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大切な場所  作者: 緋絽
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変身とドッキリ

どうも、夕です!

初めて会った時から4人とは気があった。

特にカナタとは。

あの、使い魔と魔武器を召喚した日から…もうすぐ一週間になる。

僕はずっと、カナタ、ガネル、レナ、リルの4人と過ごした。

その中で、彼らの性格がわかったんだけど…

まず、“自由人カナタ”。

カナタは他の3人の言うとおり、すぐ寝てなかなか起きない。とにかく自分中心。

んで、次は“おバカなガネル”。

ガネルはすぐ意味不明なことを言い出す。で、レナが突っ込む。

3人目が“負けん気レナ”。

とにかく、負けるのが大嫌い。何ごとにも勝つまで気がすまない。

ちなみにガネルとレナの会話は聞いてて楽しい。

最後が、“腹黒リル”。

こんだけじゃ、わかんないかもしんないけど、一週間もすればすぐわかる。

リルには裏がある…。特に怒らせたら、ゴゴゴゴ…と音がするくらいに怖い。



『そろそろやめてはくれないか…?リュカ』

「えー…」

ミオがうんざり顔でぼくの肩を降りる。

『さすがに痛かったぞ!!』

「ごめんごめん」

いやー楽しませてもらった。

ミオのしっぽを引っ張って…離す。するとしゅるっ…と元に戻るのだ。

『いくら私が使い魔だとはいえ、その扱いはないであろう』

かるーく無視して、カナタの所へ行く。

「カーナタっ」

「おーリュカ」

「次の授業…“変身”?何すんの?」

後ろからミオが小さな羽根でパタパタ飛んでくると、ぼくの頭にとまった。

『置いてゆくな』

それもまた無視。

カナタが苦笑いしてミオに目をやる。

「今日は俺の使い魔もいるからさ、遊んでろよ」

カナタの上着の中からもぞもぞと出てくるのは、

「ウォーターウルフ?」

「あぁ」

ミオと同じくらいの大きさのウォーターウルフ。

『我はギオウだ。お前は…』

「リュカ」

『…ミオだ』

その時のミオがしかめっ面をしていたのは、誰も知らない。

ギオウか…。

ギオウとミオは揃って机を飛び降り、遊びに行ってしまった。

「で、変身ってのはだな。そのまま変身なんだけど…ま、一時的に姿を変えることだ。たとえばギオウみたいなウォーターウルフになることもできるってわけ」

「ふーん。楽しそ、だね」

別にどーでもいいけど。

変身って必要あるか?

ガラガラ…と扉の開く音がして、ノウが入ってくる。

「みなさん席についてくださーい」

ぼくも慌てて…でもないか、席に着く。

「今回、習うのは、変身の魔法です。みなさん知ってると思いますが、この魔法の呪文を、だれか…そうですね、レナさん、言ってみてください」

レナがガタッと立ち上がる。

“負けん気レナ”のお手並み拝見としましょうかね。

「え…と、“───この目映ししものに姿を変えよ───《映し鏡》”です!この魔法では、自分の目に映った物に姿を変えることができます。先生を見て詠唱すると、先生になることもできます。属性は関係ありませーん」

そこまで言ってレナは座った。

「はい、素晴らしいですね」

レナは得意気に笑っている。

関係ないことまでつけ足してたけどな。

さすが“負けん気レナ”さん。

「では、みなさん数人のグループに分かれてやってみてください。何に姿を変えてもいいですよ」

こ、このパターンは…。

「リューカっ!!一緒にやろーぜ!!」

「あたしの発表どうだった?」

「よかったですよー」

わやわやと3人が集まってくる。

やっぱりね…。

「カナタは?」

ぼくが尋ねるとリルがクスッと笑った。

「しっかり、捕獲済みです!」

リルに腕を掴まれてるカナタ。

すっごいめんどそう。

「よっしゃ、だれからする?」

ガネルがここぞとばかりにしきって、みんなの視線を集める。

「……………俺から?」

「そーよ」

「はい」

「もちろん」

「あぁ」

みんなそれぞれの答え(肯定)を返して、ガネルはたじたじと後ろへ下がる。

「早くしなさいよ」

「わ、わかったよ…」

レナに言われ、ガネルは詠唱を始めた。

「“───この目映ししものに姿を変えよ───《映し鏡》”」

うぉっガネルが光った。

光がおさまるとガネルがいた場所には、……カナタが。

カナタがいた場所には、カナタがいた。

「カナタくんが2人です!」

「おいおい…、俺かよ…」

「いっやーやってみたかったんだよなー」

ガネルの方のカナタはしばらく一人で笑い転げてから、元の姿に戻った。

「次はあたしよ!!」

その後、レナはリル、リルはレナに姿を変えて遊んでいた。

んじゃ、そろそろ…。

「な、リュカ。もう一回ドッキリしねーか?」

「ドッキリ。ぼくが編入してきた時みたいな?」

そこへ、カナタが声をかけてきた。

「そ、だからさ…ゴニョゴニョゴニョ…」

「いーな、それ!!」

「だろ?」

2人は同時に詠唱を始めた。



ひとしきりクラスが静まったところでノウが教台に立った。

「終わったようですね?みなさんできましたかー?」

『はーいっ』

元気な声が飛び交う中、ニヤニヤしているのが2名。

「また、何笑ってるのよカナタ」

「リュカくんもですよ」

「「悪いって」」

ちなみにカナタの前の席にリュカ。

リュカの隣がリルで、カナタの隣がレナ。

ガネルは1人だけ、前の方。

「俺も混ぜろー」

と、よく聞こえてくる。

───と、ここでみなさんにはお教えしましょうか。

実はカナタとリュカは入れ替っております。

さっき変わった時からそのままなのです。この魔法、声も変わるらしく、誰にもバレてません。では、本編に戻りましょう。

「(意外にバレねーのな、そーだ!!)な、カ…じゃなくて、リュカ!」

「ん?(あいつ間違えたな)」

近くに身を乗り出して、小声で話す。

「これ、ミオとギオウにもバレねーかな」

「あー…大丈夫だろ」



授業が終わって…使い魔達が戻ってくる。

『帰ったぞ、リュカ!!』

ミオは真っ直ぐリュカ(カナタ)の頭にとまる。

あのやろーっ間違えてんじゃねーか!!

「おかえり」

そう言いながらも必死に笑いをこらえているカナタ。

ぼくが恥ずかしいだろ!!

ミオは簡単に騙された。

───ところが、ギオウは…。

『何をやっている?そんなことをして…ミオ、そいつはカナタだ』

『ナヌィ?』

ギオウ以外の者の頬を冷や汗が伝う。

『我を騙せると思うな』

ギオウの後ろに黒いオーラが見える気が…。

「「ごめんなしゃぃ…」」

ミオが慌てて姿を戻したカナタの頭をおり、リュカに移る。

『遊びに付き合ってやっただけなのだからな………!!』

そこへその様子が見えた3人がやってくる。

もちろんガネル、レナ、リル。

「ちょっと、騙してたのね!!」

「ひどいです!」

「気づかなかった…」

その後、カナタとリュカはこてんぱんにしかられ、第2回ドッキリ大会は失敗となった。

───ミオもリュカに怒られていましたとさ。


次は秋雨さん!

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