↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/25

第24話 禁呪はどこから


 ローダン様に休日を合わせてもらい、今日は二人でカフェの個室でお茶会をしています。

 ここはチーズケーキが美味しいと有名なお店です。


 丸テーブルの上に、水色のお皿に乗せられたチーズケーキが鎮座しています。

 とてもシンプルなシルエットです。これは素材で勝負しているケーキですね。


「マリーは、あれから何ともない?」


 ローダン様が心配そうに尋ねてきました。


「はい。すっかり元気です」


 私は笑顔で答えました。しっかり休ませていただいたので、とても調子はいいです。


「アスターからは何も突っかかったりされてないかい?」

「それも大丈夫ですわ。言葉でビンタをしておきましたから」


 私の答えに、ローダン様は少し驚いた顔をしましたが、楽しそうに笑いました。

 婚約者にただ黙って付き従うマリーローズはもう必要ないのですから。


「ところで、禁呪のほうはどうなっているのですか?」


 私が少し声を潜めて尋ねると、ローダン様はため息をつきながら首を横に振りました。


「進展はなし。スラウは天が本を与えてくださった、としか言わない。部屋を捜索したものの、肝心の禁呪について書かれた本は見つからなかったそうだ」

「天から、本が?」


 どういうことでしょう? そんな御伽噺のようなことがあり得るのでしょうか。


 疑っているのは、ローダン様も同じのようです。いえ、捜査している誰もが思ったことかと。


「彼の実家に賊が入った形跡はないし、家族も使用人も、彼は部屋に入れなかったらしい。元々魔法の研究に熱心だったから、何か気になることを研究しているだけだと思っていたみたい。まさか禁呪の研究をしているなんて思ってもいなかったそうだよ」


 つまり、禁呪に関してはスラウ様の独断専行だった、ということですか。

 だとしても、それは許されるものではありません。


「家の取り潰しは何とか免れたけど、サーペンティン伯爵は騎士団で降格処分、家も伯爵家から男爵家へ家格を下げられた」

「随分とお優しい判断ですわね」


 てっきりお家取り潰しになってもおかしくないと思っていました。

 だって、家の者が禁忌とされている禁呪に手を出したんですもの。よく他の貴族が納得しましたね。


 ローダン様はティーカップを手に取りました。


「サーペンティン伯爵自身はとても優秀な御仁だ。国王陛下としても手放すのは惜しいんだと思うよ。まあ、その後はどうなるかわからないけどね」


 素っ気なく言って、口元へティーカップを運びます。


 確かに、サーペンティン伯爵自身は素晴らしいお方です。ですが、サーペンティン家の跡取りはスラウ様一人。

 養子を貰う以外にサーペンティン家が生き残る方法はありません。

 没落した家に養子へ入る者がいるかどうか。


 まあ、それは私の与り知らぬところですわね。

 私もティーカップを口に運びました。ベルガモットの香りが鼻を抜けます。


「春休みになったら、カトレア妃からお茶会の招待状が行くだろうから、ぜひ参加してね。もう殿下もカトレア妃もキミに会いたくて大変なんだよ」


 ローダン様はどこか疲れた様子です。


「残りの後期の間は勉強があるからお茶会を思い止まるよう、メイドのみんなと説得しておいたから」


 アリーシャさんたちにまで手を煩わせていたとは、申し訳ありませんわ。


「お心遣い感謝いたします」

「キミのためならこのくらいどうってことないよ」


 ローダン様はちょっと楽しそうでした。柔らかな笑みを向けてくれます。

 この方の隣にいることが出来るようになって本当に良かったです。


「学生の間は、たくさんの思い出を作るんだよ。三年間しかないんだから。その間でしか出来ないことがたくさんある」

「はい」


 ローダン様の優しい声に、自然と笑みが浮かびました。


 来年度からは生徒会入りです。今よりも頑張らねばなりませんね。


 でも、今の私には味方がたくさんいます。皆さんの力を借りれば、きっと大丈夫です。


お読みいただきありがとうございます。

面白かった方はぜひ、リアクションや★で評価をお願いします。

頂けると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。