追放された?抗議してやる
「ケルビム・セラフィム。君を、この冒険者パーティー、ハルマゲドンから解雇する。解雇に当たって、金貨200枚を今までのパーティーへの貢献に対して、進呈させてもらう。」
S級の大パーティー、パーティーの本部、訓練施設から簡易宿泊室、さらには治療室まである建物まで独自に有している、ハルマゲドンのリーダー、ゼウスに呼び出されたケルビム・セラフィムは、彼からの通告に唖然とした。2年弱、以前いた冒険者パーティーから追放されたところを拾われ、能力を評価され、逸しよう懸命働き、それなりの貢献をしてきたつもりだった。それがどうして、またこういうことになったのか、理解できないという考えが湧く前に哀しくなり涙が出てきてしまった。
「ど、どうしてですか?ぼ、僕は一生懸命働いてきました・・・つもりです。貢献だって・・・多少はしたはず・・・だと思っています。悪い所があったのなら、あらためます。仕事ぶりがだめだったのなら、二ばい働きます。ど、どうか捨てないで下さい。ぼ、ぼくにはねもう行く場所がないんです。」
と長身だが、逞しいとは言えない、貧弱な身体ではないが、黒髪の地味な顔立ちの若者は訴えた。
「誤解するな。君は悪くない。君のパーティイーへの貢献はあまりに大きすぎるくらいなんだよ。君を悪く思う者はこのパーティーにはいない。君の仕事は完璧、パーフェクト・・・いや、それをはるかに超えているよ。他の事情からなんだよ、こちら側の勝手な事情、理由なんだ。許してくれ、このとおりだ。」
大柄で豪放磊落、どんなときにも自信と冷静さを失わない見事な長い金髪を颯爽とたなびかせて戦闘の最前線に立ち、常に勝利をもたらすゼウスが、おどおどして、小さく見えるようだった。その彼女が頭を下げて、机に頭を叩きつけんばかりに頼み込んだ?のである。
「ああ、僕はやっぱり駄目なんですね。」
と言って、金貨の入った袋、ズシリとそれは重かった、を持って立ちあがり、背を向けてフラフラと立ち去った。
「す、すまん、本当に。」
彼の姿が見えなくなって、本部の外に出てしまった、も彼女は、涙と鼻水を流しながら言い続けた。
どうやってきたのか覚えてはいないが、ケルビムは、冒険者ギルドの待合室兼食堂のテーブルの席に座っていた。その彼の所に、冒険者の男女の一団が現れた。
「け・・・、ケルビム。久しぶり。」
「あ、あの時は悪かった。俺達、お前のお蔭で成り上がったのに、それが怖くなってしまったんだ。」
「自分達の実力が到底及ばないのに、ランクばかり上がっちゃって・・・。」
「俺達は屑でお前を食いも魔にして、そのあげく追放しちまった。悪かったと思っているんだ。」
「ようやく謝りにくることができたんだ。」
「あの時はすまなかった。」
と全員が一斉に頭を下げた。周囲の冒険者やギルドの職員がなんだ?という視線を送っていた。
ケルビムを以前追放、解雇した冒険者パーティー、計4パーティーの面々だった。
「ああ、皆さん・・・。お久しぶりです。元気だったんですね。そう言っていただけるなんて・・・役立たずの僕にそんなことを・・・嬉しいです。」
とうれし涙を流し始めた彼に驚いて、
「で、でも今はS級パーティーのハルマゲドンで大活躍ということじゃないか?」
「あなたの活躍の噂は聞いているわよ。凄いじゃないの。」
「やっぱり大パーティー。懐が深いぜ。」
「ケルビムの成功を祝って、お詫びには到底ならないが、その祝宴をさせてくれ。」
と笑顔の彼らに、いたたまれないようなくらい顔になったケルビムは舌を向いて、
「ぼ、僕・・・さっき解雇されちゃって・・・僕が役立たずというのはわかるんですが、一矢を受けん名やってきて突然・・・どうしてかなと思うと・・・。」
と涙を流し始めた。
「な、なにー!」
とハーモニーした面々。
「抗議にいくぞー。」
「なによ、自分達なら大丈夫と大言壮語しておきながら。」
「ケルビム。大丈夫だ。回は取り消しにしてやる。」
「だ、だからはやまったみとはするな。」
「お前らはここにいて、こいつに変な虫がつかないように見守っていてくれ。」
半分の面々が駆け去って行くのを呆然として見送るケルビムだった。




