銀と終焉
夕です!
カナタの剣が振りかざされる。
「――――――チッ」
よけきれないセダ。
まるで、スローモーションの様に世界が動く。
そして―――――――。
気付くとぼくは目をふさいでいた。
何の音もしない。
セダはやられたのか……?
「………な、なんで……っ」
小さな小さなふるえ声が聞こえた。
セダ。生きてる?
「なんで………、ここにいるんです……!?」
不意に誰かに肩を叩かれた。
ハッとなって、目を開ける。
「カナタ……」
「終わったな。ほれ、見ろ」
カナタが示したのは、
「??」
たくさんの白服の男達に囲まれるセダだった。
男達はみな、銀の髪に銀の目だ。
「あれ……天界の……?」
「らしいな」
『リュカの仲間か?』
いつの間にかウィンドキャットの姿に戻っていたミオが頭にとまる。
男の1人がこちらへ歩いてきた。
「あ、シルク」
「お久しぶりです、リュカ様。……と言いたいのですが、なーにをやってるんです!!あなたは!!」
「んー……暇つぶし?」
シルクは天界の保安官の1人だ。
あごひげを生やしているから、よく「ヒゲのおっさーん!」ってからかってた。
「暇つぶしねぇ……。あなたは次期神なんですよ」
「リュカってほんとに次期神だったんだ……」
カナタがぼくとシルクの間に割り込んでくる。
って、カナタ疑ってたのかよ!今更?
「おや、こちらの方は……人間ではありませんね。魔族ですか?」
「「………!?」」
バレてるよ!!一目でわかるとか、シルクすごっ!
「まぁ、魔族といってもリュカ様の友人なのでしょう?今回は見逃しましょう」
「サンキュ!!ヒゲのおっさん!!」
「おっさん………。とりあえず、私達は罪人を連れて天界へ戻ります」
くるっと踵を返すシルクをあわてて捕まえる。
「シルク、ついでにバカ親父も連れてってよ」
「………グリル様ですかーー?」
「あいつ、ぼくの部屋に住みついてんだよー。邪魔でしょーがなくて」
シルクは微かに笑って頷いた。
「わかりました。神の仕事が溜まって大変だ、とベルがぼやいてましたから。連れて帰ります」
再びシルクは歩き出したが、数歩行ったところで振り返った。
「リュカ様、今回私達を呼んだのはグリル様なんですよ。息子が狙われている、早く来てくれってね。随分慌てたご様子でしたよ」
今度こそ本当にセダのもとに行ってしまった。
………あのバカでアホで激弱な親父が?
「今、親父さんのこと見直しただろ」
「!!…………別に?」
「そうかぁ?」
「だからなんにも思ってないし!ありがとなんて思ってないし!!」
「(はっきりしろよなー)」
『(まだまだ子供だな)』
『(心の中丸見えだ)』
ばっとカナタ達のほうを見ると、全員が目をそらした。
ムッとして今度はセダのほうに目をやる。
ちょうど、連れて行かれるところだった――――――。
次は秋雨さん!




