第二十二話 好意と好奇と敵視
喫茶店でお茶
って普通は仲がいい…つまり会話が弾む人としてこそ楽しいものですよね?
まぁここは喫茶店じゃなくてごく普通の教室ですけど。
「杏、お前アイスティーでいいよな?」
コクコク。息が完璧にあがってしまった私は頷くのが精一杯だ。
全力で競歩をして戻ってきたのはアイツのクラスのたこ焼き屋。
教室の半分がお客様用席。もう半分が調理場&クラスメイトの休憩スペース。
その休憩スペースの椅子に机を一つ挟んで座る私と水嶋恭介。
…ちょっと居づらい。当たり前だけど知らない人ばかりだし。
「暑っ。今日天気良すぎ」
そう言いながら一気にコーヒーを飲み干した。
私もそろそろ息も整ってきたので、目の前に置かれたアイスティーに手を伸ばす。
渇いた喉に水が流れ込む。ふぅ。落ち着いた。
…さてと。
「一体何なのよ?私競歩しに来たわけじゃないんだけど」
まずは嫌味をたっぷり込めて言ってやった。
「だからあの場所に居たら声掛けられるって。先輩方に気ぃ使うのも疲れんの」
そこはわかる。外見だけは人並み以上だし。
それにハーフってだけで寄って来る人もいるみだいだしね。
「で、私の壁が役に立たないって?冗談じゃないわよ。勝手に人を壁呼ばわりして」
こっちだってなりたくてなるわけじゃないのよっ!!
「役にっつーか…そこは問題なかったけどな。問題は副作用。好意と好奇と敵視の目線。さすがにキツイわ」
好意と好奇と敵視?
…だめだ。意味わかんない。
「あー。お前その顔わかってないだろうな」
失礼な!!…その通りだけど!
まぁいいや。二人で外出たいわけじゃないし。ここで座ってる方が楽だし。
「…招待券と交換条件なんてあんたもセコイよね」
この場合、意味はなくしちゃったけど。
「簡単に渡したら面白くないだろ?」
どっちにしたって面白くないんですけど!!
「…あんた絶対一人っ子でしょ?」
「残念。妹がいます」
勝ち誇ったような顔をするアイツ。
別にこっちは負けたなんて1ミクロンも思ってないんですけどね。
…でもなんかムカツク。




