<最終話>平和な未来へと続く幸福な時間
バルコニーで民の前に出た後、式を挙げたホールで祝いの宴が催された。
国中から貴族たちが集まり、そこにはもちろんステファニー様やヒルド様もいらっしゃって、皆と楽しい時間を過ごす……とても幸せだわ。
私はお酒が飲めないから食事とドリンクでお腹を少し満たした。
宴は夜な夜な続いていくので、私の体力を考えて私とテオ様は少し早めに退席する事に。
それもなんだか恥ずかしい……きっと来ていた方には分かってしまうわよね。
私たちは馬車でベルンシュタット城へ戻り、エリーナ達に手伝ってもらい、初夜の準備を始めていく。
緊張するわ…………いよいよ、大人の階段を上るのね――――
馬車の中でも緊張して、何を話したらいいか分からなくなってしまったりして…………テオ様もずっと口を抑えながら外を見ているし、失礼な事をしてしまったかしら。
ゆっくり湯浴みをして肌を整え、髪も美しく整えられて、肌にはシースルーの可愛らしいシュミーズを着る。
前開きのシュミーズはフリルがふんだんに施されており、リボンで留められているだけ。
これを解いたら下着以外の全てがテオ様にさらけ出されてしまう仕組み……物凄く恥ずかしい。
よく見たらどこもかしこも布が薄い。
これを気ながらこの部屋で、どうやって待っていたらいいの。
ベッドに座って?
あまりに緊張して頭が混乱してきたわ。
ひとまず外の空気を吸いましょう――――そう思いベランダの窓を開けようとした時、後ろからテオ様が「ダメだ」と言って窓を固く閉じてしまった。
「テ、テオ様」
「……ダメだよ、ロザリー。 そんな姿でベランダに立っては……」
「あ……」
そうだった、自分の姿をすっかり忘れてベランダに立つところだったわ。
私はそれも恥ずかしかったけれど、テオ様にすっかり見られている事に気付いて、体が固まってしまう。
「ロザリー……私を試しているのかい?」
「え?」
テオ様の言っている意味が分からず、ふっと顔を上げるとテオ様の両手が私の頬を包み込み、そのまま口づけが降ってくる。
でもその口づけはいつもの触れるだけのものではなくて、とても情熱的で……頭が真っ白になる私を抱き上げ、そのままベッドへと連れて行かれてしまう。
「テオ様……っ!」
「もう待ては出来ないから」
「は、はいぃ」
テオ様の首にしがみ付き、なんとか返事をした。
もう緊張で心臓が口から飛び出してきそう。
私は夜の知識が全くなかったので、度々旦那様を困らせてしまったけれど、テオ様は緊張で何が何だか分からない私を優しく導いてくださって…………無事に結ばれる事が出来た。
でもホッとしたのも束の間、テオ様は朝方まで離してくれなかったのだった――――
翌日、夕方まで起き上がる事も出来ずにいた私は、エリーナに「お熱い夜でしたのね!」と冷やかされてしまう。
もう……エリーナったら。
本当に恥ずかしい……今初夜を思い出しても顔から火が出るのではと思うくらい、自分が自分じゃないようで布団を被ってしまいたい衝動に駆られる。
その事をテオ様に伝えても「また今夜も励まないとな」と言われて一蹴されてしまう。
しばらくはベッドで離してくれないだろうなと諦めて、新婚気分を味わう事にしよう。
ようやく本当の意味で辺境伯夫人になれた私は、白い結婚を卒業し、テオ様や皆の愛を受けながら、ベルンシュタットで幸せに暮らしている。
そんな攻防を繰り広げてから数年後――――
空は晴れ渡り、小高い丘を駆ける小さな天使の後ろを追いかけるテオ様……そして私はそんな二人の姿を見守っていた。
ここは元リンデンバーグ王国のデールの丘。
13歳の私はリンデンバーグ城を抜け出し、戦況が危ない中この丘にエリーナと二人でやって来たのよね。
そこへボルアネアの奇襲があり、デボンの森へ逃げ込んだ先でテオ様に出会ったのだ。
リンデンバーグ王国は滅び、ここは今、ベルンシュタットの領地としてテオ様と私が治めている。
「ここもかなり整備されてきたわね……」
私の言葉は風に乗って消えていった。
「とうさま――――!! こっち――!」
「ベラ! そっちは森だから戻っておいで!」
視線の先には娘を追いかける愛する夫と、愛娘のベラトリクスの姿――――
彼女がお腹に宿り、生まれてきた時に女の子だったらお母様の御名をいただこうと決めていた。
彼女は皆の愛情を受け、天真爛漫に健やかに育っている。
陛下もまるで孫のように可愛がり、目に入れても痛くないというくらいに娘と会う時は幸せそうだ。
そして私のお腹には今、もう一人の天使が宿っている。
「奥様! そろそろお昼にいたしましょうか!」
「そうね、エリーナ。 2人に知らせないと」
「私にお任せください」
「レナルド……ありがとう」
今日はエリーナとレナルドも一緒に来てくれていて、レナルドは娘と夫のもとへ走っていく。
「ベラトリクス様! お食事にしましょう!」
「レナルド――!」
娘はすっかりレナルドに懐いてしまっているので一目散にレナルドのもとへ駆けて行き、彼の手を握る。
それを見てテオ様がへそを曲げてしまっている。
「レナルド、父親は私なのだが」
「誰と手を繋ぐかはベラトリクス様が決めることかと思います」
「レナルド、はやく!」
大の大人の男性が小さな女の子に振り回されている姿に、エリーナと顔を見合わせて笑ってしまう。
今日も今日とて平和な時間――――お母様が願っていた平和がここにある。
「さぁ、お食事にしましょうか」
「うん!」
可愛い娘は元気に返事をして、料理長のグリンゴールが作った食事を頬張っている。
皆で食べる食事は、殊の外美味しく感じるわね。
この幸せがいつまでも続きますように……民の為に、家族の為に、出来る事をしていかなくては。
幸せな気持ちでふと空を見上げた瞬間、デールの丘には爽やかな風が流れ、私の頬を優しく撫でていった。
~~Fin~~
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