追跡と逃走
夕です!
―――それから、ガネルは学園内の病院へ運ばれた。
助かるかどうかわからないと言われて、何も言えなくなったぼくとカナタ。
許さない。
あの白マントの男…見つけしだい殺ってやる。
カナタside
俺とリュカは詳しい状況を話すため、学園長室に呼ばれた。
でもリュカはすぐに出ていってしまった。
「…じゃ、俺も寮に戻るから」
バタンとドアを閉める。
もう、レナとリルにも話はいっただろうな。
――――それにしても、あの時のリュカ…。
なんだったんだ、あの目。
指輪が割れたかと思うと急にリュカの目が金色に変わった。
指輪は俺と同じ魔力制御のものだと思う。
「リュカ…!」
なんだか、嫌な予感がする。
俺はリュカを捜して校舎内を走った。
リュカside
確か、ここだ。
白いやつと、倒れたガネルを見つけたのは。
ここからあいつは向こうへ走っていった。
その方向へ走る。
「許さねぇ…」
指輪が1つなくなった左手を見る。
さらに1つ、ひびが入っていた。
「……チッ」
小さく舌打ちしてスピードをあげる。
――と。
「リュカ!」
「カナタ?」
正面にカナタが転移で現れた。
「お前…魔力が…っ…」
「ああ。指輪が…」
「強すぎるぞ。バレねぇか!?」
「あー…ヤバイかも。1つ割れたし、2つ目が割れそう」
ぼくの目は今はもう銀色に戻っている。
金色になった時は怒りが押さえきれなくて…すぐにでも奴を見つけ出したかった。
そしてガネルと同じ目に合わせたかった。
「とりあえずは魔力おさえてるけど。いつまでもつか…」
「それなら余計に早くあいつを!」
ぼくらはお互い顔を見合わせて頷くと、駆け出した。
「ぼく…っ、あいつを殺すまでは、学園に戻るつもりないから…!」
「俺も…!」
もう学園内にやつの気配はない。
外に逃げたか…っ。
この学園は四方を高い壁に囲まれていて、卒業するまでこれは越えられない。
でも、越えるしかない。
「「――時間をつなぎ我を導け――≪転移≫」」
≪転移≫で壁を越える。
―――が。
突然、警報が学園中に響いた。
「やっべ…!逃げるぞ!!」
再び≪転移≫をして学園から離れる。
前は深い森だ。
ぼくとカナタはそこへ逃げ込んだ。
次は緋絽さん!




