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【30万PV感謝】辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~【完結】  作者: Tubling@アルファポリス恋愛小説大賞「優秀賞」受賞
第三章

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最後のお別れ

 

 レナルドが城門へと向かってから20分も経たない内に、前方から沢山のベルンシュタット兵がやってきた。


 開門は上手くいったのね……よかった。


 ホッと胸を撫でおろしていると、ベルンシュタット兵が駆けてきて、テオ様に詳細を報告し始める。



 「上手くいったようだな……レナルドか?」


 「はい! その後すぐに門番は投降、城の兵達も我がベルンシュタット兵の数に圧倒され、次々に投降しております。 すぐに制圧出来るかと……王族達の情報はまだ入っておりませんが……」



 前方の兵を指揮していたと思われる人物がテオ様に報告していた。


 王族たちの情報はまだ……でも恐らく国王の自室か、玉座の間しかないはず。


 それか夜だから呑気に夕食を食べているか――――さすがにそれはないと思いたいけれど。


 そこへさらに新たな兵が駆けてきて、テオ様に報告をする。



 「閣下! 王族たちが見つかりました! ホールに皆おりましたので、兵が身柄を確保しています!」


 「分かった、ご苦労だったな。 私たちはホールに行く! その間に城内のリンデンバーグ兵を全て捕縛しておいてくれ……ロザリア、行こう」


 「……はい」



 ホールにいたという事は、やはり食事をしていたということ?


 あまりの呑気さ加減に頭が痛くなってくる。


 でも次々と情報が入ってくるのを聞いていると、城内は速やかに制圧されていっているのを感じるわね。


 お父様たちも見つかったので、私はテオ様に促されて、いよいよホールへ向かう事にした。


 いざお父様達に会うとなると、何を話していいのかと考えてしまう。


 するとテオ様が「私に少し国王たちと話をさせてくれ。 君はゆっくりでいいから……」と言ってくれた。


 気持ちの整理がつかない私を見抜いていたのね……テオ様の優しさが染みわたっていく。


 今度こそ、ちゃんと決別をしよう。


 そう決意して、お父様達が待つホールへと向かった。



 「大丈夫か?」



 俯きがちに歩く私を気遣い、旦那様が声をかけてくれる。


 その目には私への愛と思いやりが滲み出ていて、胸の中の不安など綺麗に洗い流されていくようだった。



 「ありがとうございます。 少し不安はありましたが、今なくなりました」


 「ロザリー……早く終わらせよう。 君をこんなところに居させたくない」



 テオ様の長い腕が私の肩を掴み、引き寄せて額にキスをする。


 そこから体中に熱が広がっていくようで、全身が幸福感に包まれた。


 私達はそのまま手を繋ぎ、ホール入り口へと到着したのだった。

 

 すでに扉は開け放たれていて、中央にはベルンシュタット兵に囲まれて膝をついているお父様や王妃殿下、側妃達や兄姉達が揃い、こちらを睨みつけている。


 先にテオ様がお父様達に伝えるべき事を伝えているけれど……お父様はまだ国王だという気持ちが強いのか、ボルアネアの法では裁く事は出来ないと仰っていた。


 もうリンデンバーグはなくなるというのに。


 その事実を受け入れられないのね。


 お父様にとって、処刑される事よりも国王ではなくなる事、国がなくなる事が何より堪えるのかもしれない――――


 そしてお姉様がテオ様に縋り付いている。


 私はびっくりして思わずテオ様の手を握りしめてしまったけれど、テオ様が大丈夫と言わんばかりに頷いてくれたので、心が温かくなった。


 いつでも私の不安を察してくれる旦那様。


 テオ様はお姉様に対して、とても厳しい態度を崩さなかった。


  

 「彼女は何も持たずにその身1つで我が国に来た。 自分の侍女の為に命を差し出した事もある……お前たちはそんな彼女を利用した挙句、自身の欲望にまみれ、今度は彼女を攫い、最後まで己の保身に走った。 そんな人間に私の望みを叶えられる、だと?……笑わせるな!!!」

 


 テオ様の言葉に、本当に大事に想ってくれているのが伝わってきて、泣きそうになる。


 ベルンシュタットの地に足を踏み入れた時、私は孤独だった。


 エリーナしかいないのが当たり前で、もうそれでもいいと思っていたのに、テオ様やお城の皆が本当によくしてくれて……もう心の中には何の迷いもない。


 最後に旦那様は私を抱き上げて、皆に見えるように頬にキスをしてくれたのだった。


 嬉しくて涙は引っ込んだけれど恥ずかし過ぎて……私たちの仲を見て、お姉様は倒れてしまう。


 それでもテオ様にばかり任せてしまって終わり、ではいけない。


 私も伝えるべき事を伝えなければ。


 テオ様の腕からおりて、お父様や皆の前に進み出る。



 「お父様、王妃殿下や皆さまも、お元気で。 もう会う事はないかと思いますが、これだけは伝えたくて……私をベルンシュタットにお嫁に出してくださって、ありがとうございました。 それだけは皆に感謝しています。 ベルンシュタットで私、幸せになりますね!」



