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第9話 俺と毒と物作り

ごめんなさい。遅れてしまいました。



「い゛っ――!」

 俺は、刺すような痛みを我慢しながら、銛を手放した右手でヘビを掴み、左手から引き離す。

 引き離した時に、粒子が飛び散るが、今は無視だ。


 そのまま、掴んだヘビを足元に叩きつける。

 ヘビが硬直している間に、踏みつけて、動きを止める。


 俺は、腰に下げていたナイフをサッと引き抜き、そのまま押さえているヘビに向かって、とどめを刺す。


 ヘビが粒子になるのを横目で見ながら、俺はすぐに、もう一匹のヘビに視線を向ける。

 ヘビに咬まれた今、時間との勝負だ。ヘビが毒をもっているか分からない以上、毒を持っていると仮定して、早く毒抜きをしないといけない。


 幸い、ヘビは先程の場所から動いてはいなかった。おそらく、石斧で与えたダメージが効いているのだろう。

 俺はナイフを握り直し、すぐにヘビへと向かう。



――――技《蛇睨み》



 直後、視界の隅にメッセージが出る。


「ん?」

 だが、何も起こらない。

 ヘビがこちらを睨んでいるだけだ。



――――技《早投げ》


 何も起きないなら好都合だ。俺は、ヘビに近づきながら、左手で技を発動させる。

 左手で技を発動させるのも、だんだんと慣れてきている。


 俺の投げた石は、ヘビへと一直線に向かうが、ヘビは頭を少し動かすだけで回避した。

 でも、それでいい。一瞬でもヘビの気を反らすことが出来た。


 俺はそのままヘビへとナイフを振り下ろす――――。



 ヘビが粒子になったのを見て、俺はすぐに咬まれた部分へと吸い付く。

 そして、血を吸いだし、地面へと吐く。傷口が粒子になっているので、状態が分からないが、HPバーを見る限り、持続的に減少するようなダメージはない。もしかすると、毒がないヘビだったのかもしれない。

 念のため、この後は少し様子見で、安静にしていた方がいいかもしれない。

 とりあえず、俺は放り投げていた隠れ実を拾い、少し齧る。これで、出血……粒子の流出は止まるはずだ。

 そのあと俺は、急いで戦闘の後かたずけをして、拠点へと戻るのだった。



 拠点へと戻り、俺は休みながら、持ち物の確認をしていく。

「石が一つ足りないな」

 どうやら、急いで投げたものを回収して帰ってきたので、石を一つ忘れてきたようだ。

 まぁ、石は河原を見つけた今、たくさん補充できるので、あんまり気にしないが、投げ易いように丸く削る必要があるのが手間というくらいだ。


「それとこれはどうしようか?」

 俺は、ヘビのドロップ品をみて呟く。


 それは、お肉だった。

 ただ、ウサギの時のようなステーキ肉の見た目ではない。


「まんまヘビの形なんだけど……」

 そう、見た目が思いっきりヘビと分かる細長い肉である。

 見た目的に食べるのには、ちょっと忌避きひ感がある。


「よし……」

 食べるか食べないか。ここは、日本人らしく保留にしよう。

 とりあえず、俺は葉っぱに包んで置いておくことにした。

 別にこのまま、放っておく訳ではない。ただ置いておくだけである。




「さて、次は……」

 戦闘の反省でもしてみるか。


 まずは、良かった点。

 我ながら、対処はよかったんじゃないだろうか。3対1の戦闘で勝利したのは褒めてもいいぐらいだ。

 元の世界に、群れで戦うヘビがいるかは分からないが、ほんとやめて欲しい。


 悪かった点は、やはりヘビが二匹だと思い込んで、三匹目に咬まれたことだろう。やはり、思い込みで戦闘するのは危険だし、戦闘中でも周囲の把握を怠ってはダメだという事だ。

