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魔法少女転生 〜魔法少女になったのに初陣で死んだ私、異世界で残機5の魔王討伐を開始します〜  作者: 罪木葛士


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最終話 そして、魔法少女は伝説になる

 こうして……私は、私の世界に戻ってきた。

 死んで異世界に行ってた間のことはどうなっているのかと思ったが、どうやら魔獣出没による騒ぎが起こったあと、急に倒れて消滅した魔獣の近くで、気絶した私が転がっていたらしい。そのまま一週間ほど目が覚めないまま眠っていたという扱いなんだけど、その間に私の魂は異世界を冒険していたわけで……寝たきりになっていたのは、モヒちゃんが用意した私のダミーか何かだろうか。起きて一番にお母さんに挨拶したら、ものすごく驚かれたあと、泣きながら抱きしめられた。


「ご、ごめんね、心配かけて……」


 実際には死んでいた挙句、お母さんの預かり知らぬ世界へ行って、そこでも死にまくっていたわけで。こんなに泣かれてしまうと、心から申し訳なくなってしまう。

 一番の親不孝は、親より先に墓へ入ることだと聞いたことがある。もはやモヒちゃんに生き返らせてもらうこともできないし、生命は大事にしなくては。




 街は魔獣騒動で大騒ぎになっていたけど、私が異世界を冒険している間に復興が進み、平和な生活はすでに取り戻されていた。

 学校へ行けば、友達と挨拶をかわし、ニチアサアニメの話で盛り上がる、いつも通りの日々。

 やっぱり平和が一番だ。魔法少女になれたのは嬉しかったけど、もう二度と魔獣のような脅威に晒されるような事件は起こってほしくない。

 そういえば、私のスマホにモヒちゃんが入れた「魔法少女に変身するアプリ」は、いつの間にか消滅していた。変身する必要もないのだから別にいいけれど、ここまで「普通」に戻ってしまうと、やっぱり異世界の冒険は私の夢だったんじゃないか、なんて思ってしまう。


 私の冒険が夢ではなかったという唯一の証拠……と言っていいのかな? 目覚めたときに握りしめていた5枚の金貨は、ネットで調べたところ、単純な純金製というだけで充分な価値を持ってるらしかった。キッチンスケールで重さを計ってみたところ、1枚10グラム。およそ25万円の価値があるらしい。奇しくも異世界の貨幣価値と一緒だった……!


「お年玉50年分は、多すぎるよ……」


 ニチアサアニメの玩具を買い集めたって、金貨1枚でお釣りがくる。そんなに貰っても困っちゃうよね。

 というわけで、私は貰った金貨を、自室の鍵がかかる引き出しの中にしまっておくことにした。何年後か、本当にお金に困ったときに取り出して換金することにしたのだ。

 その時までは、この金貨が唯一の……冒険の、思い出。




 ——の、はずだった。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 私が日常生活に戻って、ちょうど一週間がたったある日の放課後。

 その日も私は、近所のコンビニでおやつにアイスを買って、隣の公園で食べながら、録画していたアニメをスマホで鑑賞していた。


「いやー、まさか新メンバーの正体があの子だったなんてなー……声優も新人さんっぽかったし、展開読めなかったなー」


『相変わらずここでボケっとしているのかモヒ。探す手間が省けたモヒ』


「…………えっ!?!?」


 およそ一週間ぶりに頭の中に響いた声。短い付き合いだったけど、一生この声を忘れることなんてできるはずもない。

 慌てて横に振り向くと、ベンチの上に寝そべっている、白くて丸くて、猫でも犬でもウサギでもない不思議なモフモフが一匹。


「モヒちゃんっ!?!?」


『だから我が名は◯$▢✕※だと言ってるモヒ』


「モヒちゃぁぁぁぁんっ!!」


 私にとっての非日常の扉。思っていたより早く再会できてしまった嬉しさに、私はモヒちゃんに抱きついてしまう。


「モヒちゃんモヒちゃん! わぁー、やっぱ見た目だけは可愛いなーこのこの!」


『落ち着けおいやめろモヒ。やめないとお仕置きするぞモヒ』


「パイポがシューリンガンはマジで痛いのでご勘弁ください……」


 なんだよもー、少しくらいサービスしてくれてもいいじゃない……。

 しぶしぶモヒちゃんから離れると、モヒちゃんはふわふわの毛をピンと立てて身体を震わせる。


『なんにせよ、元気そうで何よりだモヒ。今日はお前に伝えなければならないことがあって来たモヒ』


「伝えなきゃいけないこと……?」


 魔獣が現れただの、魔王がやってきただのそうそう何度も出会うものではないと思っていた。それが……こんなに早くモヒちゃんが私に会いにくるだなんて。

 いったい何があったんだろう。今度は、どんな世界の危機が……!?


