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すれ違いセラミックス9

すれ違いセラミックス9


(祐人)


俺が隼人と同居を始めてもう1年経つ。


1年でいろいろあったな。


同居を始めたのが7月の終わり、1ヶ月後の8月の終わりの花火の日、俺は隼人のことが好きだと気付いた。


それから数ヶ月、12月の半ばに、隼人に告白、そしてフラれる。

だけどクリスマスには、一緒にケーキを食べて、

ばななの里でイルミネーションデートをした。

初めて手を繋いだ。

隼人の誕生日を一緒に過ごした。


あとは、今年の3月の終わりごろだったか、前の職場の暴力男に、隼人が殴られて怪我をさせられた。


5月の俺の誕生日には隼人が俺のためにいろんなことをしてくれた。

一緒に陶芸体験で茶碗を作った。

一緒に海と夕陽を見ながら美味いディナーをたべた。

家でケーキも食べた。


それから、

つい、先週。


隼人に、好きだと言ってもらえた。


長いすれ違いが終わって、俺たちの気持ちが繋がった。




「おじゃまーんぼっと、祐人ー、隼人ー、俺が来たぞー」


「おー真太相変わらず家族にハブられてんなー」


「去年の今頃だったよな、隼人に電話したら祐人がでてさー、んで飲んだの、あんときも嫁と子供が嫁の実家泊まりでいくからーって」


「だなー。あっという間に1年だわ」



我が家のようにずかずかと入ってきて

テーブル横に座る真太。


「っしゃ飲も飲も!」


3人で軽く缶をぶつけて乾杯する。


「圭は彼女と上手くいってんだなー、全然来ねぇもんな」


「だなー、いいことじゃん」


つまみをつまみながら缶を煽る。


隼人には言っていいと言われているのでタイミングがあれば言おうと思ってる。


隼人は、なんだかんだで真太も自分たちのことを気にかけてくれてたから、らしい。



「でー、祐人と隼人はどうなん?」


きたっ!



「それ聞く?聞いちゃうかー」


やばいにやけてしまう。


隼人をちらっと見ると涼しい顔で柿ピーをつまんでいた。



「え?まじで?」


「まだなんも言ってねぇよ」


「いやわかりやすいにもほどがあんだろ。よかったな祐人」


「おう。さんきゅ」



真太はおめでとと言って缶をこちらにやったので、カツンとぶつけてまた乾杯した。



「てかまぁ隼人と祐人って既に夫婦感すごかったしな。時間の問題だとは思ってたけどな。よかったよかった。」


「隼人落とすのに苦労したわー、告ったの12月だからなー」


「ははっ、長かったな。」


隼人はもくもくと柿ピーのピーナッツを拾って食べている。


「安心してここに飲みに来れるわ」


「いや意味わかんねー自粛しろよ。気いつかえ」


「真太、お前が持ってきたこれ食べていい?」


隼人が真太が持ってきた袋からイカの形のせんべいの袋をつまんでだした。


「隼人はマイペースが過ぎない?」


「腹減ってんだもん」


「可愛いだろ?」


「隼人は祐人のどこが好きなん」


「飯美味いとこ顔。以上」


「うける、それ祐人じゃなくてもいけそう」






いつも通り真太は、泊まってくとごねたが、

俺らは同じ布団で寝るからもうひとつの布団使っていいぞ、と言ったら

さすがに友達の性事情は気まずいかぁ、と頭を抱えて、大人しく帰って行った。



真太が玄関から出ていくのを見送って、ドアの鍵を閉めてリビングに戻る。


「祐人ー、適当に片付けとくから先風呂してくる?」


「いいよ、隼人先入り、俺やる」


ローテーブルの上のごみを集めている隼人のうしろにピトとくっつく。


「あちぃって、風呂まだだし汗くせえからやめろ」


「んー…」


やめろ、といいつつ隼人は、ん、といって向きを変えて、ハグしてくれた。



「俺汗くさくね?大丈夫?」


「隼人はくさくねーよ」


「あっそ」


隼人の肩にぐりぐりと頭をおしつける。


「なんだよ、風呂は」


「んー…飯と顔以外はねーの?」


「は?」


「俺の好きなとこー」


「あー…さっきの…」


隼人は少し黙ったあと、俺の頭をポンポンと撫でた。


「わざわざ言わねー。…けど、真太が、祐人以外にもいそうって言ったけど、祐人以外いねーことだけは確かだな」


嬉しすぎて、ふひひっと変な声が出た


「ふひっ、へへっ」


「きもい、はよ風呂入れ」


べりっと突き放された。


「へへっ、いいって俺やるから隼人いってき」






2人とも風呂を済ませて、片付けや歯磨きもおえて、

布団に寝転ぶ。


俺のシングルの布団は布団かけにかけっぱなしだ。


隼人のダブルの布団で一緒に寝てる。



「なー祐人」


「んー?」


「俺が可愛いってどういうこと?俺って可愛いの?」


「隼人は可愛いねぇ。」


「なんかさー、今日仕事の昼休憩の時にさー……」



………………




「なんか、田口さん最近…なんていうか、語彙力ないので、気分悪くしたらごめんなさい、いい事のつもりでいうんですけど…最近、なんか可愛くなりましたよね」



「可愛く…?」



「なんていうか、うーん…恋してるみたいな可愛さ?っていうんですかね、語彙力なくてすみません」



………………



「……ってことがあって。俺可愛くなった?なんか変わった?」



「いや隼人はずっと可愛いわ。ってか、え?仕事場に隼人のこと可愛いって言う人いんの?やべーじゃん。俺の隼人なのに…」


「何言ってんだ」


「えー、俺隼人の職場に就職しようかな」


「おーしろしろ」



「でも大手じゃん……俺らの高校就職率高い上に専門科で地元だから隼人でも高卒で入れたけど」


「隼人でもってなんだ失礼だな」


「いやまじでいつまでもバイトじゃダメだってわかってんだけどな、もっとちゃんと稼がないとって。今の時間帯生活スタイルが丁度よすぎてなー…」


「別に俺金困ってねーし、今のままでもいいよ」


「でもこのままじゃ隼人の親に挨拶もできねーって…」


「なんだよ親に挨拶って。あ、てか俺の盆休み、休み取れた?」



「あー、言ってある言ってある。たぶん12の土曜の夜勤休みくれるはずだから、11の仕事終わってから11、12、13だったら行ける」


「おーよかった。親にも言っとくわ」



親に挨拶とか言ったけど

実際俺らの関係って、親に言うべきなのかどうなんだろう


俺は親とほぼ連絡取ってない。

離婚して子供を連れて実家に出戻ってきた姉貴とその子供のことで手一杯。

俺のことは大して気にしてない。


実際連絡も来ない。


わざわざ男と付き合ってます。なんて連絡するのも変だと思う。


なにかのきっかけがあれば言うのも考えるかもしれないけど。


隼人の方はどうなんだろう。


親と割と仲良くて、毎年盆と年末年始の休みには会いに行ってるわけで。



「隼人はさ、親に俺達のこと言うとか、考えてる?」


「んー……祐人が言いたくないなら、言わなくていいと思うし、祐人が言いたいなら、言えばいいと思う。俺の親は…どうかな、正直、どんな反応されるかはまったく未知だけど、縁切られるとかそういうことは無いと思う。たぶん。住んでるところも遠いし、それでもう来るな、って言われたら、もう行かないだけのことって思ってる。親と祐人どっちが大事とかそういうことじゃなくてさ、今現在の生活で、祐人と生活してるわけで、俺は普通に生活してるだけで祐人が必要で……なんかなに言いたいかよくわかんなくなってきたな」



