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プロローグ
力とは――。
筋力、魔力、知力、異能力。
この世には、あらゆる力が存在する。
生まれながらにして岩を砕く者がいる。
指先ひとつで炎を操る者がいる。
傷ついた人々を癒やす者がいる。
風を従え、空を駆ける者がいる。
努力では決して届かない才能がある。
個人個人が持つ資質がある。
力さえあればこの世界では、将来を約束される。
強い者は称賛され、優れた者は重宝される。
特別な力を持つ者は、国さえ動かす。
では、何の力も持たない者はどうなるのか。
誰にも期待されず、誰にも必要とされず、ただ生きているだけの人間は。
答えは簡単だ。
この世界では、無価値とされる。
これは、そんな世界に生まれた一人の男の物語である。
名は、ロスト・クライシス。
世界でただ一人、異能力を持たない男。
何も持たず、何者にもなれず、それでも決して諦めなかった男。
やがて世界の命運を左右し、神話に名を刻むことになる男。
これは、彼が英雄になるまでの物語である。




