表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でもプログラマは不足していた  作者: ベル
第三章 魔法使いサワタリ
31/31

Step29. 魔法の検証

 魔導書(猫の表紙)が、手に入ったどー!


 早く試したい。

 街中(まちなか)で魔導書を広げていたら、間違いなく不審者だ。

 公園に行って、無難な魔法を試してみよう。




 * * * * * 




 野鳥観察のフリして、池に向かって、望遠視(ファーラウェイ)

 目の前に、15インチのバーチャルスクリーンが現れた。


 おお! 水鳥の泳いでる姿が、見える!

 視力が上がるという訳ではなかった。

 遠くの映像が、近くに見える系。


 スクリーンにバーのUIがあって、距離や向きの調節が出来た。

 距離は、20~100メートルってとこか。


 注視してるものが、他の人と共有できるメリットはあるけど、見てるものがバレるデメリットもあるな。


 ……やましい使い方なんて、考えてませんよ?


 ついでに、水流球(ウォーターボール)発動!

 野球のボールくらいの大きさだ。


 重力に従って、池にぽちゃんと落ちる。

 5メートルって、案外ショボい。

 水鉄砲だって、もっと飛ぶ。


 他にも試したい事があるし、京都に帰ろう。

 地元の方が、土地勘がある。




 * * * * * 




 やってまいりました。

 下鴨神社(しもがもじんじゃ)にある糺の森(ただすのもり)


 葵祭(あおいまつり)御手洗祭り(みたらしまつり)、プロジェクションマッピングなどのイベントが無いときは、人があまり居ない。


 木々の中に入れば、人目を避けれるので、魔法を試すのにうってつけだ。

 森と名前が付いているが、舗装(ほそう)された砂道の横に、数十メートル木々が生い茂っているだけだ。


 まずは、やりたかった浮遊(レビテーション)だ。

 魔法陣に指を置いて、呼吸を整える。


 ……な、ん、だと?

 魔法が発動しない。


 慌てて、実績のある望遠視(ファーラウェイ)を使う。


 ……ダメだ。

 魔法陣は光らないし、魔力の流れも感じない。


 こちらでは、魔法が使えないらしい。

 理由があるはずだ。


 原因究明(げんいんきゅうめい)は、エンジニア魂がくすぐられる。

 こういう時は、思い込んで決めつけたら良くない。


 当たり前だと思っている事でも、事実関係を積み重ねて、結論を導くのが最短だ。

 検証していこう。




 * * * * * 




 手持ちの魔法を全て試したが、何も起きない。

 予想通りの結果に満足だ。


 もし、一つでも様子が違っていたら、前提が変わってしまう。

 これは、重要な確認作業だ。


 やっぱり、魔力を感じないことが原因な気がする。

 全身の力を込めて絞り出してみよう。


「はぁぁぁぁあ…… ハッ!!」


 ……口だけで、何も出なかった。


 突然、空が飛べなくなった、魔法少女を思い出した。

 今なら、あの子の気持ちがわかる気がする。

 どうやって、飛べる様になったんだっけか。


 いったん異世界に戻ろう。




 * * * * * 




 異世界に戻ってきた。

 行き来して、試したい事があるので、異世界との境目にいる。


 まずは、安定の望遠視(ファーラウェイ)

 ……スランプが嘘の様に、綺麗に発動した。


 ここまでは、予想通り。

 発動しなかったら、どうしようと内心怯えてたのは秘密。


 魔法を発動したまま、京都に戻る。


 お!


 バーチャルディスプレイは、2〜3秒かけて消えていった。

 一瞬で消えなかったのは、新たな発見だ。


 再現性があるか、確認しよう。

 ……3回やったけど、結果は同じだ!

 異世界にあって、地球にないものがあるな。


 推測でしかないが、魔法に作用する物質X(エックス)が、あるに違いない。

 ファンタジー風に、これをマナと名付けよう。


 空気中にマナが含まれていると、仮説を立てる。

 ビニール袋を被ったまま望遠視(ファーラウェイ)して、京都に移ど……う、する前に消えてしまった。


 なんだ、なんだ!?


 マナは空気中に含まれていて、常に供給されるが、ビニール袋で遮断される。

 袋の中に残存しているマナを消費し尽くすと、魔法が作用しなくなるといったところだろうか。

 そして、地球にはマナが存在しない。


 そういや、拡大視(ニアーウェイ)の魔法があったな。

 魔法陣を大きくしたら、マナが見れないか試してみよう。


 望遠視(ファーラウェイ)とは違って、かなり小さい部分まで見れる!

 こっちは悪用される危険性が、ないからだろう。


 倍率をあげていく。


 ――10倍。


 ――100倍。


 ――1000倍。


 ――1万倍。


 ――10万倍。


 ――100万倍。


 何か動いているのが見えた!