「ははっ、なんか真剣に考えてくれてるのはわかった。さんきゅーな。俺は、自分の親にはなにかよっぽどのきっかけがない限り言う気はない、っていうか、連絡とってないからさ、突然連絡して男と付き合ってますって言ったとこでどうなる?って感じ。隼人が、今の話してくれた考えているなら、俺は隼人の親には話したいかなって少し思った。もし隼人の両親とじいちゃんばあちゃんが、俺達のこと受け入れてくれたなら、俺たち一緒にこれからも盆正月は岐阜に行けるし、俺は、話で聞いてるだけだけど、隼人の家族、なんかあったかい感じがして好きなんだよな。」


「じゃあ来月帰った時に言うかー」


「いやわりと軽く言ってくれるね、はは…いやでもさ、さっきも言ったけど俺コンビニのバイトなんだよね…それがちょっとなんか…」


「問題なくね?俺女じゃねーし。ちゃんと養います!みたいなのなくていいんだからさ。」


「それはそうなんだけどな、なんかやっぱ…かっこがつかねぇし」


「祐人にかっこよさなんて求めてねぇよ」


「それはどう受け取ればいいの。ポジティブに受け取る?」


「そのままでいいって。俺らは俺らじゃん。」



俺らは俺らじゃん。


なんかささる。


隼人のが何倍もかっけぇじゃん。



「そんなこと言えるならなんでもっと早く俺の事好きだって認めなかったかな…潔いいのか悪いのか…」


「それは言うな。」





。。。。。。。





(祐人)


今日は10日、木曜日。

明日仕事終わって帰ってきたら、岐阜に向かう。


明日帰ってきたらなるべくはやくでかけられるように、今日荷物をまとめておく。


夕飯や片付け、風呂や洗濯、やることを一通り終えてから、支度を始めた。


背中合わせで座って、

お互いスポーツバッグに着替えをしまいながら

隼人と明日からのことを話す。




「せっかく岐阜行くならなんかどっか遊び行く?」


「盆だからどこも激混みじゃね?」


「だよなぁ…」


「別に岐阜なんてそんな遠くねぇし、今回行く時じゃなくてさ、普通の土日に遊びに行ってもいいじゃん?」


「たしかに。」


「のんびりしよーぜ」


「…俺らのことは、どのタイミングで言うつもりなん?ついてわりとすぐ?帰り際?」


「初日はもう夜だし、次の日に言うかなー」


「ん、わかった。」


「祐人緊張してんの」


「そりゃあね」


隼人の家族だ。


もし受け入れてもらえなければ…


それは…


俺が隼人の家族を壊すようなものだ。



かなりビビってるのをバレないように、すでにちゃんとしまわれている服をしまってるフリしてギュウギュウと上から押す。



「おっ?」


隼人の背中が、ぐぅぅうつと押すように背中にもたれかかってきた。


「大丈夫だと思ってるよ、俺は。わかんねーけどさ。」



…俺らは俺らじゃん…


だよな。


受け入れてもらえたら、すごく幸せなことで


もしも、そうじゃなくても、俺らは、俺ら。




「…だな。」













次の日、仕事から帰宅して、先に帰ってきていた隼人と一緒に、荷物を車に詰んだ。


渋滞にハマるのは嫌だが、荷物のことを考えるとやっぱり車が楽だ。

また隼人のばあちゃんがあれこれ帰りに持たせてくれた場合のことも考えて。


ちなみにこの前の休みに、手土産のお菓子を買っておいた。


忘れず車に乗せた。


隼人も忘れずに助手席にのせた。



「んじゃ出発〜」


「おー」





コンビニで買っておいたおにぎりが今日の夕飯。



「祐人、おにぎり食う?」


「おー」


助手席の隼人が袋をあさって、俺が選んだ明太子おにぎりを出して、フィルムを剥いて手渡してくれる。



隼人は、俺も食お


といって自分の分のおにぎりもフィルムを剥いた。



「高速渋滞してるってでてるわ。2時間くらいかかるかもなー」


「まじかー盆だもんな」


「9時くらいになるかもしれんけど、じーちゃんばーちゃん寝ちゃってっかな」


「田舎は寝んのはえーからなぁ…一応連絡しとく」


「おー」




隼人はマメに、お茶は?とか聞いてくれて

キャップをあけて渡してくれる。


妻じゃん。



「隼人、まだたぶん1時間はかかると思うから、寝てていいからな」


で俺も旦那じゃん


「んー、大丈夫」


大丈夫、といいつつ、少しだけ座席を倒した隼人が、エアコンの吹き出し口を隼人に当たらないよう上に向けた。


「寒いか?」


すぐにエアコンの強さを1に下げた。


「ん、少し冷えてきた」


助手席のうしろに置いたケースに小さいブランケットを常備してある。


手を伸ばしてそれを引っ張り出して、


隼人にのせる。



「風邪ひいたらまずいからな」


「スパダリじゃん、ははっ」


「イケメンだろ」



時々なにかを話しながらも、徐々に反応が、んー…になって行き、

目的地に着く頃には隼人は眠っていた。



昨日の夜いやな夢を見たらしく、あまり寝れなかったと朝言っていたから、眠かったのかもしれない。



目的地に着いた。

隼人に写真見せてもらってたからたぶんここで間違いないと思うけど…


とりあえずここのカーポートに停めていいっていってたよな。



車を停めていると、玄関の外、ドア前の電気がついた。

センサー式の電気なのだろう。


ドアが開いて人が出てきた。


暗くてみにくいけど、たぶん隼人のかあさんだな。


中学の頃は何度か隼人の家に行っていたし、高校の頃も行事とかで見てる。



車の音で気付いてでてきてくれたのだろう。



。。。。。。。。。。。



バンッ…



「ん…」



「…くきたねー、…やとは?…らあら、…さしぶり…」


「荷物先に降ろ…」



なんか声が聞こえる

あれ?もう着いた?



