まさか、本当に
翌朝。
ドロレス様の中の『誰か』の言葉通り、わたくしは王宮の牢へと移送されました。
「……ランバウム嬢……このようなことになり、誠に遺憾であるとしか申せません。なにか入り用のものがあれば……」
「ありがとうございます。そのお気持ちだけで十分ですわ」
沈痛な面持ちで鉄格子を閉める顔見知りの騎士にお辞儀をし、一人になったわたくしはぐるりと牢の中を見渡しました。
反省室よりも二回りほど狭い牢内には固いベッドと粗末なテーブルと椅子があるだけ。奥の方の仕切りの中にはぽつんと便器があって―――まあ!ここで用を足すのかしら。個室にさえなっていませんのね!―――それでも、ちゃんと掃除されていて悪臭もないのが救いと言えましょうか。
それに、通常罪人が入れられるベリーエ監獄ではなかったのは、わたくしの身分に対する配慮と、最後の恩情だったのかもしれません。
「まさか本当にここへ入れられる日が来るなんて……」
固いベッドを撫で、わたくしはため息をつきました。そこへ腰を下ろし、ぼんやりと天井を眺めます。
今朝わたくしの移送に立ち会ったのは、女騎士であるサンドラ・ヒギンズ様と見覚えのない年配の騎士、そして……なぜか南方にいるはずのヒューバート様でした。
王宮へ向かう馬車の中、思い切って巫女様の容態を訪ねたわたくしに、サンドラ様は泣きそうな顔をして。
「……申し訳ありません。しゅ……囚…人…の…質問に答えることは……」
「そうでしたの。ごめんなさいね、無理なことをお願いして」
俯いて膝の上で手を握りしめる彼女と、無理強いはできず引き下がるしかないわたくしを見てヒューバート様は重々しいため息をつきました。
「グレイソン。巫女様が収容された王立病院の警護はどの班の担当だったか?」
「は……シムズ小隊の第2班ですな。あの声の大きい新人が朝から報告に来ていましたわい。巫女様の意識はまだ戻らず、なれど毒はすでに抜け、お命に別条はないと」
「そうか。それは一安心だな。ヒギンズ、魔獣討伐についての続報は?」
「はい。オレイアス殿下の指揮のもと、ジークハルト様、ランスロット様の活躍で魔獣の群れは9割方を討伐したそうです。ただ、群れを率いていたとみられる大型個体と数頭を取り逃がしてしまったと」
「ではあの神託通り、完全な討伐とはならなかったのですな……」
「数が数だ。いたし方あるまい。それで、部隊とビベカ領への被害は?」
「部隊の消耗は軽微、ビベカ領への被害も最小で抑えられたとのことです」
「それはよかった。これでリディアの涙も少しは抑えられよう」
「……みなさま……」
お三方の気遣いに、わたくしは泣きそうになりました。
ヒューバート様は……そしてサンドラ様とグレイソン様は、わたくしのため……わたくしに聞かせるために、わざわざここで話す必要もない会話をしてくださったのです。そして、遠い配属地にいるはずのヒューバート様がいらっしゃるのは、リディア様が泣いて頼んでくださったからなのだと……。
もうひとつ息をついて、わたくしはぱん!と自分の頬を叩いて気合を入れなおしました。くよくよしていても仕方ありません。まずは現状を把握しなければ。
「第一に、巫女様のご容態……これはあのかたのおっしゃったとおりのようですわね。討伐に関しても、神託通り完全な討伐はならず……と」
それでも、お兄様やランス先輩、オレイアス殿下がご無事なことが確認できて、どれほど嬉しくほっとしたことか!