 ……えっ!? ナニコレ!?



 発光しているので、分かりにくいが、アームの様なものがあって、せっせこせっせこ、やってる。


 菌やウイルスに詳しい訳じゃないけど、素人目から見ても違うと思う。


 ……10のマイナス9乗、つまりナノの世界。

 ナノマシーン?


 やっべぇ。世界の謎に迫ってしまったかも。

 でも、機械ならプログラムで動くってのは、しっくりくる。


 んじゃ、Red Blue(レッドブルー)って何だろう。

 急に怖くなって来て、身震いしてしまった。


 マナを動かすための、ナノマシーンか?

 製造元は、何か知ってるな。

 裏がありそうだ。


 考察が楽し過ぎて、やばい。

 謎の組織に薬を飲まされて、子どもになったりしないだろうか。

 とりあえず、Red Blue(レッドブルー)を買って来て確かめよう。




 * * * * * 




 Red Blue(レッドブルー)買ってきた。

 会社の自室で、試そうかと思ったが、万が一監視されていたら怖いので、異世界の境界に戻って来た。

 人通りもなくて、直ぐに逃げれる絶好のポイントは、ここしかない。


 颯爽とビンの蓋をあけて、手の甲に垂らす。

 拡大視(ニアーウェイ)! 100万倍!!


 ――マナっぽいの居たーー!!


 発光してないので、マナより見やすい。

 目の様なレンズに、アームがある。


 ――体は剣で出来ている。


 いや違う。金属質ではないな。

 体は半透明で、液体と固体の間、ゲル状に近い。


 これを飲んでいたのかと思うと、気分は良くないな。

 今も体内で、活動しているのだが……。


 真実には、近づいているが、まだまだ分からない事が多い。

 誰が何のために、マナやRed Blue(レッドブルー)などのナノマシーンを作っているのだろうか。


 知らず知らずのうちに、洗脳されてたり、爆弾を仕込まれてたらいやだなぁ。

 爆弾魔(ボマー)に気をつけろよ。

 とか言われて、ある日、カウントダウンが始まるのは避けたいなぁ。


 Red Blue(レッドブルー)の成分を見ていると、ナチュラルミネラルウォーターって書いてある。

 地下水? 意図せずナノマシーンが入っているワンチャンもあるのか?

 水源について、調べてみよう。




 * * * * * 




 水源は、調べてみるとすぐに分かった。

 逆に宣伝してるっぽい。


 ウルズの大森林というところで、汲み上げた水を使っている。

 自然が豊かな場所だと、商品のアピールになるよね。


 場所は、意外と近い。

 魔法の力で動く電車で、2時間くらい。行ってみよう。


 これ、なんて表現するのがいいのだろう。

 魔車は車っぽい。

 魔列車は悪くないんだけど、超有名なゲームソフトで、死者の魂を冥界(めいかい)に送るとされる列車の名称なので、誤解を招く可能性がある。

 フェ〇ックスの尾を使うと、一撃で倒せるよね。

 それとも、バニ〇ュデス派?




 * * * * * 




 ――ウルズの大森林に着いた。。

 乗り物は、静かで心地よかったです。

 速度は、時速100kmは出てた。快適。


 Red Blue(レッドブルー)の水源の上にある、ウルズの泉という場所に行くのが良さそう。

 綺麗なところで、観光名所になっているらしい。


 ウルズの大森林前駅から、徒歩10分で、向かっている人も多い。

 自然を楽しむには、適度な距離だしね。




 * * * * * 




 ……やっばいこれ。

 言葉を失うくらい、幻想的(げんそうてき)な泉だ。


 背の高い木々に囲まれていて、日が届きにくく、薄暗いんだけど、淡く光る結晶があって、雰囲気がとてもいい。


 恋人と来たら素敵な場所だと思う。居ないけど。

 ……あっ、周りはカップルだらけだった。


 自分はやるべきことをしよう。

 ウルズの泉の水を、手ですくって、人目のつかない場所に移動する。


 拡大視(ニアーウェイ)! 100万倍!!

 ――Red Blue(レッドブルー)と同じの居たー!


 でも、色が違っていて、無色透明だ。

 Red Blue(レッドブルー)は、着色されてしまっているだけかも。


 水にナノマシーンが含まれているとすると、ただの天然成分配合なだけだ。

 陰謀論を疑ってしまったな。


 となると、ロストテクノロジー説かな!

 超古代文明があって、滅んでしまったのかもしれない。


 図書館で、歴史を調べてみよう。

 今日はもういいや、ウルズの泉を楽しみたい。

 ――癒される。

いつも最後まで読んでくださってありがとうございます。

読み始めてくださった方は、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