Step7. ランチタイム
「そろそろ昼飯にすっか、サワタリだったか。いくぞ」
「はい、よろしくお願いします」
集中していて気づかなかったが、お昼になっていた。ジン先輩がランチに誘ってくれた。……名前、覚えてくれたんだ。
ジン先輩の後を追う。
着いた先は、社員食堂だった。メニューは肉か魚もしくは野菜の3つ。日替わりで好きなものを選ぶ方式だ。
今日の肉は、オークチョップのオーブン焼き、魚はスカイフィッシュのソテー、野菜はアルラウネのステーキだ。どれも興味深い。
「おい、決まったか?」
「は、はい。決まりました」
もちろん、決まっているはずはない。決まってませんと言える人は強者だろう。だが、このパターンには秘策がある。見ていていたまえ。
「オークチョップの肉大盛り、パン追加で、野菜抜きで」
「あいよ、そちらのお兄さんは?」
「自分もオークチョップでお願いします。量は普通で」
「あいよ、オーク2、1つは大盛り野菜抜きで」
先輩と同じメニューが無難だろう。これぞ日本人の心。社員証を魔導装置にかざして、支払いをする。今回はジン先輩がやってくれた。奢りらしい。
「ありがとうございます。ご馳走になります」
「おう」
木のプレートを取り、前に進む。その先で注文した料理を受け取って、空いているテーブルに座る。お待ちかねの食事だ。
「いただきます」
「……うまいっ!」
脂身の少ない豚肉みたいな感じで、肉質は少し硬めだ。濃いめの味付けも好みだ。昨日から食べておらず、空腹なことに加えて、奢りであることを加味するとうまさ倍増だ。
「そんなにうまいか?」
「はい! とてもおいしいです。食堂の使い方も分からなかったので助かりました」
「そうか……それは良かったな」
こうして、穏やかなランチタイムは、終わっていった。