白と赤と金
緋絽です!
「カナタ様~!!」
ヴィストが走ってきた。
「とまれ!バスケット!!」
「ヴィストですっ」
「なんでもいいだろ。お前、ガネル見たか?」
「ガネル?…………あぁっ!あの赤毛の!!いいえ見ておりません!!」
「そうか、じゃあ帰れ」
「はい?」
「か・え・れ、ま・か・い・に!!」
「えっえぇぇっ」
「わかったか?命令だ、ヴィスト」
ニッコリとカナタが笑った。
“ヴィスト”と呼ばれてヴィストの顔がほころんだ。
「じゃあな、ヴィスト。魔界で会おう」
「はいっ」
スゥ…とヴィストが消えた。
「…帰ったのか?」
「ああ」
「静かだな~」
ガサガサと森の中を捜す。
「ガネルー」
「おーい」
「リュカ、俺あっち見てくる」
「あ、うん」
ぼくはまっすぐ進んで捜した。
数十分捜して、それでも見つからなかった。
「ここ…広いからなぁ」
汗をふいて歩き出す。
「ガネルー!!」
ガサッとしげみからぬけるとカナタに会った。
「……あれ?」
「リュカ?お前なんでいんの?」
「さぁ?まっすぐ行ったはずなんだけど」
「お前…」
ガサガサッと向こうのしげみで音がした。
「!!ガネル?」
「なんだよ、そこにいたのか」
カナタと2人でしげみに近づく。
「ガネル出てこ…」
ガサッと白いマントを着た男が顔を見せた。
「「わあっ」」
すごいスピードで走っていった。
「な…何、今の…」
「わかんねぇ、関係者か?」
「どうだろう」
チラッと見えた、赤いしみ―――。
…悪い事起きなきゃいいけど…。
男の顔はヴィストの時と一緒でフードでよく見えなかった。
男の来たほうのしげみへ入る。
「ガーネール…」
「リュカ?どうした、早く行け…よ…」
ぼくらは信じられないものを見てしまった。
「「ガネル!!」」
血だらけのガネルが横たわっていた。
「おい、おいっ、しっかりしろ!!」
「ガネル!!」
カナタが首に手をあてた。
「まだ…生きてる…」
「“ミオ!!ギオウ!!ここに来て!!”」
≪念話≫で話しかけると二匹はすぐに現れた。
『どうし…っ!?ガネル!?』
『何があった!!』
「わかんねぇ、でも急いで保健室につれていかないと…」
「――時間をつなぎ我を導け――≪転移≫」
パッと保健室についた。
ちなみにガネルも。
「先生っ、ガネルがっ」
「どうしたんですかっ、何があったんです!!」
「こいつがジュース買いにいって…しばらく経っても帰ってこないから捜しに出て、森の中で…こいつを…っ」
「原因はよくわからないのね!?」
「男がいました!!白いマントを着た…!!」
「わかりました!!」
先生はガネルに治癒魔法をかけると他の先生を呼びに出ていった。
「くそ…!!なんで…こんな事に…っ」
「…………!!」
パキンと指輪が割れた。
「っ!?なんだ!?……リュカ?」
カナタがぼくの顔を見て目を見開いた。
「お…おい…お前……目が…金色になってるぞ…」
許さない。
ガネルを傷つけた奴を、ぼくは絶対に許さない。
次は夕さん!