「……守護精は……やはり駄目ね……」
意識を集中してレガリアを呼び出そうとして……わたくしは肩を落としました。昨日の反省室同様、ここにも守護精の具現化を阻害する魔法具か何かが使われているようです。
「まぁ、当然ですわね。外部と連絡したり脱走しようとされたら困りますもの」
ぼやきながらわたくしはベッドの上で行儀悪く膝を抱えました。
昨夜あのかたは、生徒たちがこぞってわたくしを告発しているとおっしゃいました。わたくしが毒を入れたという目撃者がいる、とも。
そのすべてがあのかたのいう『闇』に操られた生徒だとして……それってどれくらいの信憑性のある話なのかしら。そして、どれくらいの生徒が犠牲に?操られているのはどの程度?その方たちは元へ戻せるの?
お話を伺った時はてっきり誇大妄想狂か……なにか精神的な問題を抱えていらっしゃると思いましたが、実際に操られている方がいらっしゃる以上、あのかたのいうこともあながち妄想だけではないのでしょう。王族として暗示や催眠に耐性があるはずの殿下までが操られているんですもの。
「……あのおばか、お兄様が帰っていらっしゃったらなんて言い訳するつもりなのかしら……」
ドロレス様を婚約者に、なんて寝言ぬかしたら、張り倒しますわよ!?
まあでも、考えようによってはお兄様やランスロット様、オレイアス殿下にお父様までが遠い戦地にいらっしゃったのは僥倖だったと言えるかもしれません。騎士は操りにくいそうですが、デミトリオ殿下に次いでオレイアス殿下まで操られたらたまったものではありません。
「おそらく、今頃はビベカ領までわたくしが捕縛された報告は届いていますわよね。こんな話を聞けばお父様やお兄様はすぐに帰還なさるはず……大丈夫、お父様が戻ればきっとしっかりした調査をなさってわたくしの冤罪を雪いでくださいますわ!ビベカ領から王都まで、3日か4日……わたくしも、それまで頑張らなければ!!」
それに、あのかたと殿下がどんなに生贄を強行しようとしたとて、陛下や王妃様がまっとうな裁判もなくわたくしを死地へ送り出すようなことをなさるはずはありません。
そう自分に言い聞かせ、前向きに頑張ろうと……自らを鼓舞していた、のですが―――。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「すみませんが、そのドレスをお脱ぎください。アリアドネ様」
「まあ!マリナ様!?」
午後も半ばを過ぎた頃、侍女を伴って現れたのは恐ろしく硬い表情をしたマリナ様でした。
「ご心配をおかけしてごめんなさい。巫女様のご容態はいかがですか?リディア様は?冬祭りはどうなりまして?マリナ様も……」
「……よく、そんなことが言えますね……」
思わず鉄格子に縋るようにして話しかけたわたくしを、俯いたマリナ様は震える声で遮って。
「マリ……ナさま……?」
「っ巫女様を!!殺そうとしたくせに!!よくそんなことが言えますね!!しらじらしい!!」
ぶるぶる震える手を握りしめ、そう叫んだのです。
「そんな!マリナ様?わたくしはなにも……」
「だったらなんで巫女様は今も眠ったままなんですか!全部、アリアドネ様が巫女様に毒を盛ったせいでしょう!?」
がしゃん!と激高したマリナ様は鉄格子を殴り付けます。
「もう毒は抜けたっていうけど……熱もないし、呼吸も脈拍も正常だけど……意識だけが戻らない……お医者さんはこれ以上の治療は難しいっていうし……なんでなんですか!?飲んだ量がもう少し多かったら巫女様、死んでたんですよ……?」
「……マリナ……さま……」
呆然と立ち尽くすしかないわたくしの前で、マリナ様は鉄格子を握りしめ肩を震わせます。ややあってどうにか気持ちを落ち着けたらしいマリナ様は顔を上げ、わたくしを睨みつけました。
「……とにかく。そのドレスを脱いで着替えてください。嫉妬に駆られて巫女様暗殺を謀るような極悪人に、伝統ある『赤』を纏わせるわけにはいかないとの、陛下の仰せです」
「陛下の!?」
「ほら、さっさとこれに着替えな!極悪人のお嬢様?」
陛下と聞いてつい息を飲んだわたくしに、マリナ様が連れてきていた侍女(なんと、あのカーラさんでした!)が鉄格子の扉を開け、持っていた服を投げてよこします、
ばさりと床に落ちた服は、薄汚れ、饐えたようなにおいのする粗末な麻の服でした。
「これを……?」
「死刑囚の獄衣さ!巫女姫を暗殺しようとしたあんたにはお似合いだろう!?さっさとしな!それとも、その綺麗なおべべを脱ぎたくないってかい?だったら下男でも呼んで無理にでも引っぺがすしかないけど?」
「いえ、それには及びませんわ」
まあ!なんてお下劣な!!まるで「響け、愛の唄」に出てきた場末の娼婦さんのようですわ!
