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危険な森で目指せ快適異世界生活!  作者: ハラーマル
第7章

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第348話:研究所③

思いのほかスプラッターな光景になってしまったが・・・、まあ今更か。

とりあえず魔法陣の描かれた地面をズタズタにして復元ができないように破壊してから、この広場や奥の部屋の捜索を行った。

結果としては、更に10人以上の研究員や兵士を倒した以外には、特になし。


ただ1つ、


「・・・・・・今もダーバルド帝国の戦力として数えられているのは2人だけか」

「そのようですわね」


当初戦力に数えられていたのは7人だったらしいけど、5人は死んだ扱いになっているみたい。戦場を脱出したヒロヤ君を含めて。

そして生き残っている2人のうちの1人がアレ。

私を騙して、結果的にこの世界に来るきっかけとなった“恩人”なのか、向こうの世界での生活を終わらせやがった“原因”なのか・・・

まあ、今の生活は気に入っているし、前の生活に戻りたいとは微塵も思わない。かといってアレに感謝するつもりなどないが。

アレは高威力の魔法を放つことができるみたいで、戦いの最前線に配備されているみたい。正気か?


他にもいろいろと実験記録、という名の拷問記録などもあったが、どれも見るに堪えないものばかり。

ただ、少し気になったのが、ユイハさんたちの記録。

冒険者パーティ、ラヴァの娘が保護した4人は、ここで召喚された後、拷問を受け、連中の望む能力を身に付けてはいないとの理由で処分されそうになったところを脱出した人たちだ。


記録にも、かなり酷いことをされた形跡があったが、やはり「能力なし」「魔法の素質なし」などの結果が記されているのみ。

ただ、少なくとも4人とも体内の魔力はそれなりにあったと思うし、よく分からない。

とはいえ、魔力があることが分かっていれば、連中のことだから魔力を吸い出す生け贄として利用しただろうから、本当に分からなかったのだろう。その意味では、幸いだ。



 ♢ ♢ ♢



とりあえず、研究所で行われていた『魔人』に関する研究、そして召喚に関する研究に携わっていた研究者たちは消えた。

研究成果と思しき書類の山も燃やしたし、召喚魔法に至っては最重要の原資料である書物の回収もできている。

もちろん事前に写しを作成し、別の場所で保管されている可能性は否定できないが・・・


そんなわけで、研究所における重要目標を処理した私たちは、マーカスたちと合流していた。

マーカスたちによれば、


「研究所内は概ね掌握済みです。コトハ様が処理した以外で着手していないのは地下にある牢獄のみです。出入口はその先の階段だけのようで、既に封鎖済みです。地下牢内部にどの程度の敵がいるかは不明です」