運転席に祐人がいない。


外、車の後ろの方をみると、玄関に母さんと祐人が立ってた。



祐人がこっちに歩いてくる。


祐人が後ろのドアをあけると、車の中の電気が着く。


「お、隼人起きたか。着いたぞ」


「おー…何時?」


「9時前」




一緒に荷物を持って玄関に行く。



「おかえり隼人」


「ん、ただいま。ばーちゃんたちは?」


「まだ起きとるよ。けどいつも遅くても10時には布団に入っとるもんで、挨拶だけしたら寝かせてあげて」


「んーわかった」





居間に入ると、じいちゃんばぁちゃんがソファーに座っていて、

父さんは床の座布団の上に座って、みんなでテレビを見ていた。



「お邪魔します」

「ただいま」



そういつうと、すぐにばあちゃんが立ち上がった


「あー、よぉきたねぇ、よぉきた。混んどったかん?」


「ちょっと渋滞してましたね、2時間くらいで着きました」


「ほーかほーか、よぉきたな、まぁ座りゃーの」


ばあちゃんが座布団を2枚持ってきた。


祐人と一緒にそこに座る。


「ばぁちゃんたちまぁ寝るだら?」



ばあちゃんと話してるとすぐに自分もばあちゃん言葉になっちゃう謎。


「まんだ寝んよ、大丈夫。お風呂すぐ入れるようになっとるでな」


「ん、ありがと」


祐人が俺をツイツイとつついてきた。


「ん?」


「これ渡していいか?」


小声で聞いてきた。


「ああ、うん」


祐人が持ってきた紙袋から中のお菓子の箱を取り出すと、

ばあちゃんに渡した。


「あのこれ、」


「あーあー、まぁぁあ、こんなええものを、ありがとう、おおきに、おおきにね。」


「こちらこそ、お正月にすごいいろいろ頂いたので」


「えーーえてええて、また米も持って帰りゃーね、男の子二人だもんでよーけ食べるだらーに、帰る前に桃も買ったるでな、持ってきゃーよ、隼人桃好きだったえら?」


「好き好き、果物で一番好き。でも自分で剥いて食べれんでここで食べてくわ」


「まぁーたあんたそんなこといってぇ」


「祐人桃剥ける?」


「やったことないな…」


「まぁええわ、とりあえず風呂入って今日は寝やーの」


「そーするわー」




祐人に風呂の場所を案内して、祐人を先に風呂にいれる。


居間に戻る。


「隼人、あんた荷物部屋に持ってっときゃーの。まぁ布団は敷いてあるもんで。ほんでエアコンもつけやーよ」


「んーわかった」


スポーツバッグ2つと、ボディーバッグ2つを、俺たちが寝る離れの部屋に運んぶ。


暑っ…


壁についてるエアコンのリモコンのボタンを押して冷房をつける。


スポーツバッグの中からスマホの充電器をとりだして、コンセントにつなぐ。


ボディバッグの中からスマホを出して繋いでおく。


祐人のも充電しとこ。








祐人と交代で風呂に入る。

祐人1人にしたら可哀想だから、なるべく早く済ませて、居間に戻ると、じいちゃんばあちゃんは居間に居なかった。

もう寝たかな。


母さんと父さん、祐人が冬はコタツになるテーブルを囲んで座布団に座ってテレビをまだみていた。




「母さんたちまだ寝ないん?」


「んーまぁ寝よかな」


「俺らももう寝るわ」


「ん、また明日ね、おやすみ。おやすみね祐人くんも」


「はい、おやすみなさい」





いつもは母さんと父さんが寝ている、母屋から渡り廊下を歩いていった方の離れで、俺と祐人が寝る。


俺たちがいる間は父さんと母さんは母屋の2階で寝る。

じいちゃんとばあちゃんはいつも母屋1階の部屋だ。




渡り廊下を歩きながら祐人がきょろきょろと窓の外を眺める


「ここ広いな、びびったわ」


「なんかここの土地がじいちゃんの親がどうたらこうたらとかなんか昔聞いたけど忘れた。てかさ、祐人が敬語でめっちゃかしこまってんのうける」


「そりゃかしこまるだろ。てかばぁちゃんかすごいばぁちゃんでいいな。みんな仲良くてさ」




。。。。。。



(祐人)


「そりゃかしこまるだろ。てかばぁちゃんかすごいばぁちゃんでいいな。みんな仲良くてさ…」



壊したらどうしよう…




隼人がダークブラウンの、木!って感じのドアを開ける。

暗い部屋の中にシングルの布団が2枚敷いてあった。

小さめのテレビが1台置いてあるだけの、寝室!って感じの部屋。



布団を敷いてくれたときにエアコンもつけてくれていたのか、部屋の中は涼しい。


隼人は壁に着いている電気のスイッチをおして明かりをつけると、右側の布団にごろんと大の字に横になった。


隼人は左を向いて寝る癖がある。付き合う前は隼人は左側に寝ていて、俺はいつも背中を眺めていたけど、

付き合ってから隼人は右側に寝るようになった。



家の電気はリモコンで電気の大きさを変えるが、ここは紐がぶら下がってる。


隼人が寝転んだま片足をうーんとのばして紐を足の指で掴もうとしている。


いや無理だろ。


「無理だ、祐人、電気こだまにして。」


隼人がバタンと足を下ろした


「そらそうや。」


紐を2回引っ張ると、外側の蛍光灯が切れて、もう一度引っ張ると、内側の蛍光灯が切れて、豆電球だけになる。


「さんきゅー」


俺も隼人の隣の布団に寝転ぶ。


天井をみつめるが、まだ目が慣れてないからだいぶ暗く感じる。


「祐人、運転ありがとな、疲れたろ」


「全然よゆー」



目が少し慣れてきたかなとか思ってたら、

隼人がモゾモゾと動いて俺の布団にのってくっついて来た。




「おいおい」


「やっぱシングルに二人は狭ぇな」


目が慣れてきて至近距離にいる隼人の顔が見える。



「一緒に寝んの?大丈夫、親とかこの部屋覗きに来ねー?」


「寝坊したら呼びに来るかもしらん。ちゃんと隣に祐人いねーと落ち着かねーもん」


「あんま心臓に悪いこというなよ…」


とりあえず横を向いて隼人を抱きしめる


「いやそれはあちぃ」


んだよ!


突き放されて仕方なくまた仰向けに戻った。



それでも、隼人はこつんと額を俺の腕にあてて少し背中を丸めて目を閉じた。



「おやすみ祐人」



「おやすみ隼人」




…寝坊しねーようにちゃんとおきなきゃな。



隼人の額にキスをして、目を閉じた。












目を開けると、カーテンの隙間から強い光がさしていて、朝だとわかった。




横を見ると隼人はまだスヤスヤと寝ている。


体を起こして両腕を伸ばしうーんと体を伸ばす。


欠伸も出た。



この部屋時計あんのかな…

まわりを見渡して、壁に時計がかかってるのをみつけた。


7時か。


ここの家族はみんな何時頃に起きるんだろ。




とりあえず布団から出て、カーテンをあけた。



「んー…あちい」


窓から入ってきた光に反応して隼人が動いた。


「おはよ隼人」


「んー…はよ…何時…」


「7時。」


「はやっ…みんな起きんの8時くらいだって…」


「せっかく起きたし朝活でもしよーぜ」


「んだよ朝活って…」





。。。。。。



(隼人)



