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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)が異世界トリップ?
1/228

1.

ここは変更してません。

「異世界トリップと聞いて何を連想する?」

「いきなり?何、どうしたの?」

「小説のネタ探し」

「新しいネタが異世界?なんか急な方向転換というか、珍しいよね、現代小説一本なあんたが異世界を書くのって」

「自分的にありえない事を急に書きたくなって。で?どうよ?」

「どうよって……バリーホッター!!(アぁ、私の定期入れカムバック)とか?The Lord of the Lingsとか?で、主人公が不幸続きで、ずっと何か探し続けてるとか?」

「あ~、ま~なんか色々突っ込みたいんだけどね?リアルに身内しか解らない不幸ネタとか、微妙にRとLが間違ってるせいで舞台が海だとか……!!」


という上記のような会話を、昨日の夜小説家志望の友人としていた。

よくよく考えてみると、異世界トリップとは全く関係なかったが、友人は満足そうだったので良しとしよう。

「異世界か~」

口に出して呟いてみる。

言葉は部屋の隅に吸い込まれるようにして消えていった。

その方角には、赤い花が生けてあった。

よく見ると、萎れている。

「・・・・・」

そういえば、社会人になってからというもの、小説や漫画とは縁遠くなってしまったとしみじみ思う。

通勤が電車から車に切替り、帰宅しても風呂に入って寝るだけで、休みの日は家事に追われ、毎日毎日それを繰り返す。

自分の為の時間が大幅に減り、余計な事をしなくなってかれこれ7年。

異世界と聞いてあれやこれや想像を膨らませるより、漫画を読まなくなったとしみじみ思っているあたり、そうとうやばい。

まるで、あの花のようだ。

「・・・・・」

そういえば、認識すればそれは現実になると誰かが言っていた。

風邪をひいて熱が出ていると認識した途端、今まで平気で動いていたのに、体が急に怠くなるとか変な例を出していたが……

その理論でいけば、私は今、確実に年取った事になる。

何せたった今、自分が枯れていることを認識してしまったからだ。

鏡を見たらしわが増えていたり……

「・・・・・」

はぁ~

思わず、目を瞑って溜息をついてしまった。

涼しい風が私の頬をかすめる。

8月なのにまだ冷たい風が吹くのかと、しみじみ思ってもう一度溜息をついた。

そんなわけがない。

連日熱帯夜で、猛暑続きで、水が足りないというのに、開けっ放しの窓から冷風なんかが吹くわけない。

この大都会でそれはありえない。

それに風が異様に磯くさい。

それに潮騒の音も聞こえる。

海まで1時間かかるこの距離で。

「・・・・・」

はぁ~

もう何度目かの溜息をついて、ようやく今おかれている事態に目を向けた。

向けざるを得なかった。

現実逃避などうまくいった試しが無いという事実を、今更ながらに思い出し、目の前にいる人物に焦点を合わせた。

はぁ~

あぁ、この溜息って何度目だっけ?

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