とのこと。

マーカスたちはマーカスたちで、遭遇した敵兵や研究員と思しき連中を1人残らず処理してきたようで、私とホムラが処理した場所を含めれば、地下牢以外は完全に掃除済み。


「そんじゃあ、まあ、さっさと地下牢を確認しようか。まだ生きている人もいるみたいだし」

「はい」



地下牢に続く扉は騎士ゴーレムががっちりと固めており、既に内部からの逃走は不可能な状態にあった。

マーカスたちの調べによれば、この扉から続く階段以外に脱出する道はないらしいし。

研究所の外に脱出口とかがあれば別だが・・・、ここ牢屋だもんね。脱走口となり得る通路をわざわざ作る意味は乏しい。


出入口を入りかなり長い階段を下った先には人の気配があった。

軽く探ってみた感じ、広間のような場所に敵兵らしきのが・・・、2人? 思ったよりも少ないな。


「マーカス。多分だけど2人いる。敵兵の見張りかな?」

「・・・承知しました。始末しても?」

「お願い」

「はっ」


短い返事に続き、マーカスが指示を出していく。

・・・にしても、みんな鎧が汚れすぎだね・・・、返り血で。

今回は一切の遠慮無く、敵兵と遭遇するやいなや倒していたわけだから分からなくもないが、にしてもかなりの量になる。


「・・・行け」


マーカスの指示で、2人騎士が飛び出す。

見張りの敵兵に接近すると同時に、それぞれ右手に持つ剣で敵兵の脚を切りつける。

致命傷にはならないが、激痛を与える一撃に、敵兵は大きくのけぞる。

その隙を逃すうちの騎士ではない。敵兵がどうにか構え直そうとする槍を適当に弾きつつ、首を掻き切って絶命させた。

ほとんど声すら上げさせない、見事な手際。素晴らしいね。


「お見事」

「ありがとうございます。今回は、不意を突いてできるだけ迅速に敵兵を始末する腕を磨くには最適でした」


などと言うマーカスに苦笑しながらも、騎士たちの手際の良さには感心する限りだった。

同時に、マーカスたちが大量の返り血を浴びている理由も察しがついたが・・・


牢屋の中はかなり空気が冷たい。

真っ直ぐ伸びる通路の両サイドに金網で塞がれた部屋がいくつも設けられている。


入口近くの部屋は空室で、部屋によっては倉庫のように使われていたみたい。

そしてその先に進むと、


「コトハ様」


先行する騎士が指した先には、部屋の隅で小さく固まる複数の人影。

騎士が錠を壊し中に入ろうとするが、


「ひぃっ」


入口の近くにいた女性が小さく悲鳴を上げ、後ずさったのを見て、失敗したことを悟った。


「私が入る」


一応危険がないとはいえないけど・・・、いやないといえるか。

この中に入れられている人たちからすれば、自分たちを虐げるダーバルド帝国の兵士もうちの騎士も同じ、鎧に身を包み武器を携えた者だ。

怯えるのは必然か。


部屋に入って直ぐのところで膝をつき、うずくまる人たちに視線を合わせる。


「私はコトハ。あなたたちを助けたいの」


できる限り静かなトーンでそう告げてみたが、未だ恐怖に震えている様子。

どうやら、この部屋にいるのは全員女性で・・・、5人かな? 多分、『エルフ』だと思う。


「キアラも来て」


列の後ろにいたキアラも呼んで、部屋に入ってもらう。

部屋に入ったキアラは、酷い状態の彼女たちを見て顔を顰め、そのまま駆け寄った。


「大丈夫です。もう大丈夫です。ここから出ましょう」


ゆっくりと目を見て語りかけるキアラに対し、先ほど悲鳴を上げた女性が、


「あ、あの。私たちはもう出られない、と。出たら酷い目に・・・」

「ううん、そんなことにはなりません。させません」


そう言いながら私の方を向くキアラに、


「ええ。この施設は私たちが制圧したの。ダーバルド帝国の兵士は倒したから安心して」

「・・・ほ、本当に」



結局、この地下牢に捕らえられていたのは23人。うち15人が女性で、種族は『エルフ』が先ほどの5人に、『魔族』が10人、後は『人間』だが遡れば他の種族の先祖がいて、かなりの魔力を有している者たちだった。


今回参加していた騎士の中に女性は2人しかいなかったため、キアラにも一緒に彼女たちを地上へと誘導してもらった。

既に「飛空団」の車両が中庭に着陸できる状態になっているので、そこから車両に乗り込んでもらう。

できる限り早めに移動させてあげたかったので、乗り込み次第、出発するように指示しておいた。



 ♢ ♢ ♢



先に出発した車両に乗せた人たちは落ち着いた様子だったと、見送って戻ってきたキアラから報告を受けた。

キアラは「他にも酷い扱いを受けている人がいるかもしれない」と、わざわざ戻ってきてくれた。


もっとも現実は悲しいもので、先を進めど見つかるのは亡骸ばかり。しかも、その状態はかなり悪い。

単に腐敗しているだけならマシなレベルで、私やホムラがその場で消し去る必要を感じる程度に魔力が歪んだ遺体も多々あった。

既に助けた人数を上回る数の遺体を処理している。


そうして進んだ先に、久しぶりに生きた人の反応を感じた。

まだ生きている人がいたのかと指示を出そうとしたところで、


「敵だ!」


先行する騎士が声を上げ、最初から抜いていた剣を先ほど生きた人の反応を感じた部屋に向ける。

他の騎士たちも続き、あっという間に部屋の前で陣形を整えた。


「・・・牢の中に敵がいたの?」


そう言いながら中を覗くと、確かにダーバルド帝国の兵士の格好をした男が3人、きちんと施錠された牢の中でこちらを睨んでいた。

同時に気になったのは、3人のうち前にいる2人が奥にいる1人を庇っているように見えること。狭い牢屋の中ではあまり意味はなさそうだが、それでも庇っているのは間違いない。


ダーバルド帝国兵ってことで気にせず片付けても良いけど・・・、やっぱ気になるよね。

マーカスに3人を分けるように指示した。


「抵抗するならその部屋ごと消し飛ばすよ」


そう言いながら向かいの空室を本当に吹き飛ばしてみたら、素直に従ってくれた。

2人は騎士たちに任せ、私とホムラは庇われていた男を尋問する。


「・・・で、あなたは誰なの?」

「・・・」

「なんでダーバルド帝国の兵士がこの牢屋に入ってるの? それに、あなたさっきの2人に庇われてたよね?」

「・・・」

「・・・・・・はぁ。面倒だけど、だんまりなら、さっきの2人を殺すことになるよ?」

「っ!」


こんな脅しがスラスラ出てくる自分がちょっと悲しいけど、言うだけならね。

いや、本当に必要ならやるけどさー・・・


「面倒だから答えて。ああ、一応言っておくと、この研究所に残ってるダーバルド帝国兵はあんたら3人だけだから。助けが来るとかは期待しないでね」

「・・・・・・そのような期待、最初からしてはいないさ」


おおっ!

応答があったことに驚いたけど、期待してない?

ああ、そりゃあ牢屋送りだもんね。


「なんかやらかしたの? 3人まとめて牢屋送りって」

「・・・ふっ。いや、そうではない。あの2人は私を支持してくれる数少ない者たちだからな」

「支持?」

「ああ。今の帝国は最悪だ。滅亡の間近にあるが、陛下や側近を含め、名だたる貴族たちはそれに気づかない、いや見て見ぬふりをしている」

「・・・一兵士の考えることではないような・・・」

「ああ。私は・・・」

「私は?」


そこまで言い掛けて止めないでよ。


「・・・・・・私は、ダーバルド帝国皇帝、マノラフ・カナーヴィラ・ボラードベルドの九男、ダーバルド帝国の第9皇子である」


・・・・・・・・・は?

ちょっと待って。皇帝の息子? 皇子?

最後の最後に特大の厄ネタ引いたかも・・・




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