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第10話 俺と罠作りと火ネズミ



 異世界生活6日目。

 今日も今日とて、太陽が昇る前に起きた。


 今日の予定としては、昨日考えていた罠を作ることにした。森の中で戦闘になった場合に備えて、少しでも有利に戦うためだ。

 まずは、穴を掘るだけで完成するので、落とし穴を作成することにする。大きさは、仮想の敵であるウサギの大きさに合わせよう。ウサギが嵌るぐらいの大きさだ。


 とりあえず、河原に行き、顔を洗い、朝食に隠れ実を食べる。その後、昨日作った皿を日当たりの良さそうな場所へと移動させる。それから、俺は落とし穴作りへと森へと向かう。



 落とし穴は、何かが落ちてくれないと意味がないので、拠点の周辺を探索して、落とし穴にいいポイントを探していく。


「ここなら普段使ってる道とも近いし、いいかな」

 俺は、いつも歩いている道と適度に離れた場所に落ちし穴を作るポイントを決めた。ここなら、道を歩いている時、急に襲われても誘導できそうな距離だし、戦いを有利にできるだろう。

 ちなみにだが、今はカラフル鳥様が教えてくれた道は通っていない。カラフル鳥様は、おそらく一直線の最短距離で道を教えてくれたので、藪の中とかを通らないといけなかったのだが、この辺の森の地形にもだいぶなれてきたので、俺が通りやすい道を使って、隠れ実を取りに行っている。


 俺は早速、スコップを使って穴を掘っていく。

 本当に、このスコップとナイフはドロップしてくれて良かった。俺のサバイバル異世界生活に多大なる貢献をしてくれている。


 と、そんなことを考えながら、穴掘り作業をしていくが、思ったよりも作業が進まない。木の根が邪魔をして、なかなか穴が大きくならないのだ。それに、もういつものことなのだが、茂みから音が鳴ったり、何かの鳴き声が聞こえる度に、周辺を警戒しながら作業をしないとため、その分時間がとられてしまうのだ。拠点で作業するのは、まだ安心感があるのだが、ここは森の中、いつ敵が現れてもおかしくはないのだ。ある日森の中、クマさんに出会ったとか、恐怖でしかない。俺はお嬢さんでも、貝殻のイヤリングも落としていないのだ。出てくるクマはおそらく、この世界のウサギみたいに戦闘民族に違いない。


 そんなこんなで、やっとウサギが入れるくらいの落とし穴ができた。


 俺はさらに、この穴を隠すため、枝を橋のように穴にかけ、その上から大きい葉っぱをかぶせる。

 これだけでも、頭の悪い生き物なら、穴に落ちてくれそうな気もするが、あの戦闘ウサギたちは、そんなヘマはしないだろう。なので、俺は葉っぱの上に、さらにカモフラージュするために、軽く土をかけていく。


「うーん。なんか足りないな」

 俺はできた落とし穴を見て呟く。


 少し考えて、俺はあることを思いついた。そして、それを実行するべく一度拠点へと戻るのだった。




「よし、これで完成だな!」

 俺は、新たに落とし穴の上に置かれた、ヘビの肉を見て言う。落とし穴に、何かもっと出来ないかと考えた結果である。考えた末に、たどり着いた答えは、罠におびき寄せるエサだった。ただ、隠れ実は大事な食料であるため、罠に使うのはもったいない。そこで、俺が思いついたのが、昨日手に入れた、ヘビの肉だった。ウサギの肉は、そのまま切り身でドロップだったので食べることが出来たが、ヘビそのままの形をした肉は、さすがに食べたくない。だから、俺は、こうして罠としてヘビの肉を使おうと思ったのだ。

 落とし穴の上にヘビの肉。これで、なにか生き物がかかってくれればいいのだが。

 まぁ、あわよくば的な考えではあるので、あまり期待を持たずに、それは待つとしよう。あくまでも、目的は、森での戦闘を有利にすることだ。



 さて、ここまで落とし穴を作ったが、かかった時間は、太陽があまり動いていないのを見る限り、1時間はかかっていないぐらいか。一度拠点に戻ったりもしたし、落とし穴自体は、少し手こずったりもしたが、かなり早く作ることが出来たのではないか。これぐらいの時間でできるなら、もう何個か作ってもいいかもしれない。


「この調子であと二つぐらいは作ってみるかな」

 そして、俺は次の落とし穴のポイントを探しに向かうのだった。



 落とし穴を、計3つほど作ったら、太陽も頂点近くになり、俺のお腹の虫も鳴いたので、俺は拠点へと戻り、昼食をとることにした。といっても、いつも通りの、隠れ実であるが。


