強迫観念と黒い影
緋絽です!
朝。ぼくはベッドに正座している。
来るよなぁー…。
バタバタと足音がする。
一応ドアに鍵は掛けてある。
でもそれはあくまで保険に過ぎない!
ミオが迫ってくる足音にゲッソリしている。
『多少恐ろしくなるな。夢に出てきそうだ』
「あぁ。ぼくもだ」
バン!!っとドアが開いた。
鍵が吹っ飛ぶ。
あぁ。また新しいのをつけなくちゃなぁ。
「リュカー!!」
サッとフライパンを用意。
それに勢いよく親父がぶつかる。
「朝食の準備どうもアリガトウ」
自分では心を込めて言ったつもりだったのだが、力及ばず棒読みになってしまった。
「勝手にぼくの部屋に入るなって言っただろ」
親父が赤くなった鼻をさすりながら泣きそうな顔になる。
「だっ、だって…リュカを起こさなきゃ遅れると思って…」
うるうると涙がこぼれそうになる。
ウザい!!
「あーもーわかったから!泣くな!」
瞬間で涙が乾いた。
「わーい!ありがとうリュカー!!」
ガバッと抱きついてくる。
「話せ!!ひっつくなぁー!」
「キャア」
声のした方を見ると4人が頬を赤らめてこっちを見ていた。
な、なんか嫌な予感…。
「リュカ…そんな趣味だったなんて…」
レナが人一倍頬を赤らめて言った。
「ちげぇよ!!」
やっぱり!最悪だ!
制服に着替えてから寮の廊下を歩いている。
焼いたトーストをくわえながら上着を羽織る。
親父は縄で縛ってきた。
そういやあのバカはなんで人界にいるんだろう。
ぼくを見つけて連れ帰るためなら既にそうしてるはず。
寝てる間にすればいいんだし。
まさかぼくに会いに来ただけ?仕事を放棄してまで?仕事を全部ベルにまかせて?
神の印がないとできないこともあるのに。
うーんと唸る。
どうなんだろう。
「なーリュカー」
カナタがぼくの肩を叩く。
「ん?」
「お前の親父ってさぁ…」
「何」
「おもしれぇな!!」
「そ、そう?そうかな…」
ゾワッと殺気を感じて辺りを見回す。
「リュカ?」
「いや…」
気のせいか?
「なんでもない」
リュカ達が通り過ぎた後───。
黒いマントを羽織った男が窓の向こうでニヤリと笑った。
「見つけた…」
次は夕さん!