魔王の妻って…思ってたより怖い
「どんどん魔王軍が強化されていってるナウ」
「いきなり何言うてんねん?」
「いや、なんとなく…」
「まあ、これを見たら納得出来るけど…」
レイナの視線の先に広がるのは500前後の魔砲車(戦車)と200機の爆撃機、さらに輸送用ヘリ(オスプレイ型)とアメリカ軍さながらの兵器の数々が配置されている
いやー、まさか再現出来るとは思わなかったぜww
「後は、魔王が帰ってきてあのハーレム勇者を叩き潰すだけだな」
「流石の勇者もこれだけの数相手に戦えへんやろ」
2人して頷いていると、1人のメイドが近づいてきた
「レイナ様、魔王様がお帰りになられました」
「やっと帰ってきたんか…」
「奥方様も御一緒です」
メイドが言った瞬間、レイナが固まる
大丈夫か…?
すげぇ汗掻いてるし…
「…あー、やっぱり帰ってきたん?」
「はい。魔王様のお部屋に居られます。シンゴ様と来るように、との事です」
「え、俺?」
何故俺が呼ばれるんだ?
悪いことしてないぞ?
「分かった、すぐ行くわ。シンゴ、行くで」
「え、ちょっ…」
◇◇◇◇◇◇◇
「おとん、入るで!」
「失礼しまーす」
2人で魔王の部屋に入ると、案の定魔王と一緒に女の人が居た
おそらく、この女の人が魔王の妻だな
「レイナ!無事だったのね!」
女の人がレイナに抱きつく
「お、おかんもお帰りなさい…」
うんうん、親と子の感動の再会ってやつだな…
だが、レイナのお袋さんの表情が俺を見た瞬間一変する
レイナから離れ、俺に近づいて…腹パンしてきやがった
「グッフゥ…!?」
俺の頭に浮かぶWhyの文字
あと、すんげぇ痛い…
「てめぇが勇者か?」
「元、勇者だよ…」
レイナのお袋さんは鼻で笑って、
「今のは俺の家族を危険に晒した分だ」
ははは、OKOK…
ぶっとばす!
だが、俺が殴りかかろうとする前にレイナが動いた…もといキレた
「おかん!シンゴに何してんねん!?」
「な、何って俺の家族を危険に晒したから…」
「ウチもおとんも大丈夫やろ!兵だって1人たりとも殺してへん!」
さっきまでの感動の空気はどこへやら…
親子喧嘩が始まった
「なあ、魔王よ…」
「何や、シンゴ?」
「お前の奥さん、いつもああなのか?」
「…まあ、怒った時はあんなんになるわ」
「…お前も苦労してんだな」
◇◇◇◇◇◇◇
レイナ達の親子喧嘩がやっと終わり、改めてレイナのお袋さんと向き合う
「先程は申し訳ありませんでした。レイナの母、アリサと言います」
「向坂慎吾です。気にしてませんよ」なんとか気まずい関係にならずに済んだみたいだ
「それにしても、何でいきなりシンゴに攻撃したん?」
「それは…」
そこで何故か言いよどむアリサさん
「…私が故郷に居るときに聞いた話なのですが、シンゴさんは元勇者なのですよね?」
「…まあ、そんな所ですね」
「その元勇者が、色々な街で悪さをしていると噂が…」
「……は?」
俺が、街で悪さを?
草原にしか行ったことの無い俺が?
「…因みに、誰情報ですか?」
恐る恐る聞いてみる
まあ、予想は出来るけどな…
「現勇者が行く先々でそのような事を話しているみたいですよ?」
あのクソ勇者ーーーーーーーーー!!
何なのアイツ?
俺に何か恨みでもあんのかよ!?
「おかん、シンゴは来たときから街へ一度たりとも出掛けてへんよ?」
「そうなんですか?」
「まあ、近くの草原までしか行ったこと無いな」
「では、あの噂は…」
「現勇者が俺に罪を着せてるんでしょう」
すぐさま軍隊配置して叩き潰してやろうか…?
本当に苛つくクソ野郎だ
「今勇者はどこらへんに居るんだ?」
「ようやく此方側の国境を越えたみたいや」
「そうか…。まあ、お前が居ない間、軍の強化しといたから負けるとは思わねーよ」
「すまんな…」
「良いって。それより、今の所勇者一行の人数ってどれぐらいなんだ?」
「聞いた話だと200人弱だそうです」
おいおい…行く先々で女口説いて俺のデマ流してたのかよ
そりゃ、イケメンに釣られてるんだろうけどさ
「とりあえず、兵は明日配置しよう。さっきから眠くてしょうがない…」
「分かった。また明日な」
「おやすみなさい」
まあ、今日は腹パンされたりと疲れる事ばかりだったしな
その後、ベッドの上で俺はすぐ夢の世界へ堕ちた