祐人に朝活しようと起こされて


持ってきたゲーム機をテーブルにおいて、サイドのコントローラーをひとつずつ持ってゲームを始めた。




ゲームをしていたらあっという間に8時半。



スマホに 『朝ごはんできたよ』と母からメッセージが送られてきた。



「祐人、朝飯だって」


「おー」


キリのいいとこでゲームをやめて、渡り廊下を渡って母屋の居間に向かう。


「おはよー」


「おはようございます」



居間に入ると、コタツ用のコタツになってないテーブルが隅によせられて、

大きい飯台テーブルが出ていた。

じいちゃんと父さんはテーブルを囲んで座っていた。


「おはよー祐人くんよく寝れた?」


「はい、ありがとうございます」


「祐人んな緊張しなくても」


笑えてきた。


くすくす笑っていたら祐人に横腹を小突かれた。



座っていると、

母さんとばあちゃんが次々に取皿やらなんやら持ってきて


あっという間に朝ごはんが揃った。



白いご飯、味噌汁はそれぞれ人数分、

海苔、卵焼き、漬物はどーんと盛られて真ん中に置かれた。

あと洗ってちぎってザルに入ってるレタスとスライスされているきゅうり、ザルごとどんと置いてある。


レタスにつけるようだろうマヨネーズと、海苔用の醤油もドンドンと置いてある。



「隼人ー、祐くん、納豆とヨーグルトいるかえー?」


お勝手からばあちゃんが呼ぶ。


「祐人納豆とヨーグルトたべる?」


「納豆はもらおうかな、ヨーグルトはいいや」


「納豆たべるー!2個!ヨーグルトはいらーん!」


お勝手で、ばあちゃんが母さんに

たぶん、多香子あんたは?と聞いてる。




母さんが納豆を二つ持ってきて俺と祐人の前に置く。


ばあちゃんは炊飯器を持っていて、自分の横にどんと置いた。

水の入った茶碗にしゃもじがいれられてその横に置いてある。



「祐くんこんなごはんだけどごめんねぇ」


「いえいえ!すごい豪華でびっくりしてますっ」


家だとトーストかシリアルか焼きおにぎりチンだ。


白いご飯と味噌汁が朝ごはんにでてくることなんてないからな。



頂きます、とみんなで手を合わせて食べ始める。



まだ食べ始めたばかりなのに、ばあちゃんはしゃもじを掴んで、こっちに手を伸ばした。



「隼人、祐くん、ご飯おかわりは?」



祐人が思わず吹き出してむせた。



そりゃそう、食べ始めたとこだ。


「おかわり欲しかったら言やーよ、よーけ炊いたでね」



「うちのばぁちゃんこんな感じだから」


「予想してたけど想像以上だったわ」


こそこそと話しながらご飯を食べ進める。





みんなが食べ終わると、ばあちゃんと母さんが皿を集め始める。


祐人がオロオロしながらも手伝おうとする。


「あーやらんでええよ、やらんでええ」


あっ、あ、すみません、と祐人が戸惑ってて面白い。



皿を全部お勝手にさげて、母さんが台拭きで飯台を拭く。


「隼人、飯台片付けてくれる?」


「ん」


飯台を立てて脚を折りたたむ。


廊下のすみに立てておいておく。



それからコタツ机を真ん中に戻した。



「祐人どーする?部屋戻る?」


「話しないとだろ?」


「んじゃちょっとここで待っとくか」




じいちゃんはソファーに座って新聞を読んでいる。

父さんはコタツ机の横に座ってテレビ。


母さんとばあちゃんはお勝手。


俺と祐人はコタツ机の横で座ってテレビを眺めた。



しばらくするとばあちゃんが居間に戻ってきて、ソファーに座った。


「あんたたち今日はどうするだね。どっか行くだか?」


「いやーなんも予定してない。どこも混んでるだら」


「ほぉだなぁ、盆だでなぁ。あっ、今日ちょっと行ったとこの公園で盆踊りやるわ、夜。行っといじゃあの。19時にアイス貰えるげな」


「そーなんだ、行く?祐人」


「いいな」


祐人が緊張してる。


ここからどうしようか…



祐人と顔を見合せて、どうする?と首を傾げる。


いざ話すとなると心臓がドクドクなるな…


俺はふぅーっと息を吐いて落ち着かせて、


母さんを呼んだ


「母さん、父さん、ちょっと話たいことあるんだけど」


「あら、なに」



俺の真剣な声のトーンに何かを察したのか、

母さんが座布団に綺麗に座り直した。


父さんもテレビから視線を外して、

俺を見た。



少し横長のコタツ机の向こう側に母さんと父さんが並んで座り、

こっち側に祐人と並んで座る。


じいちゃんは変わらずソファで新聞を読んでいて、ばあちゃんはその隣でテレビを見ている。




祐人の顔を見て、ちょっと頷きあったあと、母さんと父さんを交互にみた。



「俺、…」


心臓が…

バクバクする



「…祐人と、付き合ってる」



一瞬シーンとなった。


テレビの音だけが聞こえる。



母さんがキョトンとしてる。


父さんは首をかしげた。



最初に声を出したのは母さん。


「あらあら、そーなの?あらそー。」


「……うん」



「あらそー…隼人男の人が好きだったの?」


「いや、違う。元々は普通に…女の子と付き合いもしてた。祐人も昔普通に彼女いたりしてた」


「ふーん、そっか。あ、じゃあ、それで一緒に住み始めたの?」


「いやそれも違うくて、一緒に住んだ時はそんな気なくて」


「ん?じゃあいつから?」


「あの、僕が、去年の12月に隼人くんのこと好きだって伝えて、そのときは隼人くんにそういう気は無いって言われたんですけど、僕がすぐにどこかに行ける状況じゃないのわかってて、隼人くんはかわらず家に置いてくれてて」


祐人が、これでいいのかな、って感じで時々俺の方を見るので、

うんうんと頷いてこたえる。


「うん、で、ちゃんと付き合い始めたのは最近。先月。俺も、祐人が必要だなって思って」


「ふーん…そーなの。…だって」


だって、と母さんが父さんの方を向いた。


父さんは、うーん、と言いながら頷いた。



どういう、反応なんだろう…



「だから…俺多分、孫とか…無理だけど…」


「別に孫なんてそんなんどっちでもいーよ。ねぇ」


ねぇ、と言って母さんはまた父さんをみた。


父さんは、少し首をかしげながらも、うん、と頷いた。



「母さんは隼人がそれでいいなら良いよ。よく考えてそうなったんでしょう?」


「うん」


「祐人くんも」


「はい。」


母さんは、にこっと笑ってくれた。


「あなたたちが幸せならそれでいいよ」


母さんがまた、ね?といって父さんをみる。


父さんは、うんうんと頷いた。



すごくホッとした…



。。。。。。


(祐人)



「あなたたちが幸せならそれでいいよ」


そういって笑ってくれた隼人の母さん。



涙が出そうだ。



なんて優しい世界だろう。




「っありがとう、ございます」



涙を堪えてそう言うと、


隼人の母さんがまた、ニコーっと笑った。


「ばあちゃん聞いとった?」


と隼人の母さんがおばあちゃんをみる。


「聞いとったよ。ええよ、なーんでもええよ、ほなら祐くんもまぁそんなかしこまらんと、祐くんも孫ってことだえら?ばぁちゃん孫が増えて嬉しいが」


なあじいさん?とおばあちゃんがおじいちゃんをみると、

おじいちゃんは

なによぉ?

