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プロローグ「DEAD END」

 その瞬間、僕の体には異常に冷たい電撃が走り、血液が波打って僕の体を駆け巡った。

 僕の体なのに僕の体じゃないような気がするのは現実逃避と受けた痛みが想像を絶する筆舌に尽くしがたいものだったからだろう。

 意識が飛びかける。全身から噴き出した汗のにおいは、溶けあい混ざりあい嗅覚を殺していく不快な悪臭の渦の中でも確かに僕の鼻に届いた。

 視界が砂嵐に覆われる。あまりの痛みに転げまわりたいくらいだ。


 彼の歯は確かに僕の右手の小指と薬指とをがっちりと留める。おそらくはいろんなものを食べ過ぎて欠けまくった奥歯は歪な凶器そのものだ。

 肉を削ぎ潰し、彼は僕の生き血を啜る。それにしたって彼の咬筋力は強すぎる。人の力ではなく、猛獣そのものだ。

 小学生くらいの頃にひびの入った経験のある小指の骨がバキバキと折られていく。痛みとともにその先が無くなったのが分かった。


 僕の咆哮。空気が僅かに震える。体中から放出される最後の熱とともに、未だ彼の口の中に閉じ込められている右手を強引に抜き去る。痛みに耐えるため勢いで噛みしめた僕の奥歯が欠けた。薬指は彼の口の中に置き去りだ。指のあった付け根から黒く変色した血液が重量を持ってコンクリートの床に垂れる。


 僕の左腕は決して遊んじゃいなかった。握りしめた鉈は彼の頭に振り下ろされる。生憎僕は左利きだった。


 でも彼は止まらなかった。脳を守る頭骨がうまいこと役目を果たしたのだろう。額から流れ落ちる数本の黒い線が僕の視界にグッと寄って来る。それが何を意味するか、分からない僕ではない。万力のごとく僕の肩を締め上げる二つの両手。彼の口から僕の薬指がポトンと落ちて、開かれた口はそのままに僕の首を噛み潰した。


 これが僕の最期。逃げて逃げて逃げたその先の結末が現時点。情け容赦なく付けられたピリオドに僕は声をあげる。


 でもあがらなかった。声帯はなくなっていた。ガムみたいに咀嚼されている首の一部に僕の声が存在したはずだ。今はただB級スプラッタ映画のような勢いもなく血液の流れ出る空洞と化した。


 死にたくない。がぼがぼと自分の血で溺れながら彼の頭に突き刺さった鉈を取り、無我夢中で振り下ろした。いつしか口の中にあった濃厚な鉄の味も消えて、僕の股の間にズタボロになった彼の頭がごとりと転がる。


 死にたくない。


 大事な仲間がいた。果たさなきゃいけない約束があった。生き延びなければならない理由があった。死んではいけない理由がたくさんあった。


 壁伝いに自分の血をまき散らしながら歩いていく。僕の命はあとどれくらいだろう。どれだけあればあの人と交わした約束が果たせるだろう。打ちっぱなしのコンクリビルの中にわずかに漏れる西日の陽光さえ僕の目を眩ませる。


 まだ動けるかもしれない。最後の力を振り絞って僕は約束を果たしに行こう。


 音を立てて、手のひらを満たすくらいの血液が僕の首から弾けた時、耳鳴りの中で僕は絶望に立ち尽くした。


 あれ、そもそも僕はどこに向かえばいいんだっけ。

お久しぶりです。上野です。始まりました。懲りずにゾンビです。もう書くことないかなと思ってたけどあったから書きます。たぶんすぐ終わります。長くしたくないです。

あのあれ、引きこもり~とか終末世界の~とは関連ないです。あと、みんな日本人名ですけど舞台は謎です。日本じゃないと思います。どこでしょここ。

そんな感じなので短い間だとは思いますがまたまたよろしゅう。

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