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真説・公園の魔法使い  作者: 弐逸 玖
うつくしヶ丘高校の校舎裏 = “おかしい”のはどこだ! =
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敵は何者?

「くっそ! せめて属性さえわかれば。……アヤメっ!」

「すみません、集中が途切れました。――はい、もう大丈夫です!」


 そう、まずはアイツの属性。

 一番の経験値を持つカキツバタさんも、彼を一目見てクラスレスだと言い切った。


 彼は野良魔法使い。

 だから本来、クラスB二人とクラスA、更にはクラスレスといえども正規の魔法使い。

 四人をも敵に回して敵うわけが無い。

 量も質も圧倒しているこちらと同等になんて、戦えるはずが無いのだ。


 アイツの魔法はアイテム経由。だから属性が見えないし、防御結界も張れない。

 魔法の基本4元素に頼っていないからだ。

 だから弱点も見えない。


 でも、魔法使いとして最低限の力しか持たないのが間違いない事実なのだとすれば。

 だったらせっかく魔道書を手に入れても、そのままでは扱えなかったのではないか。


 盗まれたのはそれ自体にかなり強力な魔法と魔力が封じ込められ、一〇〇人を呪い殺した魔道の書。

 そのままでは元々の魔力と魔法が強力すぎて制御が出来ない、どころか野良魔法使いの身の上では、自分が一〇一人目の犠牲者になりかねない。


 だからマジカルピットフォールを作って、本に元々蓄えてあった力を吸わせる事で電池切れにした。

 封印を切ったら。つまりスイッチを入れたら、単純に危ないから。


 そしてそこにアダプターの付いた充電ケーブルをつないで、自分や仲間が扱いきれる範囲で魔力を細々と取り出すことにした。

 100Vそのままを繋げないスマホのように、彼らもまた魔力が強すぎて扱いきれないからだ。


 魔道書の魔法がどれ度かは見当も付かないが、大葉さんはかなり強大だと言った。

 ならば電池が切れたくらいでは扱いきれなかったのではないだろうか。


 パソコンを使って写真を印刷するだけなら、使い方さえ知ってれば誰でもできる。

 でも、写真を加工した上でポスターをつくろう。と思ったら、これは知識が要る。


 自分でパワーはたいした事は無い、と言っているが。

 そんな中途半端なヤツが、一〇〇人を呪い殺せるアイテムを使いこなせるだろうか?


 なので魔道書を使いあぐねた彼は、魔法の効果を弱めた。

 ……としたら。


 華ちゃんとあやめさんのピンズのように。

 何かの手を使って、魔法の威力を意図的に落としたんじゃないかな?

 自分が制御出来るレベルになるように。


 

「エアカッター!」

「……わわ!」

 あやめさんが叫ぶと、前触れ無しに突然私の足下に生えて来た、よく見えない触手のようなもの、それを空気の鎌が根こそぎなぎ払う。


「ごめんなさい桜さん、結界が緩みました。……怪我はありませんでしたか? いずれ今の触手には十分注意を、ゾンビにされてしまいますわよ! 華さん! ――わたくし達を気にせず桜さん達ともっと後ろへ! ……とは言え、そろそろ下がるところも、無くなってしまいますわね……。くっ」



 野良だろうとクラスレスだろうと魔法使いは魔法使い。

 アンクラスド、普通の人である私達とは違う。

 とすればアイテムくらいは使えて当然なんだろう。


 魔法使いとしてはド三流も良いところ、なんだけど使う魔法自体は高度。

 だが反面、パワーという面ではもう一つ迫力が無い。


 押されてはいるけれど、実質カキツバタさんとあやめさんを力でねじ伏せる、と言うところまでは行かない。

 そしてその魔法の発動自体は、きっとアイテムが無ければ出来ない。


 これらを合わせて考えてみる。魔道書の魔力はあり得ないほど強大。

 でもクラスレスでも扱えるように力をある程度小さく押さえたい。……ならば。



 ――本だと言うなら、ページごとにバラしちゃえば良いんじゃないか?



 それなら制御が難しくて、術者本人が爆発四散するような魔法だって使える可能性はあるだろうし、全ページを使う必要さえ無いのかも知れない。

 だって、アイテムをどう使えば良いかは知っているんだから。


 紙単体では魔法に負ける。とは前に聞いたが、それは1枚の紙に全てを書こうとするからじゃなかろうか?


 例えば本ならば、内容は当然分散して書いてある。

 それなら魔法だって、ページ毎に分散して存在しているんじゃないかな?

 だったら魔法の根幹をなすページだけ、大事なページだけを抜き出せば!


 どこにあるのかは別にして、多分これで間違い無いはず。


 アイツは、本をバラしたんだとしたら!

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