と言った。


「あかんわ。聞いとらせん、」


と言っておばあちゃんは笑った。


俺は涙が零れてしまった。


泣いてる俺をみて隼人が笑ってる。



「やだ、もらい泣きしちゃった。」


といって隼人のお母さんが笑いながら自分の目元を拭っている。


俺は改めて、隼人を好きになってよかったと思った。

結ばれて良かったと思った。

ここに来て良かったと思った。


幸せだと思った。




緊張してるのに、おばあちゃんがどんどんすすめてくるので、朝から白米を3杯もたべた。


お腹も心もいっぱいだ。




。。。。。。。


(隼人)



「ほんであんたち、昼と夜は何食べたいね。なにやつわたろかしゃん」



「祐人なんか食べたいものある?」


「いやもう今なんか…お腹も胸もっぱいでなんも」


「はは、だよな」


米3杯食ってるもんなー


どうせなら家では食べないようなものがいいな。


ここじゃないと食べれないもの…


なんだろ…


「昼は母さんの作ったオムライスで、夜はばあちゃんの揚げたかき揚げ食べたい」


祐人いい?と聞くと、うん、と頷いた。


「よしわかった。ほなら夜は天ぷらな。あんたちが盆踊りでアイス貰ってきとる間にまわししとくで、アイスもらったら帰っといじゃーね」


「んー、わかった」


「ほいじゃあ多香子、つかい行こかね。昼前に行ってこまい。祐くんお酒は飲むだかえ?」


「あ、はい、飲みます」


「普通に喋りゃーて」


ばあちゃんが笑う。


「孫に敬語使われちゃかなわんわ」


祐人がまた泣きそうになってて笑える。



ばあちゃんは昔の人間だから、受け入れて貰えないかもと思ってたけど

あっさりすぐに受け入れてくれたな。



「ほいじゃああんたちもついといじゃあの、好きなもん自分たちで見やぁ」







母さんが運転で、

祐人が助手席、

後部座席に俺とばあちゃん。


普通この場合、俺と祐人がならんで後部座席だと思うんだけど、

ばあちゃんは、シートベルト嫌いだて後ろ乗らせての。と言って後ろに乗った。


一般道でも後部座席もシートベルト義務なんだけどね。


祐人は運転するって言ったけど、母さんが、すぐそこだし道わからんでしょ、って言って母さんが運転。



スーパーにつくと、ばあちゃんがカートの上と下にカゴを置いて、カートを押していく。



「あんたち欲しいもんあったらなんでも入れやーあ」




ばあちゃんは入ってすぐの青果コーナーで、桃をカゴに入れた。

4個入りのパックをふたつ。


それからバナナ。ばあちゃんとじいちゃんが普段食べてる。


ご飯のお供?佃煮みたいなのをカゴに入れている。


年寄りってそういうの好きだよね。



玉ねぎと人参がそれぞれ1袋カゴに入る。


それからキャベツが1玉。


大きなサツマイモを2本。



鮮魚コーナーに来た。



ばあちゃんはキスをカゴに入れた。



「ばあちゃんかき揚げエビ入れてね」


「おーいれるよ」


剥いてある生のエビをばあちゃんがカゴに入れる。



「あんたち菓子はー?飲みもんは?酒どうするね。好きなもん入れやーよー」



「ばあちゃんとじいちゃんはお酒飲まないの?」


祐人はすっかりタメ口でばあちゃんに話しかける。


なんだかんだで、祐人ってこういう人だよな。


認められた瞬間もう家族なんよ。


「ほーだなぁ、1本ビール買ってじいさんと半ぶつのもかなー」


俺たちはビールや酎ハイを全部で6本カゴに入れた。


菓子はどうするねー?何が好きだね。とばあちゃんは聞きながら、ポテチやチョコ菓子などをカゴに入れていく。


特に、これが食べたいっていうお菓子はないのでばあちゃんが入れていくお菓子をただ眺めておく。


「残ったら持って帰りゃえーでな」


でしょうね。



母さんは卵と、肉コーナーでオムライス用の細かく切られてる鶏肉をカゴに入れた。




「ばあちゃんいくらか出すよ」


祐人がそう言うと


「ええて!ええてええて!滅多に来れやへんだらぁ、来た時くらい気にせんでええ」


ばあちゃんが強めにそう言った



こういうときばあちゃんはぜっったいにお金を出させないし、

料理とか後片付けとかそういうのの手伝いも一切させない。



おばあちゃんってそういうものなんだろうな。



帰りの車の中、祐人がばあちゃんに言った


「桃の剥き方教えてよ」


「あーなもな、包丁ちょいとして、つー、つー、つー、と剥くだけだがん」


「わっからんて、ははは」


「まぁええわ、帰ったら1個剥いたるでな。隼人も見て覚えるかね」


「いや。祐人に教えといて。祐人が剥く」


「ほぉんとにもうあんたわぁ」





家に帰ると買ってきたものをばぁちやんと母さんがお勝手で片付けていく。


俺は居間で座ってる。


祐人はお勝手で待ってる。

たぶん桃剥くの待ち。

俺は桃食べれるの待ち。




お勝手からばあちゃんの雑な説明の声が聞こえる。



「こうやって、つー、つー、とな、簡単だら?1個剥いてみりん。ほんでひとつつ隼人と祐くんで食べりゃええで」


「こう…して…こう…あ、意外と剥ける。」


「ほだらぁ」


「え、でこれどうやって切り分けるの?」


「ほなもな、こうやってつつつと切ってったらええだがん、ギュと握ったぁかんよ、やらかいでな」


「おー、これで隼人に家でも剥いて食べさせてやれるわ、ありがとうばあちゃん」


「隼人に食べさせてやっての、あの子桃好きだらぁ、自分で剥かへん言うもんで」


「ははっ、いいよ、俺がやるから」



たすかるー。



少し待つと、切った桃が盛られた皿を持って祐人が来た。

フォークが2つ刺さってる。



「いぇーい桃だ」


フォークが刺さってら桃をとってそのまま口に入れる。


「んー、んま」


甘くて美味い。


祐人がいつもの様に俺が食べたのをみてから自分も口に運んだ。


「ん、甘いな」


「な、美味い。ばあちゃーん!美味いよー!」


お勝手に向かって聞こえるように言う


「おー、そらよかったー」


