!)


「無事に戻ってきた者も……『闇』に心を蝕まれ、言葉を発することができなくなった——

 そう聞いています」


(……それ、かなりヤバいやつじゃ……?)


……誰も言葉を発さない。

唾を飲む音すら憚られるほど、張り詰めた沈黙。


「大変難しい任務であることは、承知しています。

 しかし……この国を……民を守るためには、あなたたち冒険者たちの力が必要なのです」


女王は沈痛な面持ちになったが、一息置いて厳かに告げた。


「私(わたくし)はここに、神聖なる炎のフィオナ・ブリーデの名において——

『白銀の角笛団』並びに『黒翼戦士団』に洞窟の魔物の討伐を命じます」


その瞬間、広間にぴんと張りつめた空気が走る。


兵士たちは一斉に直立し、女王の背後の炎が大きく揺らめいて影を伸ばす。

ノエルは息を呑み、バルガンですら背筋を伸ばしていた。


「はっ!仰せのままに!」


最初に胸に拳を当てて、力強く答えたのはリゼだった。

彼女にとって、女王の命は絶対だ。

どんなに危険でも、拒否するという選択肢は——最初からない。


「まきぽん、あなたと……その妹も、共に向かってもらえますか?」


——え、女王陛下直々にご指名!?

いやいやいや! 私、まだレベルも低いし、そもそもこの世界に来たばかりで——。


「あの、ええと……」


そんな私の気も知らずに、みきぽんは

——まるで『遠足に行きたいおともだち、手をあげてー?』

と呼びかけられた幼稚園児のように——

にっこり笑って、元気よく手を挙げた。


「あーいでち! みきぽん、おねーたんといっしょに、がんばるでち!」


「いや即答!?」


私は慌ててみきぽんにだけ聞こえるように小声で囁いた。


「……ちょ、ちょっと待って、みきぽん!?

 そんなに軽く引き受けちゃダメでしょ、みんな死んじゃうかもしれないんだよ!?」


「だいじょぶでち、どっかーん! でやっつけまち!」


この世界がゲームの中じゃない以上、もし『何か』があった時にどうなるのか予想もできない。

この子はそれがわかっているのだろうか。


「ふっ……幼いけれど、肝が据わってるな」


リゼがぽつりとつぶやく。


「あい! おーせのままにー、でち☆」


女王フィオナは小さくうなずき、再び玉座の炎を背にして告げた。


「では——角笛団よ。

 王国の未来のために、どうかこの務めを果たしてほしい」


それはただの依頼じゃない。

命を懸けた『使命』を告げる声だった。


「「「「はっ!」」」」


ギルドのみんなの決意が広場に響き渡る。


(……やるしかないんだ、よね)


胸の奥で、不安と決意がせめぎ合う。


 * * *


こうして私たちは、初めての『女王からのクエスト』を受けることになった。


けれど、その先に待ち受けているのが想像もしなかった運命の扉だなんて——

このときの私は、まだ知らなかった。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第9話ではついに、若く美しいリアンナハの女王、フィオナ陛下が登場しました

彼らが恐れる「洞窟の闇」の正体とは一体……?


次回はいよいよ、《白銀の角笛団》初のクエストに挑戦!

道中ではコミカルな掛け合いも健在です。そして最奥部で待つのは、衝撃の結末……?


評価やブクマの一つひとつが、次の執筆の力になります。少しでも楽しんでいただけたら、応援いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ∧_∧  ∧_∧   ∧_∧ (´・ω・) (・ω・`) (・ω・`)目覚めの (⌒丶ー⌒丶⌒ー-ィ⌒) ⌒ー-ィ⌒)ベシタブルで 丶 ⌒ン⌒)⌒ン⌒ ノ ⌒ン⌒ ノ今日も元気100…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。