 それに今回の戦闘でも思ったが、近接の戦闘スキルがやはり欲しい。投擲スキルは敵に近づかなくていい利点はあるのだが、今回のように不意打ちで近づかれると厳しい状況になる。

 前回の反省では、スキルに頼らない戦闘も大事だと分かったが、実際に戦闘した後では、スキルはやはり大事だという事も分かった。スキルを使っても良いが、スキルに頼り過ぎてもダメという事だ。

 ひとまずの方針としては、頼り過ぎないようにと、頭で思いながらスキルを使っていく事だな。


 とりあえず、今のステータス状況の確認にしてみよう。


「ステータス閲覧」


〇 アカシ シュウト


・取得スキル一覧

  【投擲】1.73 → 1.98

  :技《上方散乱両手投げ》

  :技《一球入魂》

  :技《早投げ》


・以下取得未満スキル一覧

  【歩き】0.77 → 0.89

  【恐怖耐性】0.95 → 0.97

  【物拾い】0.50 → 0.62

  【観察】0.83 → 0.92

  【採取】0.14 → 0.32

  【潜伏】0.11

  【武器作成】0.46 → 0.96

  【逃走術】0.20

NEW【道具作成】0.35

NEW【我流短剣術】0.21

NEW【我流槍術】0.09



 意外と、全体的にスキルの数値が上がっている。大まかに考察していこう。

 【投擲】スキルからだ。1.50あたりから上がり難いと思っていたが、あともう少しで2.00になる。やはり、俺がまだ気づいていないスキルの上り方があるのだろう。今日は安静にするしかないが、明日にでも数値を上げよう。1.00から取得スキルになるように、2.00から何か新しい発見があるかもしれないしな。


 取得未満スキルに関しては、もうすぐで取得スキルになるものが多い。数値の上げ方が分かっているものは、早急に上げるべきだろう。と言っても、簡単に上げられるのは、【武器作成】ぐらいか。【観察】スキルは、徐々に上がっていくものだろうし、【恐怖耐性】は、数値が上がってはいるが、上がった理由が分からない。

 まずは、【武器作成】から数値を上げて、他はおいおいだな。


 新しいスキルの【道具作成】は、かまどを作った影響かな。

 【我流短剣術】と【我流槍術】は、ナイフと銛…槍もどきを戦闘で使ったからでたのだろう。俺としては念願の近接戦闘のスキルだが、数値が低いのでこれから上げていくしかないだろう。




 反省もこれぐらいでいいかな。

 まとめると、思い込みの戦闘は辞める。たら、れば、ではなく、もし、を想定して戦闘をすることだ。車の運転と一緒だ。それと、スキルの数値上げだ。近接戦闘の取得が出来そうなので、これらを取得未満から取得することが戦闘を楽にしてくれるだろう。最も慢心はダメだが。


 あと、戦闘とは直接は関係ないが、これから森を歩くときは頭上にも注意しないといけないことが分かった。普段から周囲を警戒しながら歩いてはいるが、上からとは盲点だった。


 最後に、ヘビを見つけたら次からは、猛ダッシュで逃げよう。群れ対一人の戦いはしたくない。


 やっぱり、反省をすることで見えてくるもの、分かっていくことも多い。これからも、この習慣は続けていった方がいいな。






「次はどうするかな」

 今日はもう出来るだけ動かず、安静にしないといけないからな。ご飯は隠れ実で良いし……。

 暗くなるまでは、生産作業でもして過ごすことにするか。丁度そろそろ取得スキルにもなりそうだし。



 という訳で、俺はまず、石を削る作業をすることにした。

 早投げの時に、ポケットに入れておく石である。急いで戻ってきたので回収出来なかった石の代わりを作っていく。



 スリスリ、スリスリ……。



 スリスリ、スリスリ……。



 スリスリ、スリスリ……。



 スリスリ、スリスリ……。




 石と石をスリスリすること1時間ほど、補充分の丸い石一つに、予備で二つの石出来た。河原に転がっていた石なので、ある程度丸まっており、作業を早く終えることが出来て、予備の石まで作ることが出来た。