祐人が桃を食べる俺をみながらくすくすと笑っている。


「んだよ」


「なんか実家にいると隼人子供みたいだな。」


「よくわかんねーけど、実家ってそういうもんなんじゃね?しらんけど」


祐人は楽しそうにくすくす笑いながら桃を口に入れた。




その後はリビングにゲーム機を持ってきて、二人でゲームをして、

あっという間に昼。


母さんが料理する音が聞こえてくる。


トントントントンと野菜をみじん切りにする音、

ジューっと炒める音、

チャッチャッチャッと卵を溶いてる音、


家でも祐人が料理する時に音を聞いてるけど

なんとなくやっぱり母さんの料理の音は、祐人より料理慣れてますって感じがする。


祐人もすげーんだけどね。





オムライスが2つ、俺と祐人の前に置かれた。


それから茶碗に盛られた白ごはんと、スーパーで買った惣菜が父さんの前に置かれた。



「オムライス人数分作るの面倒臭いから、オムライスは隼人と祐人くんだけね。あとの人はご飯と惣菜。」



母さんが耳の遠いじいちゃんに聞こえるように、ソファに向かって


「おじーさんごはん!」


と言った。


じいちゃんは、よぉー、と言って立ち上がった。



じいちゃんとばあちゃんはお勝手にある椅子とテーブルでご飯を食べ始めて


こっちのコタツ机で母さんと父さん、俺と祐人が食べる。


「んー、んまい。」


「それはよかった」



父さんが食べている途中に、母さんに


「俺もオムライス食べたかった」


とボソッと言った



「なにー、先に言ってよ。またこんど作るわ」



まだオムライスが半分残ってるあたりで、ばあちゃんが居間を覗きに来た。



「あんたちアイスは?アイス冷凍庫にあるでね、好きなの食べやーあ」


祐人が笑う。



朝も今も、ばあちゃん早いんだって。まだ食べてんのよ…




もうすぐ食べ終わるくらいのときに、

母さんが話しかけてきた。


「隼人と祐人くんこの後どうするの?盆踊りまで何する?」


なんも考えてないよなー、と祐人と顔を見合わせる。


うーん…


でも確かに家にいてもゲームするかテレビ見るかになるよな。


でも遊べるような室内施設とかは混んでるだろうし…


「あ、ショッピングモールいく?ゲーセンとか行きたいかも。祐人どう?」


「おー、いいな」


午後の予定が決まった。




昼ごはんを食べ終えて、テーブルの上が片付く。


「ばあちゃん俺たちショッピングモール行ってくるね」


お勝手をのぞいてばあちゃんに言う。


「おー、ちょっと待っとりゃあの」


ばあちゃんは洗い物の手を止めて、手を拭くと

お勝手から出ていった。


戻ってきたばあちゃんが、3000円渡してきた。


「なんかおやつでも食べといじゃあ」


「いいって」


と1度は言って返すものの


これがばあちゃんの財布の中に戻らないことはわかってる。


結局、ありがとね、と言って受け取るのである。




部屋からカバンを取ってきて、家を出る。

車に乗ると、祐人はスマホホルダーにスマホをセットして、マップアプリでナビを設定した。



「っし、出発〜」


「おー」



Bluetoothで車に繋いだスマホで、好きな音楽をかけて、

二人で楽しく歌っていたら、目的地に着いていた。





広いショッピングモールの中を、時々服屋や靴屋に入ったりしながらゲーセンを探して歩く。


「せっかくだしなんか服買うー?」


「おー、いいな」


いろんな服屋があるけど、俺たちが服を買うのに選んだのは

ウニクロだ。


シンプルイズベスト。


リーズナブルが1番。


「あ、これ隼人の好きなゲームのキャラじゃん」


「ほんとだ、え、いいなこれ」


「白と黒あるぞ」


「どっちもありだなー」


「俺白にするから、隼人黒にしたら」


「そーするかー。てかオソロかよ、恥ずくね」


「部屋着ならいいだろ?部屋着用ってことで、大きめサイズ買ってこーぜ」






靴屋で自分の好きなスポーツブランド、ニャイキの靴を眺める。


ニャイキのギフトカードを去年のクリスマスに祐人にもらったけど、まだ使ってない。


何に使おうか迷ってなかなか使えないんだよな。



「靴なー、今のだいぶ履き潰してるし欲しいとは思ってんだけどなー」


と言う祐人の靴をみてみると

たしかに結構履き古してる。


「買う?」


「いや、まだいける。靴高ぇしな。もう少し頑張るわ」


何も無い時に買ってもなんかあれだし、クリスマスまで頑張ってもらうか…

クリスマスに買ってやろう。



「ゲーセンのあとでさ、なんか甘いもん買ってこーぜ、ばぁちゃんたちのお土産にさ」


「いいな。プリンとかシュークリームとかなんかそーゆー系買ってこー」






ゲーセンについて、とりあえず一通り何があるかを歩いて見て回る。


みてるとあれこれ景品が欲しくなる。



「隼人、太鼓の名人やろーぜ」


「おーいいな」





ひとしきり遊んでショッピングモールを出て、

マップアプリで近くのでケーキ屋を探して、そこに寄って人数分のプリンを購入。


帰路に着いた。



。。。。。。



(祐人)




ウニクロで買ったTシャツ2枚、ゲーセンでとったぬいぐるみクッション、プリン6個入った箱

行きより少し重い車は、17時頃、無事に隼人の実家に帰り着いた。



めちゃくちゃ楽しかったな。


普段休みの日一緒に買い物に行くけど、日用品とか食料品とか、普通の買い物ばっかりだ。


たまにショッピングモールでちょこちょこっと服見たり、時々外食もするけど、その程度。


お出かけというお出かけはほとんどない。


去年の花火大会、クリスマスのばななの里と、今年の俺の誕生日のデート、先月の海、くらいだ。


もっと、色んなところに一緒に行きたいと思った。



そのためには…ちゃんと、仕事をみつけないと。


今までもずっと探してた、でも、この時間じゃちょっとなー、とか、ちょっと家から遠いんだよなー、とか、なにかしら小さな言い訳を見つけて、今のままズルズルとコンビニを続けてた。