内心憤慨しながらもわたくしは仕切りの向こう側でどうにか着替えを終えました。生憎、侯爵家の娘でも着替えくらいは自力でできますのよ?
「ふん!お高く留まりやがって。もうすぐ獣に喰われる身のくせして…」
「カーラ!」
黙ってドレスを差し出すと、カーラさんはそれをひったくって毒づきます。そんな彼女を窘め、マリナ様はもう一度わたくしに向き直りました。
「今回の事件では教会も激怒してますから。証人も出揃ってますし、言い逃れはできませんよ。神の怒りを鎮めるため。アリアドネ様を極刑に処するしかないって、陛下もデミトリオ殿下の意見に傾いてます。王妃様だけはいまだに異を唱えてますけどね。……残念です。こんな……エスペランサ家のミリーみたいなことする羽目になるなんて……」
「マリナ様!!でもわたくしは……」
「触らないで!汚らわしい!!」
鉄格子を掴むマリナ様の手を取ろうとしたわたくしの手を、マリナ様は思い切り払いのけます。
「……のちほど、調査官があなたの言い分を確認に来ます。せいぜい、うまい言い訳を考えることですね。………さよなら、アリアドネ様」
「ひひひ、ざまあみろ。さんざんドリーをいたぶった罰さ」
くるりと背を向けそう言うと、マリナ様はわたくしを嘲笑うカーラさんを連れて去っていきました。
「……マリナ様……」
その背中に声をかけることなど、できようはずもなく。
わたくしは打たれて赤くなった手を抱えたまま、ただ見送ることしかできませんでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そうして、数刻後。
マリナ様の言葉通り、司教様を連れ尋問に訪れた調査官とやらはモンテナ伯でございました。
「これはこれは、ランバウム嬢。まさかこんな形でお会いすることになろうとは……」
鉄格子の中、淑女の礼をし、しゃんと背筋を伸ばしてお二人をお迎えしたわたくしに、モンテナ伯はそう言って笑み崩れます。
そう、「笑み崩れる」という言葉がぴったりの、嬉しさを隠せない笑顔。……あまりに不謹慎ではなくて?司教様も眉をひそめておられますわよ?
「お役目ご苦労様でございます。して、巫女様のご容態は?」
「うむ……。まだ意識が戻られぬ」
このさいモンテナ伯は無視して司教様に伺うと、司教様は痛まし気にため息をつきました。
「幸い、命に別状はないとのことだが……このままでは衰弱してしまわれよう。せめて使われた毒が判れば治療のしようもあると言うが……」
「そんな……」
「ああいや、ヴェンナー司教。罪人にあまり情報を漏らすのは感心しませんなぁ。しおらしく装っていても、この娘は内心では暗殺の失敗を悔しがり、次の機会を狙っているのかもしれませんぞ」
「まあ!なんてことを!」
「モンテナ伯、それはいささか穿ちすぎというものであろう。巫女様の収容された王立病院は近衛軍と神兵に護られ、従者殿でさえおひとりでは近付けぬ警護体制だというのに」
「いやいや、判りませんぞ。なにせ、この娘の本性は蛇……蛇とは執念深いものと言いますからなぁ」
