鉱山道……
「……よし! 新人、ここでの作業を説明するぞ」
「はい!」
ケイゴはセルト鉱山に来ていた、296が倒れてしまいそのままなら奴隷に落とされると知らされ、心の中での葛藤の末見捨てるか守るかの選択でここセルト鉱山に来る事となった。
「まぁ、やる事は簡単でこなすのは辛いってだけだ……鉱山で働く経験は? 新人」
ケイゴにそういうシビュターは筋骨隆々、肌が焼けた黒髪、頬に痛々しい傷跡が残っていた。
「……いえ、無いです」
……めっちゃ怖い感じな顔だ……でも声の発し方は何となく優しい印象を与えてくる……それと顔に入った傷が……カッコいい……
「本当だったらちゃんと教えてからじゃなきゃ、やらせないんだが……まずは、簡単な作業から徐々に体力がある奴は深くまで入っていってもらってる……セルト鉱山にな?」
「……はい」
……体力ないんだなぁ〜これが……俺デブで動かないもん……
ケイゴは、素直に返事を返す。
「お前がまずやる事、それは中で採取した鉱石と邪魔になった石や土を外まで運んでもらう……まぁこの作業は簡単だが下手したら一番辛い作業とも言えるな」
シビュターは、真剣だ。
「……はい」
……体力必要だな……俺出来るかな……
ケイゴは、不安な顔で話を聞いた。
「……だから二倍とか普通無理だ……理由が何だか知らんが諦めた方がいいぞ?」
「…………」
……だなぁ……そうだな……二倍となると1人持つ物を二つ持たなきゃ二倍にはならない……後は二倍早く動くしかない……やはり夢物語だったな……主人公にはなれそうにない……
ケイゴは、真剣な顔だ。
「それでもいいって顔してるな? 気合いでどうにかするしかない問題だ、結局自分との戦いだ、辛い作業と言うのは……俺がここに配属される前まで雑な管理で囚人達は本当に奴隷のように効率悪く作業させられていた……だが安心しろ、目標は必ず達成出来るよう仕事を組んでやる、お前ら罪を犯した野郎でも罪を償う権利はあるからな!」
シビュターは、歯を見せて笑う。
「……ありがとうございます……」
……この人は、他の人とは違う……人として見てる気がする、囚人となってからずっとゴミやクズと言われて来たから……でも……
……それじゃダメなんだ……俺は奴隷に落ちるのだろう……でも! それじゃあきっと、願望かもしれないけれど……自分のせいでとか思う可能性がある、それはすごく嫌な感じだ……俺はよくそれを感じているからわかる……
ケイゴは、拳を握りしめた。
「……あそこに行け、他の奴らのしている事を真似ろ、教わるより慣れて取り込め、すればいずれ自分から動けるようになる……もし二倍働くと言うのなら、俺の言われた通りやってても1.5倍が限界だぞ? 行ってこい!」
シビュターは、囚人達が台車や手持ちで何かを運場所を指差して言った。
「……はい!!」
ケイゴは、返事を返すとその場所に走って向かった。
「……待っててくれ296さん、お礼は返す……
そして帰ったら一緒にパンを食べよう、今度は……
俺の奢りで!♪」
ケイゴは、辛いはずの仕事に向かう前の人とは思えないほど嬉しそうな笑顔だった。
「ケイゴ……貴方は囚人となった今も変わらない。自分の身を呈して守ろうとするその姿勢は、盾士其の者……
でも、貴方が傷つくばかりじゃない……」
盾師匠は、ケイゴの背を見て辛そうな顔をする。
「……ケイゴが……盾が壊れてしまっては守れないのよ?」
彼女の不安は、弟子には伝わらない……
そして雨が降る。
「……はぁ……はぁ……」
ドサンッ! ゴリュゴリュ……
「…………」
ケイゴは、囚人達を観察していた。
「……はぁですよ……はぁですよ……」
ドサンッ! ゴリュゴリュ……
「……ああするのか……」
あれは確か……誰か忘れた……
「……フフムぁ……フフムぁ……」
ドサンッ! ゴリュゴリュ……
「……土や邪魔な石はあそこに置いて、鉱石はあっちだな……」
あの人は……思い出せないや……
「だいたい分かった……後はしてみて慣れていくしかないな……」
ケイゴは、同じ作業をする人達の後を追いセルト鉱山の中へと歩んで行った。
「…………」
……結構広い穴だ……上らへんにはヒカルンがふわふわしてる……やっぱり暗い……
ケイゴは鉱山の中を歩いていた、
「……ここら辺はもう取り尽くしたって事かな? ……皆んな辛そうだな……」
ケイゴの進む横をゴツゴツした沢山入った袋などを重そうに運ぶ囚人達。
「…………」
……俺もこれを……
「……296さん……」
ケイゴは、その暗闇があの夢を呼び覚まし、下を向き歩いた。
そして、しばらく歩いていくと、沢山の人がピッケルなどの工具を使い壁を掘り進め、それから出た土や鉱石を運んでいた。
「スーーッ! デブのオートスキル……無動増力……
何もしなくても力持ち……脂肪がダンベルだからな! 今見せてやる!」
ケイゴは、袋が山積みの場所へ向かった。
ここは、最奥の採掘場
「気張れ! 俺らは囚人から抜け出すんだ!」
囚人の男1人が身体中土だらけにして汗を流しスコップみたいな物を使い、大きな穴を掘る機械と思われる魔機から出る邪魔な土をどかし叫ぶ。
「「「「「「…おう!…」」」」」」
最奥の採掘をする囚人達は不思議と連帯感が生まれていて皆で力を合わせて掘り進めていた。
それはそうだ、皆ここを抜け出したい気持ちは一緒なのだから……
「掘れば掘れれば鉱石〜♫」
「「「「「「タップタプ!!♫」」」」」」
「土を攫え〜♫ 攫えねば〜♫」
「「「「「「泥酔さらボイン♫」」」」」」
「土は積め積め〜♫ 罪継ぐバカにならぬ為〜♫」
「「「「「「タップタプ〜〜♫ 」」」」」」
「多分!」
誰かがふざけた声で言う。
「「「「「「がははは♪」」」」」」
囚人達は楽しそうに笑い洞窟内に反響した。
「誰だ♪! 今のは〜」
「ほんと誰だ〜いい所だったって言うのによ〜♪」
「なぁ〜♪ 次はちゃんとやれよ!」
囚人達は力を合わせて掘り進む鉱山に眠る自然の贈り物を……
ガッ! がガガガッ! キュルルルルーーン!
魔機が何かにぶつかり止まってしまった。
「おい! どうしたんだ〜」
「んぁ〜固い岩盤にぶつかったみたいだ……ガドルの先端変えるにはまだ大丈夫なはずなんだがなぁ〜」
ガラガラ〜
そして彼らは掘り当ててしまう……自然の贈り物とは別の何か……
「おい、なんか……硫黄臭くないか?」
ガリルと言われた魔機の先端はへしゃげておりその先にそれは眠っていた……
「ピビピ」