「教えて、モヒちゃん! 今度は何があったの!?」


『お前がヤバいモヒ』


「わたしかぁ〜〜〜〜!?!?」


 私がヤバいって、いったいどういうことなのさ!?


『どうやら、お前の魂はもともと神の領域にそうとう近かったようだモヒ。神について知ったことで、魂が概念化しかけているモヒ』


「えっ、えっ!? じゃー私、自分の意思と無関係に神様になっちゃうの!?」


『あと80年も今の生活を続けていたら自動的に神へと変わるモヒ』


「気が長ーーーーいっ!?!?」


 モヒちゃんがわざわざ会いに来て『ヤバい』とか言い出すから、今日明日にでも私は神様になっちゃうのかと思ったよ!

 80年後だったら、私は寿命で死んでる可能性だってある。別に気にしなくてもいいんじゃない?


『お前に伝えたいのはここからだモヒ。お前は完全に神になってはいないものの、魂が近づき過ぎているせいで、変身して魔法少女になると、一つだけ神としての力が使えるようになってしまっているモヒ』


「へっ!? 神の力って……死んだ人を生き返せるみたいな、あれ?」


『あれも神の力だが、今回お前が使えるようになったのは別の力だモヒ』


「違うの? どんな力」


『亜空間に入るための肉体の概念化と再構築……分かりやすく言うと、今のお前は亜空間ピピピピピを自由に渡れるようになっているモヒ』


「えっ……えぇーーーーっ!?!?」


 なんと! 私は魔法少女に変身すれば、いつでも亜空間ピピピピピに入れるらしい!

 いつでもモヒちゃんに会いに行けるのか……いや、でも待てよ?


「ちょっと待ってモヒちゃん、魔法少女に変身するためのアプリ、消えてるんだけど?」


『お前が事態に気づいて勝手にピピピピピに入ってきたら迷惑だから、準備ができるまで消しておいたモヒ。今はもうアプリ入れ直してあるモヒ』


 慌ててスマホのホーム画面を開くと、確かに変身アプリのアイコンが復活している。これを起動すれば、いつでもクリティカル・レイカになれるんだ。


「でも、準備って? 何、亜空間で歓迎会でも開いてくれるの?」


『察しの悪い奴だモヒ。道に迷わずにまっすぐヤーマフ・モートまで行けるルートを構築してやっていたモヒ』


 ヤーマフ・モートの街……?


「えっ……魔法の国に、行けるってこと? コトちゃんに会えるのっ!?」


『亜空間を渡れるということは、死んだり生き返ったりせずに異世界へ行けるということだモヒ。あの小娘は首を長くして待っているはずだモヒ』


 魔王を討伐し終えたら、必ず会いに行くっていう約束。

 もう果たすことができないと思っていた、その小さくて大きな誓いを、まさか果たせるときがくるなんて……!


「もっ、モヒちゃん…………あ゙、あ゙り゙がどゔ〜〜〜〜っ!」


『ああもう、うざいモヒ。泣くな、抱きつくな、さっさと変身しろモヒ』


 ボロボロと溢れる涙を止められないまま、私はスマホのアイコンをタップするのだった……!





「勇気の魔法少女、クリティカル・レイカ!! 約束を果たしに、行ってきます!!」





fin


★☆★☆★魔法少女あとがき★☆★☆★


 以上をもちまして、勇気の魔法少女、クリティカル・レイカの冒険は完結となります。

 こんなへんてこな物語に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!

 皆さまはどのキャラ、どの魔獣が一番お気に入りでしょうか。コメント等で教えていただけると幸いです。


 ではでは、次回作でまたお会いしましょう!

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