一生……一緒……
「醜いオーク」
「……えっ?……ここは……」
「ケイゴさん」
「……先生……」
ケイゴは解体室にいた、そこにはブレイクと受付嬢ちゃんが肩を触れ合わせるほど近くによりケイゴの対面に立っていた。
「君はそのまま囚人として暮らすといい」
ブレイクは、いつものキザな感じで言う。
「……私、ケイゴさんはそんなする人とは思いませんでした」
受付嬢ちゃんは、ケイゴをゴミか何かを見る感じで睨んでいた。
「…………」
「君は許されない事をした、彼女を傷つけ、皆を不幸にしたんだ……
……もうこの世界に君は不要だ」
「……で、でも! 俺は! 守ろうと! あそこにいる皆んなを……貴方に助けてもらおうと! 俺は知ったんだ! あの状況を覆すほどの考えを! それを実行しようしたけど……俺は弱い……だから! 貴方が目を覚ますまでの時間稼ぎをし「くどい! 言い訳など聞きたくない! お前のような醜いオークが人を守れる訳がないだろ! 何を勘違いしている」……お前が! その場で気絶してなかったら成功していた! 俺はそのせい囚人になったんだぞ!」
ケイゴは怒鳴る、内に秘めた本音を。
「やめてください!」
受付嬢ちゃんが叫ぶ。
「……はぁ……はぁ……」
ケイゴは、肩で息をして受付嬢ちゃんを見た。
「……それがどうしたと言うのですか! だからと言って私をその気持ち悪い目で見ていたのは変わらないじゃないですか!! あなたのような人は……
……この世界に要りません!」
「…………………お、俺は!! お前を守ろうとしたんだぞ!! 俺の好きな貴方を! それなのにそんな事を言うのか! 俺はあれしかなかったんだ!! 弱いこんな俺がやれることは、時間稼ぎしかなかったんだ! それなのに貴方も俺を」
ケイゴは、涙を流す。
「……もう受付に来ないで下さい、私の前から……消えて!!」
受付嬢ちゃんは、ケイゴを突き飛ばした。
ケイゴの後ろはいつのまにか暗闇の穴が広がっていた。
落ちる瞬間にブレイクと受付嬢ちゃんが手を繋いでいる姿が見えた。
「……先生! ううぁーーーー!!」
ケイゴは、暗闇に落ちていく。
「…………」
それを見ていた誰かが暗闇の中に自ら飛んで入った。
「……ケイゴ起きなさい……」
ケイゴは、誰かにそう言われる。
「……う、う……」
ケイゴは、ゆっくり目を覚ました。
「……起きたわねケイゴ……」
「…………」
ケイゴが目を覚ますと門番ちゃんが体育座りしてケイゴを眺めていた。
「どうしたの? すごく辛そうだったけど……」
門番ちゃんは心配したような表情で言う。
「あ、いや……別に……」
……夢か……人のせいにしてしまう……俺は最低だ……
「……そう……はい、カフィスよ? ケイゴが起きるの遅いから冷めちゃったけど」
門番ちゃんは、カフィスをケイゴに檻の間を通し渡す。
「……あ、いや、自分は冷めたくらいがちょうどいいんです、猫舌なんで……ありがとうございます……」
……門番ちゃん……俺は貴方にあんな事言ったのに……信じてくれるんですか?
ケイゴは、カフィスを受け取った。
「……どう? 囚人となって今……」
「何とか奴隷になるのは回避できました……でも今日はどうなるかわかんないです……」
「……罪を償いなさい……
私はあなたを信じないから」
門番ちゃんは、無表情で言う。
「……え? も、もしかして今の自分を信じないでくれるんですか?」
「……えぇ……私はあなたを信じない」
門番ちゃんは、冷たく言う。
「……俺……本当は、時間稼ぎの為に気持ち悪いこと言ってたんです……貴方には信じないでもらいたかったんです」
……こんな俺を見捨てずにあの嘘の俺を信じないでくれるなんてやっぱり門番ちゃんは優しい……
「……私はケイゴを信じない……今も……
昔も、この先もずっと」
「……えっ?」
門番ちゃん?
「ケイゴは、信じれない……何もかも……
……私との約束を忘れ、自分の欲望のままに人を傷つけたケイゴを、絶対に信じない」
門番ちゃんは、冷たく冷たくケイゴを見て言う。
「………え? 約束を忘れ? 俺は忘れてなんか……」
「……いいえ? あなたは、私を裏切った……信じさせてくれると言ってくれたのによ? そんな人を私は信じるわけないじゃない、ね?