 午後は、落とし穴作りは終わり、別の罠を作ることにする。


 イメージするのは、木の上に予め、石を用意しておき、紐を引っ張ると石が落ちてくるという、典型的な罠だ。バラエティー番組でいうタライ落としみたいなものだ。

 とりあえず、俺はそれを作るために材料を準備する。


 木の上にセットする石は、大きいものでも小さいものでもいいと思うが、一人で大きい石を持って木登りするのは、厳しいので、小さい石を沢山セットすることにする。

 いくつ石を使うか分からないので、俺は河原で、服を捲りできた簡易の袋に石をひたすら詰めていく。詰めた後は、罠を仕掛ける場所まで歩き、石を下していく。


 石の準備が終わった次は、木の上に安定させて石を置くための木の枝と、引っ張って罠を起動させるための蔓の準備である。

 俺は、森に落ちている枝を拾ったり、時に折ったりしながら採取していく。蔓も同様に採取していく。


 材料集めもそこそこに、俺はいよいよタライ落とし……ならぬ、石落しを作っていく。


 まずは、蔓と蔓を結び、一つの木の枝に結ぶ、罠の起動するために大事なところを作っていく。それから、木の上に登り、石を設置し易いように、、木の枝を配置していく。この時、枝の一つに蔓を結んである枝を一つ紛れ込ませる。それから、設置した木の枝のうえに、さらに石を乗っけていく。これで、あとは蔓を引っ張るだけで、石が落ちてくるという仕掛けだ。枝や石を持っての木登りは、登りやすい木を選んだつもりが、なかなか大変だった。さらに、枝や石を持てる本数は決まっているので、何回も地面と往復である。


「やっと完成した……」

 が、まだやるべき事が残っている。罠がちゃんと発動するかの、お試しである。

 落とし穴の時は、二つ目を作った際に、ヘビの肉を最後に置いたところ、ヘビの肉がそのまま落とし穴に落ちてしまったので、ヘビの肉以上の重さが上にのると発動することが分かったので、試しに発動するかは確認していない。

 が、今回のものは目的として、この石落しの下まで敵を誘導して、石を落すという使い方だ。戦闘中、万が一発動しない場合、敵に隙を与えることになるので、今回は罠がちゃんと発動するか見る必要がある。


 という訳で、俺は、少し離れたところで、蔓を持ち、罠が発動するか試すことにする。罠を発動させて、俺が石に当たるのは馬鹿らしいので、予め、蔓は長くしてある。


「3、2、1」

 と小声でつぶやきながら、俺は蔓を引っ張る。



 …………。



 何も起きない。


 俺は、もう一度、強く、蔓を引っ張る。


「あれ?」

 やっぱり、罠は発動しない。いくら、引っ張っても、俺と罠の間の蔓がピンッと一直線に伸びるだけである。


 どうやら、木の枝を安定させ過ぎて、逆に罠が発動しなくなったようだ。


「これは、作り直しだな……」

 と、俺は、罠を見直すために、木に登りながら呟くのだった。




 何回か、試作してみた結果、石を木の上に置くのは辞めにした。理由は、罠を発動しやすくすると、木にのせる石が不安定になって、罠そのものが壊れやすくなる。罠そのものを壊れにくくしようと、石を安定させると、罠が発動しにくくなるという、どっちつかずの状況に陥ったからだ。


 最終的に思いついたのは、滑車方式である。昔の井戸とかについていて、桶を水を汲むために垂らしていくやつである。滑車の部分が、高い木の枝の部分。桶の部分、敵にダメージを与える部分を、枝をまとめて縛ったものにした。石を蔓で縛って、木の上まで持っていく事が難しかったためだ。なので、石は木の枝を縛ったものを上へと吊るすおもりの役割となった。沢山、石を集めてた俺の作業は、無駄に終わったのだ。吊るすおもりだけなら、大きい石一つで事足りるしな。


 それに、滑車方式を思いついたことで、木登りもやらずによくなった。


 蔓を結んだ木の枝を、そのまま木の上へと投げて、蔓を通せばいいからだ。投げる作業は、俺の十八番おはこである。ほぼ百発百中で木の枝に蔓を通せる。木の枝を通した後は、攻撃力を上げるために、他の木の枝を取り付けて増やしていくだけである。結局、俺の前半の作業は、ほとんど無駄になってしまった。なんで、最初から、この方法を思いつかなかったんだろう。考えたら、タライ落としは滑車方式もあったはずなのだ。



 まぁ、こんなこともあるか……。

 人生遠回りで得ることもあると、思うことにしよう。


 そのあと、石落し改め、木の枝落しを四ヶ所ほどに取り付け、俺は拠点へと戻り休憩をとることにした。





 休憩を取ったあと、俺は残り少ないマッチ棒を取りにいくことに決めた。ちなみに、作った竃は壊れたりせずに、キチンと正常に役割を果たしている。本当は、この竃を使って、肉や魚でも焼きたいものだが、取れないものは仕方がない。取れるまでのお楽しみだ。


