表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
びんかんはだは小さい幸せで満足する  作者: 樹
第四章 異世界
81/412

76話 時の導

76話目投稿します。


再開の姉妹は2人で居られる事に感謝と細やかな幸せを感じている。

憧れを礎に積み上げるは、時の世界か

リルの声…リルの…声?


「フィルさん。」

星のような光が駆ける暗闇の中、声の元を探すが姿は見えない。

「大丈夫です。思い出して…私やメルの姿を…」

言われた通り、2人の姿を頭の中で形作る。

「ゆっくり、ゆっくり目を開けて…」

開く瞼の端から届く視界の中に、薄い光を纏った足…手…顔…もう随分長い間会ってなかったような感覚に襲われる。

2人に向かって飛びつく。

勢いにバランスを崩し、倒れるかと思われた私たちの体は中に浮くように暗闇を漂う。

『なんで!、なん、でこんな事!』

再会の喜び以上に2人の決断への理由が解らず、涙が溢れる。


「フィルおねぇちゃん、メル、楽しかったんだよ?」

『メルちゃん…』

微笑むメル。

牢獄で助けてくれた私は、彼女にとっては両親以上に格好良かったと。

まるでおとぎ話の勇者のようだったと。

そして、短くとも私と過ごした時間は、日常から遠く離れて一層強く、彼女の興奮を掻き立てた。

故に姉から私の力に、役に立ちたいという想い聞いた時、その想いを後押しするように、その身を賭したのだ。

『ごめん…ごめんね!』

「ううん、嬉しい。だって、メルはずっとここにいられる。お姉ちゃんたちと一緒に!」

握り返された私の体は、その内に留まっていた闇を払われた。

彼女の笑顔はこの暗闇の中でも解るくらいに眩い。


『リル…』

「フィルさん。私もメルと同じだったんですよ?」

メル同様に、彼女の目に映った私はとても力強く、輝いていたのだという。

「もしもフィルさんが男の人だったら、何としてもお嫁さんにしてもらおうとか思っちゃうくらいに。」

フフッと笑うリル。

涙でボロボロになっている私の顔に、伸ばされた手が頬に触れ、優しく撫でる。

『でも、もう戻れないんだよ!?』

僅かに曇る表情。

「確かに、両親に会うことはもう叶わないんでしょうね…でも…」

メル同様に微笑むその顔もまた、何かをやり遂げたような晴れやかさを持ち、眩しさを感じさせた。

「貴女の未来はきっと、私たち姉妹だけじゃなく、もっと沢山の人を助ける事が出来るはずです!」

頬に添えられていた手が、私の両手を力強く握りしめ、その瞳は言葉より強く、その意志を私に伝えた。

「だから…」

続く言葉より早く、私の腕はリルの体を抱きしめた。

『うん…うん!…きっと、もっと…2人に負けないくらい!、頑張るから!』

まだ私の涙が枯れる様子はない。

そして、リルの目にもまた、大きな雫が溜まり、こぼれ落ちた。

けれど彼女は、涙を流しながらも、子をあやすかのように私の頭を撫で続けた。




どれ程の時間が過ぎたのか、この暗闇の中では解らない。

いや…そもそも、グリムたちの研究が成功を見たのであれば、今私たちが居るこの場所は、時間という概念の外。

改めて見るこの景色は星が駆け抜ける夜空のようにも見えるし、大きな川の流れにも見える。

「グリム様は私に一つの使命を言い渡したんです。」

後ろ手に回し、戻した手に持っていたのは、ランタン。

中に宿る灯火は、どこか優しく輝く。

まるで彼女の温もりそのもののように。


「時の船頭になってほしい、と。」


『でも、門の維持は出来ないって…』

頷き、口を開く。

その様子はこの空間の成り立ち、在り方を理解しているかのような説得力を以ていた。

「あの時代に開かれた門はもう閉じています。恐らく私たち姉妹はあの世界には戻れないでしょう。」

寄り添うメルも僅かに顔を曇らせる。

「けれど、フィルさん。貴女が約束してくれたように、私たち姉妹はこの場所でずっと一緒に居られる。」

ね?とメルに聞く、メルもまた笑顔で返す。

それが…私が2人に与えられたモノだとするなら、手放しに喜べない。


「それに、凄くないですか?、だって…時の船頭ですよ?。おとぎ話の中にはいっちゃったみたいじゃないですか!」

っと、何か…妙な方向で興奮している気がしなくもないのだか…隣のメルはメルで…

「へへっ、メルね、グリムおじさんとニコラお兄ちゃんにヤミマホーっての教えてもらって凄いんだよー!」

みてて!と嬉しそうに…えっ、何か一瞬で移動して…これカイルが使ってたのと…はちょっと違うか。


2人の唐突な行動は独特な緊張感を吹き飛ばし、ついつい笑い声を上げてしまう。

『ふ、ふふっ…は、ははっ!』

それに釣られ、2人も笑い声を上げ、3人でしばらくの間、はしゃぎあった。




『ねぇ、リル。ここって結局なに?』

うーん…と顎に指を当てる。

「説明するの、ちょっと難しいんですけど…そうですね…」

立ち上がったリルがランタンを振りかざすと、周囲の景色が変わり…

「こんな感じでしょうか?」

あ、出来た。などと、自分の行動に驚いている風。

円形の部屋にいくつかの扉。

「例えば、この扉が色んな世界…というより時、でしょうか?、に繋がっている。と言ったら分かりますか?フィルさん。」

扉の一つに手をかけ、取手を捻る。が動かない。

『鍵がかかってる…?』

「そうです。元居た世界では門が開きました。つまり…」

『鍵が開かれた。と?』

頷くが、同時に、

「今はあの世界の扉も鍵がかけられている、といったところでしょうか。」

と付け加えた。

『つまり、行きたい時代に自由に行けるわけじゃないって事ね。』

「フィルさんの行きたい世界への扉は…分かります。」

リルの言葉で一つ解った。

グリムがこの姉妹を選んだ理由。

それは、私の想いに応えてくれる、心を通わせる存在が必要だったと。

とすれば、メルの力は…


「メルが扉を開けばいいんだね!」

と元気よく言う少女は腕まくりをして、その腕をブンブンと振り回している。

『えーと…そういう事…になるの?』

なるのか?

感想、要望、質問なんでも感謝します!


姉が造り上げた扉を貫くは、妹に秘められた力。

画して開かれる扉の先でフィルを待っているものは?


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