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そのスキル危険につき〜第一騎士団公安部始動〜  作者: 風雅みずいろ


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17/17

17)想像だにしなかった場所へ

翌朝早朝に馬車は宿を後にした。


しばらくすると馬車が急停車した。

それにあわせてマノンたちの乗った馬車も止まった。

大荷物で王都に向かっている情報が伝わったのだろう。

どうやら盗賊団が現れたようだ。


馬車は10人ほどの覆面をした男たちに囲まれている。

元輝、水瀬を含めた騎士団が対応すれば余裕の盗賊団だ。

しかし、今回の目的は別にある。

俺たちの素性がバレたら水の泡だ。


馬車を護衛しているものたちと共に、元輝、水瀬も外に出る。

ベッカー、ノクス、マノンと他の騎士団のものも外に出た。

教会からの護衛のものも10人いる。


護衛が盗賊団と戦い始めると、騎士団のものたちは木の陰にかくれながら、ベッカーは気づかれないようにウィンドソアとつぶやき、盗賊団の剣を飛ばすなど援護している。

「あー、めんどくさい。瞬殺できるのに」

マノンはいらついているが、ノクスが「マノン落ち着いて」と耳元で囁いている。


護衛が押され気味だと知輝も

「メモリーファング」と陰から支援している。

やがて盗賊団が壊滅しそうなとき水瀬が縄で捕獲し始めた。


「水瀬さん助かります」護衛団に感謝されながらサクサク仕事をする水瀬が元輝に合図した。

「手伝いますよ水瀬さん」と言って盗賊団の1人に後ろから触れた。


「いま護衛の1人がいちばん近い交番に行っています。交番のシステム便利ですよね」

「そうですよね。誰が作ったんでしょうね?」

「領主様直属の方らしいですが素晴らしいですね」

元輝が調子にのってるので

「小早川さん縛るの手伝ってくださいよ〜」とつっこんできた。


やがて交番に盗賊団を引渡し、再度出発した。

「小早川さん大丈夫だった?」

水瀬は記憶のことを聞きたいんだろうけど、さすがにそれはやばい。

「けっこうこの辺で暴れてる盗賊団なのかな?全員捕まえられてよかったな」

「そうだな。さすが護衛の人たちは強いね」


俺は水瀬が大人の対応をできているのが嬉しくてグッドポーズを連発した。


さてさて、その後は何事もなく王都に着いた。

俺たちは神殿に荷物を運びこみ、神殿で働く修道士の部屋で休息を取ることとなった。


質素なテーブルにパンとスープが運ばれ、飲み物は水だけだ。

「神殿の割には質素だな」水瀬はちょっと不満そうだ。

「人数多いからこんなもんじゃないのか?」

食事後、神殿でのお祈りは自由とのことで早速行ってみた。


俺と水瀬は神殿の内装に驚いた。

豪華な神殿、高い天井、煌めく飾り付けが日本風なのだ。

大きな祭壇の上のステンドグラスのモチーフは桜の花と藤の花だ。


高い天井から長く垂れ下がるタペストリーには見事なハスの花が描かれている。


祭壇の両脇を飾る大きな桜の花、そしてそれを活けてあるのは和テイストの大きな壺だ。

大きすぎて気づかなかったが、祭壇の後ろにあるのは藤の花が描かれた大きな屏風だった。

そして教会といえば十字架の場所には、仏のような巨大な像が金色に輝いている。


「水瀬これって」

「ああ、寺が西洋風になったような神殿だな。それにしてもなんて美しい造りなんだろう」

「こんな見事なハスの絵みたことないな。職人が日本からの召喚者とかか?」

「そうかも知れないが、勝手に自分の感覚で作ったらまずいだろ。仏像もあるし」

「でも普通教会は西洋風が普通だろ?あ、提灯みたいな飾りもところどころに」


そこに神社で見たことのあるような巫女風の女性が現れた。

「司祭様がお会いになられるようです」

「やっとだな、待ってたぞ」

「ではこちらへ」


奥の部屋に行って元輝と水瀬はさらに驚いた。

「茶室?」

平安時代風な衣装をうまく中世風にデザインした衣をきた司祭が現れて大きな掛軸の前の席についた。

顔つきは西洋人だが、小顔のせいか和風が似合う司祭だ。

髪が銀髪のせいでもあろうか。


本当の茶室はかがまないと入れないような狭い作りだが、ここはゆったりした作りだ。

椅子とテーブルだけが西洋的なゴージャスなものだ。

カコーン、カコーン

ししおどしの音が聞こえる。

俺はその音に耳を澄まして聞き入っていた。


「お庭が気になりますか?窓をあけてもかまいませんよ」

水瀬が障子をあけると竹林と和風の庭が見えた。

「へえええ」なんといっていいか困っている水瀬だった。


俺は意を決して口を開いた。

「それより、召喚門は正教の管轄と聞いたんだがそうなのか?」

「はい。正教には唯一無二なる召喚士様がいらっしゃり、召喚の門を開くことができます」

「召喚士はどんな人なんだ?」元輝は質問した。

「召喚士様はあなたたちと同じ国からいらした方と聞いております」

「えっ、召喚士も召喚されてるのか?」

「いいえ、長い間召喚士様不在で、召喚の門は閉じておりました。

しかし2年前の激しい嵐の日に激しい雷ととも召喚の門が突然開き、召喚士様が降臨されたのです」


「召喚士は勝手に現れたのか?」水瀬は意外な顔をした。

「はい。正教の伝えにも記載されておりますが、召喚士様だけは正教が崇めるヌーマイト神様が召喚されております」

「あっ、ヌーマイト神って教会の金色の?」

「素晴らしいでしょう。ヌーマイト神様に祈りを捧げれば心が洗われていきます」


水瀬はちょっと怖い顔をして

「そんなすばらしい神に支えているのに、召喚されたものを奴隷扱いしたりはおかしいんじゃないか?」


司祭は顔色も変えず答えた。

「わたくしどもではそのような事実を把握しておりません。どうしてそう思われたんですか?」

「俺はミスリル鉱山で働かされていたんだよ」水瀬が怒りをぶつけた。

「水瀬様が?」

「俺は最初スキル調査を拒んだんだ。そうしたら鉱山送りさ」

「水瀬さんは召喚者である記載もされずにいたんだ。そんな不条理な事実は正さないといけないだろう」

「できたら騎士団と連携して調べてほしい」

「わかりました。報告書を作らせますので、しばらくは修道士とともに暮らしていただけますでしょうか」


しぶしぶ水瀬が頷いた。

「酒場に行きたいんだけどいいか?俺たちはまだ信仰を決めたわけではないし」

「お止めしても無理そうですね。必ず就寝時間までにはお帰りくださいね」

水瀬グッジョブと心で叫んだ。


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