 さて、マッチ棒を取りに行くので、当然、火ネズミとの戦闘となる。そのために、俺は装備を見直していく。こう見直してみて、改めて思うが、最初の頃に比べて、だいぶ装備も充実してきている。

 左右のポケットには、《早投げ》ようの丸い石が二つずつの、計四つ。

 右手には、改良に改良を重ね進化してきた石斧15号。

 腰には、蔓のベルトにぶら下がっているナイフ。

 背中には、蔓で固定した銛を背負っている。


 最初の素手装備に比べると、雲泥の差である。それほど、この世界に来たときは、詰んでいる状態だったのだ。ほんと、よく頑張ったよ俺。


 なんて、ちょっと思い出に浸り、涙ぐんで、死亡フラグを立ててる気がしないでもないが、俺はこんなところで、死ぬつもりはない。


 俺は気を取り直して、火ネズミの多くいる草原へと向かう。


 道中、森の中は特に何もなかった。何か起きて欲しくもないが。




――――技・魔法《火の玉》


 いつも通り、最初に火ネズミを追いかけ、火の玉を撃たせる。


 それを俺は、余裕を持って避けて、技を使って、弱ったところに一撃を入れる。


――――技《早投げ》


 持っている石斧を投げる最速バージョンである。ヘビとの戦い、ぶっつけ本番でできたことだ。

 技を発動するには、決まった条件があるみたいなのだが、その条件以内なら、ある程度技をアレンジできるのではないか、という俺の考えである。それでも、出来ないことの方が多いので、考えが当たっているかも分からないが。まぁ、この持っているモノを投げる《早投げ》は、一応、発動することが出来たので使っているが、例外と言われれば、例外なのかもしれない。こっちは、命が掛かっているのだ。システムは後回しで、使えるものは使うさ。



 と、ポリゴンの破片になって消えていく火ネズミを石斧を拾いながら見送り、落したドロップ品のマッチ棒を拾う。


「3本は確保したいよな……」

 俺は、マッチ棒を懐にしまいながら呟き、次の獲物を目で探す。


「いた――――」

 そして、草原を走っている火ネズミを見つけると、同時に俺は火ネズミを追いかけるために走り出す。



――――技・魔法《火の玉》


 追いかけていくと、やはり途中で、火ネズミが攻撃を仕掛けてくる。

 俺は、迫りくる火の玉を見切って、躱す。


 その後、俺は技を仕掛けるため、火ネズミの隙を伺うが……。



――――技・連鎖・魔法《火の鼠》


 この火ネズミは在ろうことか、魔法の二連続発動である。しかも、技の発動直後に、すぐ使用できるようになる連鎖まで使ってである。


 俺は咄嗟に、横っ飛びで、ネズミの形をした”火”を回避する。


「はっ!?」

 が、在ろうことか、そのネズミの形をした”火”は、物理法則を無視し、俺へと向かってきた。


 俺は、慌てて、その”火”に持っていた石斧を振り、”火”を四散させる。


 なんだこの攻撃……?


 と、驚くのは後からでも出来る。


――――技《早投げ》


 で、俺はすぐに石斧を投げ、火ネズミを攻撃する。

 魔法を撃って、動きの止まっていた火ネズミは、そのまま石斧は当たり、火ネズミは粒子となった。



「危ない攻撃だったな……」

 俺はドロップ品を拾うため、火ネズミがいた場所へと向かいながら呟く。まぁ、反省は拠点に戻ってからにしよう。


「って、マッチ棒じゃないのかよ!」

 俺は、火ネズミが落したドロップ品をみて、一人ツッコむ。


 それは、毛皮だった。


 まさかであるが、いつかの伏線回収である。


「これ絶対、燃えないネズミの毛皮だろ!」

 俺に、この毛皮で衣でも作れって言いたいのか? それにしては、ずいぶん小さい毛皮だから、相当な数の毛皮を集めないといけないけどな!


 と冗談はさて置き、本当にこれどうするんだよ。まぁ、まだ燃えない毛皮と決まった訳ではないが、こんなのあっても、正直持て余すだけである。毛皮として使うのも小さすぎるし。

 とりあえずは、保留だな。保留と言ったら保留だ。


 そして、俺はマッチ棒の補給に戻るのだった。









いつも読んでいただき感謝申し上げます。

現在、話のストックが切れた状態にある事と、作者のリアルが忙しくなってきた状況にあります。

ですので、1日1話の更新は厳しいです。申し訳ございません。

最低でも、週に2日は更新できるように、努力致しますので、今後ともよろしくお願いします。

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