第二十話 壁の役割
ちょっと…いや、かなり忘れてたけど
今私の隣にいる人は容姿端麗なヤツだった。
容姿だけね!ここは勘違いしないで下さい。
「じゃあ私達二人で回るからっ♪」
語尾に♪がつくぐらい楽しそうな沙希が度々爆弾投下したのは数分前。
はい。ここから回想シーン入ります。
「…えと、彰くんの店当番は?」
最もな疑問だ。そのために私は来たようなものだし。
「俺なら昨日終わったよ?」
え…?二人して爆弾投下しないでよ。
って、えぇぇぇ!?
「じゃあ私は!?意味もなく拉致られたわけ!?」
「ごめん。私もさっき聞いたのよ」
沙希さん!!そういう連絡事項は忘れないでよっ!!
はいカット。
…というわけで私の隣にいるのは水嶋恭介一人なのです。
何でやねん!!ツッコミ要員希望!!灘波慶を希望しますっっ!!
…って取り乱してもしょうがない。
一旦落ち着こう。深呼吸だ。
「まぁしょうがないな。あいつらも二人で回りたいだろうし」
…わかりますよ。えぇ。わかりますとも私だって。
なら私を呼ぶなよ!…ってなもんで。今さら遅い。遅すぎるけど。
それと私にはさっきからわからないことがもう一つ。
「…ねぇ水嶋恭介。"壁"って何よ?」
場合によっちゃあ放棄だ。食い逃げ上等!
「ん?簡単なこと。俺の隣に立っててくれればいいから」
え?それだけ??
「とりあえずはぐれない。わざと離れない。これが条件」
…何だ。意外とあっけない。隣りにずっといるのは考え物だけど
とりあえず一安心。"壁"なんてネーミングつけるなよ。
「さっそく役割果たしてもらって助かってマス」
ん?役割?まぁ確かに隣に立ってるけど…
「…お前もしかして鈍い?あのイタ〜イ視線に気付かない?」
そういえばさっきから見られてるような…
振り返って後悔。見渡してさらに後悔。
私はその時に悟った。
"壁"は壁でも、迷惑女対策の"防壁"。だと。