 そう言って頭を下げた後、ニッコリ笑った。


 皆放心しているようだったけれど、私の心は雲1つない晴天の青空のように清々しさで溢れていた。


 そしてテオ様の方に振り向くと、私をまた抱き上げて優しく微笑んでくれる……これでやっとお別れ出来たのだと、解放感でいっぱいになった。



 「連れて行け」


 「はっ!」



 テオ様が兵にお父様達を連れて行くように指示を出し、皆が連行されて行く姿を見守りながら、心の中でお別れを言う。


 お父様、皆、さようなら――――――


 

 「……大丈夫かい?」


 「はい。 やっと本当の意味でお別れが出来ました。 テオ様もありがとうございます、あんな風に言ってくださって……」


 「あれは私がずっと言いたかった事だからいいんだ……出しゃばり過ぎてしまったかなと思ったんだけど」



 気まずそうに苦笑いするテオ様が可愛らしくて、思わず顔を抱きしめる。

 


 「そんな事はありません。 私ではあそこまで言う事は出来ませんでしたし……それに――――」


 「うん?」


 「私がこれからもずっと旦那様を幸せにしますね!私にしか出来ないと仰ってくださったから……私、頑張ります!」



 私の言葉にテオ様は目を丸くしている。


 でも望みを叶えられるのは私だけなので、頑張らなければ。


 私が拳を握りしめて意気込んでいると、テオ様が噴き出すように笑った。


 

 「ははっ、頑張らなくてもいいんだけど、それは楽しみだ。 じゃあ帰ろうか……私たちの城へ」


 「はい! あ、でもその前に、少し寄りたい場所があって……」


 「?」



 ~・~・~・~



 私は北の塔の近くにある、墓石のところに来ていた。


 お母様は王族であって王族の扱いを受けていなかった事もあり、ずっと幽閉されていた北の塔のすぐ近くに埋葬されていた。


 そこには先にレナルドが立っているのが見え、手を合わせてお母様に挨拶をしている様子だった。



 「レナルド? お母様に挨拶に来てくれていたの?」


 「奥様……旦那様も。 はい、お先にさせてもらっていました。 私にとってもベラトリクス様は特別なお方なのです」


 「レナルドにとっても?」



 「……はい。 私はベラトリクス様に命を救って頂いたのです。 あのお方のおかげで今の私がいる」



 命を救って……まさか…………。



 「奥様の考えている通りです。 当時見習いの王宮騎士だった私は、ベラトリクス様の遠乗りの護衛に入っていました。 そこで何者かに襲われ……他の騎士たちは皆殺されましたが、ベラトリクス様は何とか私を逃がそうとして捕まり、そのまま……私は必死で王宮までたどり着き、陛下に状況を説明して…………ベラトリクス様の捜索にもずっと携わっていました。 あのお方が見付かって、リンデンバーグに潜入した事もあります。 でもその時にはもう……」


 「ベラトリクス様は動けないほど弱っていたのだな」


 「はい。 何としても陛下の元へお連れしたかった……ここまで来るのに長い時間がかかりましたが、ようやく……」



 「……レナルド、ありがとう。 きっとお母様も喜んでいるわ」



 私がそう言うと、レナルドの目から次から次へと涙が溢れてくる。


 ハンカチを持ち合わせていないのでドレスの布を少しちぎって渡してあげた。


 レナルドは少しためらっていたものの、それで顔を拭き、鼻をかんでいる。



 「奥様……奥様にお仕え出来たのもきっと、ベラトリクス様が導いてくださったのだと思います。 旦那様だけじゃ心許ないので、私も庭師としてお側にお仕えしますね」


 「なっ……! それを許可した覚えはないぞ!」


 「陛下が許可を出してくださいました。 国王陛下公認という事で、よろしくお願いします」



 レナルドはテオ様にそう言って、ニッコリ笑っている。


 これは認めざるを得ない状況だわ……陛下も凄いし、レナルドも凄い。



 「ふふっ。 レナルドがいてくれたら、庭の手入れがまた楽しみになるわね。 これからもよろしくね」



 レナルドは万歳をしながら喜び、テオ様は頭を抱えている様子だったけれど、私も陛下も許可を出してしまったから容認するしかなくなってしまったわね。



 「……仕方ないな。 後日ベラトリクス様の墓をベルンシュタットに移そう。 今日はひとまず帰ろうか」


 「「はい!」」



 私とレナルドが同時に返事をして、私たちはその場を後にした――――お母様、今度こそ祖国に還りましょうね――――



こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^

もし続きが気になったり、気に入って下されば、ブクマ、★応援、いいねなど頂けましたら励みになります(*´ω`*)

皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^

もう少し続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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