ケイゴ?」
門番ちゃんは、小首を傾げる……だがそれは、とても冷たく可愛いなんて言えるものではない、ケイゴを見ていない……人としてもう見てないそんな感じがする仕草と声だった。
「……ケイゴ……あのまま起きなければよかったのよ……助けなきゃよかった……さよならケイゴ……
……この世界に要らないわ」
門番ちゃんは、檻を離れていく。
「ま、待って!! 俺は守ろうとしたんです! 約束を忘れるわけがない! 俺はあなたが好きなんだ! 大好きだから! 本当です! 信じてくださいお願いします!」
ケイゴは、檻を掴み必死に叫んだ。
「あなたに言われた通り信じないわ……
私は好きな人は、レンくんただ一人よ」
門番ちゃんは、振り返ることなく去って行った。
「違うんだーー!! 本当の俺を信じて欲しかったんだーーー!!」
ケイゴは檻を掴み背を海老反りに顔を天井に向け目を強く瞑り、泣き叫んだ。
「……俺にどうしろって言うんだー!!」
そして、空間が暗くなりケイゴはまた闇へと落ちていった。
「…………」
暗闇の中飛び込む誰かは、髪で顔が見えなかった。
「……俺は最悪な人間だ……この闇のように深く……俺はこの世界に要らないんだ……このまま落ちていけば死ねるのかな……」
ケイゴは、闇の中をずっと落ちていた。
「……こんな夢昔たまに見てた……ずっと落ち続ける夢、怖かった……でも今は違う……この先にある地面に落ちれば……きっと死ねる♪ そんな希望が湧いてくる……俺空を飛んでみたかったんだ〜♪ ヒヒ♪」
ケイゴは、落ちるほうに体を向け大の字に体を広げ、歪んだ笑みを浮かべた。
ポンッ!
すると、ケイゴの頭からシロフワさんが出てくるが、今回は違い……
「……ケイゴ! 今すぐ起きて! この先はあの崖の先だよ! なぜか起こせないの! 死んじゃうよ〜」
ひどく慌てた光の人だった。
「……ヒヒ♪ 飛んでるよ〜今俺♪……飛んでる〜♪ 光の人も楽しもうよ〜♪ ヒャッホー♪」
ケイゴは、宙で宙返りをして、楽しそうだった。
「……ダメダメ! ケイゴ正気に戻ってよ〜本当なの! この先はケイゴの精神が壊れちゃうの〜! 心が潰れちゃうよ〜」
光の人は、ケイゴの襟を掴み引き上げようとするがその速度は増すばかり。
「飛んでいるより落ちてるが正解か♪ バッカだなぁ〜俺!
だって俺だぜ♪ ヒヒ♪ ヒヒヒヒ♪」
ケイゴは、狂ったように笑いながら高速で横回転する……光の人は、振り払われた。
「……ケイゴーー!! 私怒るよ〜!! 何でいつもいつも〜私困るよ〜」
光の人は、ケイゴをポカポカと殴る。
「……いいんだ〜俺は要らない〜ヒヒ♪ 醜くて〜♪ デブスで〜♪ バカで〜♪ 弱くて〜♪ 気持ち悪い〜♪ 約束を守れない俺は〜♪
い〜らない♪」
ケイゴは、歪んだ笑みのままに光の人に言った。
「……そんなケイゴ嫌い! 諦めちゃダメダメだよ〜約束してくれたじゃん! 生きてくれるって〜ケイゴ〜」
光の人は、それでもなおケイゴを引き上げようとキラキラと光を飛ばしながら言う。
「……ほら〜嫌いでしょ〜♪ 俺も嫌〜い♪ あはは♪ ヒヒヒ♪
生きたんだ……努力したんだ……でもみんなが俺を虐めるんだ……ならいいじゃん死ねば……俺は一度死んだ身だ……楽しんだよ異世界……スッゲー楽しかった……泣いて苦しんで痛くて切なくて寂しくて一人ぼっちで何も出来ず何一つ恩を返せず嫌われ蔑まれ……
……罪を犯した……あ〜楽し♪」
ケイゴは、顔を歪め涙を垂らす。
「……ケイゴ〜」
光の人はケイゴから手を離す。
「……ありがと……俺はこのまま消えるよ……今まで何度も助けてくれてありがとう♪ でも俺はもうダメだ……さよならだ」
ケイゴは、光の人に手を伸ばす。
「……私との約束は〜?」
その声は、とても辛そうで消えてしまいそうでいつもよりも光は弱々しかった。
「……した相手を間違えたと思ってください……俺には無理だ……俺の妄想……」
ケイゴは、体から力を抜き落ちる事に身を任せ目を瞑った。
「……嬉しかったのに〜人にはもう関わらないって思ってたの〜ケイゴが変えてくれたんだよ〜? それでもダメ〜?」
「……ふっ……変わったのは俺のおかげじゃない……君の中でそう思って実行しただけだ……人は、自身で変わるものさ……」
ケイゴは、浮遊感を感じながら答えた。
「……私人じゃないのに〜……でも……
……ケイゴが死ぬのなら……永光側仁……
……一緒だよ」
「……永光側仁……」
ケイゴと光の人は、寄り添うように暗闇へと深く深く落ちていった。
バサッ!!
「……えっ?!」
ケイゴは落ちるのが止まり何かに抱きかかえられた感覚がした。
バサッ! バサッ! バサッ!
大きな羽が羽ばたく音が聞こえケイゴは目を開ける。
「…………」
そして目の前には、ザッ! ムラサキな髪色をし、髪の内側から覗くオレンジ色の眼光はケイゴをじっと見ていた。
そして何より特徴的なのは、黒くカラスの羽のような羽毛の大きな羽、悪魔の羽を想像させ……
「……翼が片方しかない……」
「…………」
その紫髪の片翼は、細く折れてしまいそうな肢体で、ケイゴをお姫様抱っこしてぐんぐん上に飛翔した。