囚人服を着たわたくしを上から下まで眺め、モンテナ伯はにやにやと顎を撫でました。
「殿下の不調も、この娘がこっそり毒を盛ったのかもしれませんぞ。私は、常々この娘はそういう大それたことをやりかねぬ娘だと思っていたのです」
「まあ……では殿下はまだ体調が戻られませんの?」
「うむ。そなたが捕えられた後、殿下もまた倒れられ、王宮で寝込んでおられる。こちらも原因不明の病とのことでな……」
「ふん、殿下には我が娘ベアトリスがついておる。ベアトリスの献身できっと殿下も目が覚めようというものよ」
ネチネチうるさい狸親父様はまるっと無視して司祭様だけに話しかけると、モンテナ伯はイラついたように口を挟んできます。
「あら……ドロレス様が看病なさっているのではありませんの?」
昨日のベッタリした様子では、てっきり婚約者気取りで殿下の私室に居座っているかと思いましたのに。……ああでも、あのかたはランスロット様狙いなんでしたわよね。
「ドロレスは、あの子は教会でずっと祈りを捧げておる!最近は大司教猊下の許にも足繁く通っておったからな、巫女様の身を案じ、特別に祈祷を行っていただいておるのだ!なんと心清らかなことか!」
「……此度の事件には大司教様がことのほかお怒りでな……」
なにやら誇らしげに胸を張るモンテナ伯をうっとおしそうに眺め、司教様はため息とともに首を振りました。
「ランバウム嬢、そなたに問いたい。そなたが使用した毒の名は?そなたの私物から発見された毒は使用された毒ではなかった。今ならまだ、改心して巫女様の治療に協力すれば情状酌量の余地もあろう。その毒の名を……」
「残念ですが司教様。それを問いたいのはわたくしの方なのです」
司教様の目をまっすぐに見て、わたくしは訴えました。
「何度でも申し上げますが、わたくしは何もしておりません。巫女様が眩暈を起こされたので、どなたかに水を頼み、渡されたグラスをそのまま巫女様に差し上げただけでございます。何かを入れたなんてとんでもない。神に誓って、わたくしは毒など入れておりません。僭越ながら、巫女様とは仲良くさせていただいていたのですもの。そんな大事なお友達を害するような真似、わたくしは絶対にしておりません」
「ランバウム嬢……」
「ふん!信じられるものか!現に、お前が何かを入れるのを見たという目撃者が3人もいるのだ!」
「そのかたたちは、当時どこにいらっしゃいまして?」
勝ち誇るモンテナ伯にわたくしは冷静に尋ねました。
あの時わたくしの傍にいたのは、王族と生徒会役員、そしてベアトリス様と殿下、ドロレス様を除けばメイド長とカーラさん。警護の騎士候補生は壇のすぐ下にいましたが、それ以外の皆様はドロレス様と殿下を遠巻きにするように、かなり離れていたはず。おまけに、わたくしは斜め後ろにいた巫女様を介抱するためそちらを向きました。すなわち、皆様に背を向けたということ。そんなわたくしの手元を、あんな場所から見咎めた方がいらっしゃったのでしょうか……?