 石を丸くする作業は単調な作業で、途中で飽きそうになったが、これに命が掛かっているかもしれないと思うことで何とか飽きずに続けることが出来た。まぁ、もともと細かい作業は好きなので、そこまで、飽きるということはないのだが。



さて、まだ日もある事だし、次は何を作ろうかな。

「あ、そういえば!」

 罠を作ると思いついたのは良いが、ずっと後回しにしていたな。この際だから、作ってみるか。


 さて、罠と言っても、思いつくのは落とし穴か? 何か上から落ちてくる系の罠もいいかもしれない。

 と、思いついたのは良いが、すべて森の中に直接設置するもので、ここで何かを作るという事ではないな。拠点に落とし穴とか、邪魔すぎて仕方がない。

 という事で、思いついたのは良いが、結局、出来る事はないな。


「んー」

 何を作ろうか。いや、作らないといけないものは、たくさんあるのだが、俺が作れる範囲でのことに限られるしな。

 俺は視線を下に向け考え込む。


「ん?」

 そういえば、この辺は結構柔らかい土なんだよな……。俺は、視線の先にある地面を見て思う。

 最初の拠点の方は普通の土だったが、この辺りは粘土質になっているな。


「粘土質か……」

 せっかく時間もある事だし、土で皿でも作ってみるかな。

 作った事はないが、前に一度、テレビか何かで作り方を見た気がする。確か、粘土をひも状にして重ねていいくことで、皿からツボ、花瓶までできたはずだ。そのことを知って、とても関心した覚えがあるので、覚えていた。ただやはり詳しくは、覚えていないので、そこは作業しながら工夫していけばいいだろう。


 という訳で、俺は最初に、ウサギからドロップしたスコップを使い、寝床の場所から土を取っていく。隠れる穴も大きくなり一石二鳥だ。


 そのあと、川の水を汲みながら土をねていく。水を入れる容器なんて無いので、水は手で掬って拠点と河原の往復である。

 本当は安静にしないといけないと思っていたが、もう咬まれて時間も経つし、傷跡の粒子もすっかり無くなっている。歩くぐらいは問題ないだろう。


 それから、捏ねた土をひも状にしていき、それを渦を巻くように形を整える。これが皿の形になるのだ。次にペタペタと触りながら、渦の隙間を埋めていく。渦の隙間をくっ付けていく作業である。

 隙間が無くなったら、皿の表面の完成である。

渦を巻くのは、そうすることで、丸く形を整えることが出来るのだ。なにか、違う気もするが。


 最後に、もう一つひも状の粘土を作る。先程より短いものだ。それを出来た皿の表面の裏にくっ付ける。これで、皿の下の部分……名前は知らないが、地面と接する部分の完成である。


 この状態であとは、日の当たる場所に置いとけば出来るのではないかと思う。


 作業に熱中しているうちに、いつの間にか夜になっていた。気分はすっかり陶芸家である。


「もう、終わるか」

 皿を二つ作ったところで、俺は作業を終え、河原に泥だらけの手を洗いにいく。


「ふうー」

 晩御飯にもう主食になったいる隠れ実を食べながら、俺は出来上がった皿を見ていく。


 うん。中々の出来だ。まぁ自分で作ったものは、大抵いい出来に見えるものだが、いい出来だ。初めてに作ったのにしては、やはりいい出来だ。と、自画自賛しまくりである。だって、褒める人がいないんだから自分で褒めるしかないのだ。



 そして、晩御飯を食べ終えた俺は、早々に眠りにつくのだった。


あぁ、そういえば、やっぱり体に異常はないので、おそらくヘビは、毒のないヘビだったのだろう。不幸中の幸いだった。









※蛇に咬まれた際には、適切な応急処置をして、速やかに病院へと行って下さい。


作者多忙により、明日は更新出来るか分かりません。出来るだけ更新できるよう努力はしてみます。

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