隼人に、両親に挨拶ができないとか、かっこがつかないとか言いつつも、隼人の言葉に甘えて、心のどこかでは今のままで問題ないと思ってたから。


けど、それじゃだめだ。


今回はたまたま夜勤を1日休みを貰ったから来れたけど、

ちゃんと土日休みとか、できれば盆正月に休みもあって、有給もとれる、そういう会社に勤めないとだめだ。


ある程度の妥協はしつつ、大事な条件さえ揃っていれば、思い切って決めよう。




ただいまー、と言いながら

玄関に入って、洗面で手を洗う。



居間にいくと、ばあちゃんじいちゃんがソファ、

隼人の母さんはこたつテーブルを囲んで座っていた。


「おかえりー」



「父さんは?」


隼人が聞いた


「2階でテレビ見てる」



「人数分プリン買ってきた。食べる?夜ご飯の後にする?」



どうする?とお母さんがばあちゃんに聞くと


「わたしゃ今たべたいがね」



と言った。




お母さんと俺と隼人がこたつテーブルを囲んで、


じいちゃんおばあちゃんはソファに座って、プリンを食べる。


お父さんは、お母さんがスマホで呼んだら、後で食べると言ったのでいない。



「うまいなぁ、ありがとね、おおきに」



ばあちゃんがそう言いながら食べる。



「なんか買い物してきたの?」


食べながらお母さんが聞く



「ウニクロでTシャツ買った」


「ふーん」



ザ他愛もない会話って感じだ。



穏やかで平和な時間。




「ちょっと部屋で休もーぜ、人多かったしちょっと疲れた」


「ん、じゃあ盆踊り行く時間までちょっと休憩するか」


プリンを食べ終えると、俺たちは1度寝室に向かった。




渡り廊下を歩いて、離れの部屋のドアを開ける。



「あっっつ」



隼人がすぐにエアコンをつける。


買ってきた服が入ってる袋を、着替えとか入れてきたスポーツバッグのそばに置く。

布団に仰向け転がった隼人の横に座る。

膝を曲げて座って、おしりの横少し後ろに手をついた。


「祐人は寝ねーの?」


「んー、そんな眠くねーかな」


「俺寝る。盆踊り何時に家出る?」


「歩いて10分くらいだった?」


「うん、たぶん」


「んじゃ18:30くらい?アイス貰えんの19時だったろ。念の為に18:15?」


「んー、だな。じゃあ18時に起こして」


「おー。おやすみ」



隼人が、おやすみー、と言って、俺の方を向いて横向きに体勢を変えた。

それから俺の左手の上に自分の左手を重ねて、少しきゅっと握って、目を閉じた。


神よ、何故彼はこんなに可愛いのだ。

何故こんなに愛しいのだ。



しばらく隼人の横顔を眺めてから、

左手は動かさないよう、右手で、右のポケットにいれていたスマホをとりだす。



登録している転職サイトを一通りチェックしてから、


岐阜、観光、夏、涼しい、日帰り、等の単語を入れて、検索サイトで明日遊びに行けそうな場所を検索した。


行くかはわからないけど、調べとけば隼人に提案はできる。



ほうほう、滝かー、ありだな。

岐阜って結構山なんだなー。

牧場、山の方だから涼しいのか。楽しそうじゃん。

ボート乗って川下りするやつも面白そうだなぁ。

水族館はたぶん激混みだからパスかな。

そんなに人多くなさそうで、涼が取れるところで、

楽しそうなとこ。

隼人と一緒ならどこでも俺は楽しいけどな。


牧場の里か、滝がいいかな。

隼人が起きたら聞いてみよ。


俺は明後日仕事だから、明日一日遊んで、そのあと直帰になる。


隼人はまだ明後日と明明後日休みだから、しっかり遊んでもちゃんと休めるしな。


俺は若いからいける。

地獄の会社で鳶職やってた男を舐めるなって感じ。


いや、時間によっては帰る前にここ寄ったほうがいいかな。

ばあちゃん桃持って帰りーって言ってたし、持って帰るもの一日車に入れっぱとかよくないかもしれん。


まぁもちろん明日行くかはわからんけどな。隼人次第。



行くか分からないのに俺は営業時間や入場料等を入念に調べて、

もういちど転職サイトを確認して、

18:00にアラームをセットした。


それから自分も座ったまま少しウトウトした。




18時、隼人を起こして、スポーツバッグの中から持参していたハンディファンを2つ取り出す。

隼人と一緒に母屋の居間にいくと、

おじいちゃんとお父さんがいた。

お母さんとばあちゃんはお勝手にいた。

居間に置きっぱなしだったボディバッグから、財布を取り出してポケットに突っ込む。



気ぃつけて言っといじゃあね

と見送られて、

家を出る。


首から下げられるハンディファンって文明の利器だな。

真夏は18時過ぎでも暑い。



右手はスマホ。

遠くは無いけど知らない場所なので一応マップアプリを開いて、目的地の公園までナビをつけておく。


左にいる隼人に向かって下の方で少し手を伸ばすと、

あっさり手が繋がった。


隼人を見ると、

何食わぬ顔で前を向いて歩き続けていた。


「へへっ」


思わずにやけた


「んだよ」


隼人が眉間に皺を寄せて見てきた


「なーんも」


俺はニヨニヨしながら繋いだ手を少し前後に揺らした。



「あ、隼人、明日さ、隼人がよければやっぱ遊びに行かねー?」


「んー、どこに?どこも暑くて人多いんじゃね?」


「隼人が寝てる時に調べといたんだけど、滝とかだったらそんな暑くねーかなーって、あと、牧場の里ってとこ、山の方だからそんな暑くないらしい」


「へー」


「牧場の里は高速使って1時間半くらい。滝は候補がいくつかあんだけど」


「いいじゃん、牧場の里。CMみたことある、あのー、ぼーくじょの里〜♪ってやつ。何があるかよく知らねーけど、牧場ならソフトクリームとか美味そう。行こいこ」


「ほんと隼人って変にあっさりしてて潔いいよな…決めんのはえーのよ。」


「んー、いやなんかさ、今日ショッピングモールで遊んでて楽しかったんだよなー、祐人と一緒にでかけんの楽しいから」


同じ気持ちでいたことがたまらなく嬉しく、

少し微笑みながら 一緒に出かけんの楽しいから と言った隼人の横顔をみていると、なんかドキドキした。


「はぁ……すき」


「んだよ急に」


心の声が漏れた模様。

隼人はまた眉間に皺を寄せて俺を見た。


俺は調べていた営業時間や入場料、家まで帰る時間などを隼人に伝えた。


「で、俺的には、開く時間が9時だから、それ目指して行けば、早めに、店が混む前に昼ごはん食べれるし、ばあちゃんち寄って家に帰っても、夕方には全然帰れるかなーって思ってる」


「おー、いいじゃん。えー楽しみだな。牧場ってことは馬とかいんだろ?」


「いるいる、乗馬体験とかあったはず。アルパカとかモルモット的なのもいるらしい」


「やべー楽しそう。ソフトクリームあるよな?」


「あるある」


隼人がルンルンで嬉しい。


話してる間に目的地に着いた。


スマホをポケットにしまう。



公園の真ん中に小さな櫓が組まれていた。

近所の子供だろうか、子供が多くいて、小規模な盆踊りって感じだ。



キッチンカーが3台ほどとまっていて、どれにも人が数人ずつ並んでる。



「なんかいい匂いすんなー」


「なんか買う?財布持ってきてるよ」


「いやーばあちゃんが天ぷら作ってくれてるしな、我慢する」


「また今年も家の近くの花火大会いこーぜ、んで、屋台メシはそのときな」


「おー」


アイスが配られるまで時間がある。

俺と隼人はとくに何を買う訳でもないが、くるっとあるいてそれぞれのキッチンカーで売ってるものなどを眺める。


少し開けたスペースでは子供が水風船を釣ってあそんでいる。


小学生以下無料、水風船2個まで。と手書きのボードがある。


お金出したら大人もやれるの?って聞く人はいないだろうな。

これは暗に小学生以下専用と言ってるようなものだ。


実際、大人は1人もやっていない。

小さな子供の補助に入ってる程度だ。



「なあ祐人」


「んー?」


「あれ、大人はいくらでやれるんだろ。やりたくね?」


お前まじか。

可愛いが過ぎない?

ピュアかよ!


「んだよその顔」



いや、ここで、大人は幾らですか?って聞くのめちゃくちゃ恥ずいけどな?


この子供たちの中にひとりだけ大人が混ざって水風船とるの大分勇気いるけどな?



隼人の為ならそりゃ聞くし取るよ??