「な……名前など言えるものか!言えば、お前はその者に危害を加える気に……」
「こんなところに捕えられ、外部との接触を一切断たれたわたくしが?弁護者もいないこのわたくしが?」
うっと詰まったモンテナ伯に、わたくしは畳みかけるように伝えました。
「名を言えとはお願いしておりません。ただ、その方たちの立ち位置と、本当にわたくしの手元が見えたのか、わたくしが毒を入れるのを見たのか、をご確認いただきたいのです。調査官を任された以上、それがお役目ですわよね?」
「う……うるさい!この生意気な小娘が!罪人の分際でわしに楯突くとは…」
「おやめなさい。モンテナ伯」
わたくしの言葉が痛いところを突いたのでしょうか。激高し拳を振り上げたモンテナ伯を、司教様が厳しい声で諫めました。
「ランバウム嬢の要求は尤もだ。証言者のいた位置と信憑性を確認しよう。そしてランバウム嬢。……そなたは、本当に潔白だというのだな?神に誓って?」
「はい。神と……亡くなったわたくしの母の名に誓って、潔白ですわ」
きっぱりとそう言ったわたくしをじっと見つめ、司教様は踵を返します。
「ふ……ふん!偉そうにしていられるのも今のうちだ!!せいぜい牢の暮らしを楽しむのだな!!」
こちらに指を突き付け、喚きながらその後を追うモンテナ伯を見送って、わたくしはため息をつきました。
本来調査員とは中立の立場の方が担う役割のはずです。
それがなぜ殿下の婚約者候補という利害関係ありまくりのモンテナ伯が任命されたのか理解に苦しみます。もしかしたら、これもあのかたの差し金なのかしら。
でも……おかげでわかったことがあります。
まず、巫女様の容態は朝グレイソン様から伺ったものと変わりがないこと。これ以上の治療には摂取した毒の解明が必要なこと。
殿下の体調も戻らず―――これは十中八九、あのかたの『闇』とやらと、毒の影響でしょう。その殿下にはベアトリス様が張り付いていて……とはいっても、きっと殿下の寝室にも入れていただいておりませんわね。馬車の一件もありますし、王妃様の目の黒いうちは、ベアトリス様を殿下に近づけないでしょう。
そうして、殿下はいまだあのかたの支配下にあり、教会を味方につけた殿下の主張に陛下も同調せざるを得なくなってきている………。
「………八方ふさがり……かしら……」
もう一つため息をついて、わたくしはベッドに半身を横たえました。
大司教様の許へ足繁く通っていたというドロレス様。
ということは、大司教様はすでに陥落済みと考えていいでしょう。
その大司教様を通じて教会を動かし、世論を動かし、目撃者と証言を捏造してわたくしを陥れた。あの様子ではモンテナ伯が証言の確認をなさるかは怪しいでしょう。となれば、あとは司教様が動いてくださるのと、お父様のご帰還を待つしか………
「……早くお帰りください……お父様……お兄様……ランス様……」
ふっと脳裏をよぎった緑の瞳にぎゅうっと引き絞られるように胸が痛みます。……いやだわ、わたくしったら。こんな弱音を吐くなんて。あのかたは命をかけた戦いを終えたばかりで………なにより、一番に狙われているのはランスロット様だというのに………。
「……あら?」
ぎゅっと目をつぶり胸の痛みに耐えていたわたくしは、ふと首をかしげました。
ここはあのかたの書いた小説の中の世界だと、自分は神にも等しい存在だと、ドロレス様の中の『誰か』はおっしゃいました。
わたくしのせいで筋書きが変わってしまったが、ドロレス様の持つ『闇』を注入することで人を思い通りに操ることができる、とも。
だったら何故……最初から、最終目標であり、最も愛するランスロット様を狙わないのでしょう?
騎士は操りにくいとかおっしゃっていましたが、すべての闇と毒を駆使すれば、ランスロット様の愛を得ることくらいできそうなものなのに………。
「もしや……あの方は言うほど万能ではない………?」
そう、この世界だって。
あの方は自分の書いた小説の世界だとおっしゃっていましたが………もしかしたら、よく似た別世界なのでは?同じ名前、同じ外見の方がいるだけで……あの方の創造の世界だというのは、やはりあのかたの思い込みなのでは………?
そう考えれば考えるほど辻褄が合うようで。
わたくしは少しだけ光明を見出したような気分になりました。
ここがあのかたの世界でないのなら。
巫女様を目覚めさせる方法も、わたくしの身の証を立てる方法も、きっとあるに違いありません!!
「そうよ……お父様がお帰りになったら……まずは、カーラさんの身辺を調査いただいて……それからエリスさんの保護と……証言の信憑性を再確認いただかなければ!」
それまでは、あと4日、なんとしても耐えてみせますわ!!
……意気揚々とこぶしを握るわたくしは気づきませんでした。
自分を創造主だと……神だと豪語するあのかたを、甘く見ていたことに。
物語には、その本筋を自己修復しようとする………いわば、強制力のようなものがあることに。
そうしてわずか2日後。
わたくしはその事実を思い知らされることとなったのです。
お読みいただきありがとうございます。
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