「やりてーの?」



隼人が少し首を傾げて考えたあともう一度水風船釣りを眺めて、不貞腐れたように少し口を尖らせて、


やっぱいい、と言った


「いいの?いくらか聞いてこよーか?」


隼人は、首を横に振った


「子供の分無くなったらわりーし。子供にからかわれそう。」


「ははっ、可愛いヤツめ」


隼人の髪をくしゃくしゃと撫でると、

隼人は、やめろよ、と言って払い除けて、またつーんと口を尖らせた。


それでも手は繋ぎっぱなしなの面白いし、ニヤける。




19時に、本部、とかかれたテントのまわりで、アイスが配られ始めた。


わーっと子供たちが集まる。


子供たちの波が落ち着くと、大人が遠慮がちに近寄っていく。


その中に混じって俺らも無事にアイスを1つずつ貰えた。



「食べながら帰る?持って帰って冷凍庫いれといて夕飯の後で食べる?」


「食べちゃおーぜ、これくらいじゃ腹膨れねーし、すぐ溶けそう」



その場で、貰ったゴリゴリ君ソーダ味の袋を開けて、用意されていたゴミ箱にすてる。


隼人は左手でアイスを持って、俺は右手でアイスを持つ。


そしてお互いまた何も言わず手を繋いだ。


迷うほどの道じゃなかったから帰りはマップ無しで行ける。たぶん。


暗くなったけどたぶん大丈夫。



「んー、んめえな。外で食べるアイス」


一言喋って、またアイスをかじる隼人。


「だなー」


「今日なんかいろいろ食ってんなー」


また喋って齧る


「んー?」


俺は齧りながら返事をする。


「桃食ってプリン食ってアイス食って、今から天ぷらだぜ?しかもたぶんたらふく食わされる」


「ははっ、たまにはいいだろ。盆休みの実家だし」


「んー」


「じゃあ帰ったらしばらく夜ご飯お茶漬けだけとかにするか?」


「んー…」


「考えるんだ、ははっ」



またアイスを食べながら少し話をしながら、歩いていたらすぐに帰り着いた。


行きより帰りのが同じ道なのに早く感じるってあるあるだよな。


俺たちは繋いでいた手を、実家の敷地に入ったあたりでお互い日ゆるっと離した。



「ただいまー」

と言いながら玄関を入る。


台所の方から、じゅーっと揚げ物をしている音と、揚げ物の匂いがしてきた。



隼人とお勝手を覗いて、改めて、ばあちゃんとお母さんに、ただいまーと声をかける



「まぁできるでな」


とばあちゃん


「アイスなんだった?」


とお母さん


「普通にゴリゴリ君のソーダ味だった」


と隼人。



俺たちはアイスの棒をゴミ箱に捨てて、洗面で手を洗って居間に入る。



朝と同じように、こたつテーブルが隅に寄せられて、

大きな飯台テーブルがでていた。


テーブルの上には取り皿と箸、ソースと塩、千切りのキャベツがザルに入ってドンと真ん中に置いてあった。

あと、グラスも真ん中に人数分置いてあって、2リットルの麦茶がドンと置いてある。


座って待っていると、お母さんがご飯が盛られたお茶碗を持ってきて、俺と隼人の前に置いた。


お父さんとおじいちゃんにも持ってくる。


それから、ばあちゃんが片手に菜箸、片手に、切り開いた牛乳パックの上にキッチンペーパーを敷いて、その上にかき揚げが四つのせたものを持ってきた。


かき揚げののった切り開かれた牛乳パックをテーブルの上にドンと置く。


「アツアツたべやーよ、あついでな。まだぎょーさんあるで、遠慮せんで食べやーね、ご飯もよーけ炊いたで」


といってまたお勝手にもどっていく。


また、ジューーーっと音が聞こえてくる。



「いただきまーす」



といって、隼人は机の真ん中につまれていた取り皿を1枚取り、その上にかき揚げをひとつとる。


「祐人も食べや」


「おー、いただきまーす」



俺も隼人と同じように皿を取り、かき揚げをのせた。


「塩かソースは?」


「塩ちょーだい」



エビと玉ねぎと人参のかき揚げ、うま。


なんだろう…………うま。




「ばあちゃんうまーい!」


隼人がお勝手に向かって大きな声で呼ぶ。



「おー、いっぱい食べやー」


ばあちゃんから返事が返ってくる




「うまいなー」


「んー、うまい」



「じーちゃん食べんの?」


座ってぼーっとしていたおじいちゃんに隼人が食べながら声をかけた


「食前の薬飲んだばっかだもんでなー、あと五分くらい食べれんのだわ」


そっかーと言って隼人が米を口に入れた。


「食前の薬飲んだばっかってどーゆーこと?」


コソッと隼人に聞く


「じいちゃんめっちゃ真面目でさ、食前の薬は食前30分なんだよ。飲んだら30分まってから食べんの」


「まじか…食前の薬なんていつも食直前に飲んでたわ」


「俺も俺も。忘れたら食後に飲んでるし」


「だよな」



食べてる間にまた次のかき揚げが来る。



それを食べてるとまた次、かきあげ、


それから次は、キスの天ぷらがきた。


その次はまたキスの天ぷら、


その次はサツマイモの天ぷら。


「まんだあと芋あるでな。」


ばあちゃんは菜箸を片手に掲げてそう言ってお勝手に戻って行ったけど


もう腹いっぱいだ。



「ばあちゃんもう腹いっぱいだよ」


隼人ナイス。


「おー、ええとこでやめやえーよ、残ったら明日食べるで」



「祐人は?」


「腹いっぱい」



「だよな」


と言って隼人が、ケラケラっと笑った。


また、お腹も心もいっぱいになる。



「あ、父さんプリンたべた?」


「あー、たべた。美味かった、ありがとな」


「おーよかった」



隼人はグラスに数口残っていたお茶をゴクゴクと飲み干すと、ごちそーさま!と言って手を合わせた。



隼人がお勝手に入っていく。


お勝手にあるテーブルとイスの方へ行くのがみえた。


俺もごちそーさまと手を合わせてから、隼人の方に行く。


隼人はお勝手の椅子に座っていた。向かいの椅子にはお母さんが座っている。

俺がお勝手に入ると隼人は立ち上がって、俺に座るように促した。


椅子に座ると、隼人は俺の上に座った。


俺は隼人が落ちないよう隼人の腰に手を回して腹を優しく支えた。



「俺たち明日でかけるわ、朝7時半くらいにでるから朝ごはんいい」


「あそう、どこいくの」


「牧場の里」


「へー、いいね、あっちなら山だから涼しいかもね」


「なにー、どこいくって?」


「牧場の里」


「あーんな遠くまで行くだかん!」


「そんな遠くないって」


「ほーぉ、気ぃつけて行きゃーよ」


「おー、昼過ぎとかに1回ここ寄って、それから愛知帰る」


「ほいじゃあ午前中に桃買っといたるでな、ちゃんと取りにおいじゃーあ」


「うん、ありがと」


「あれ?隼人、食後の薬は?飲んだ?」


「あ、まだ飲んでねーや」


「薬飲んでるの?なんの?」


お母さんに聞かれて、隼人が、あー言ってなかったと小さく呟いた


「ちょっと前に怪我してさ、そんときのショックでちょっとPTSDっとぽくなって、パニック発作何回か起こしたんだよね、で、安定剤みたいなの飲んでる。」


「そうなの?大丈夫?」


「今はもう全然。怪我した時も、そのあとしんどかったときも祐人が居てくれたから平気」


「うん、なら良いけど」



みんなのご飯が終わると、俺と隼人は風呂に入るよう言われた。



「いっぺんで終わるに、一緒に入っといじゃーの。そのが早よ寝れるに?」



「えー…どうする祐人」


「いや、どっちでもいいけど…」




俺らは一緒に風呂に入ることになった。


一緒に風呂とか、修学旅行ぶりとかだな。



「さっさと入って早く寝よーぜ」


付き合う前は手を繋ぐのにも照れていた隼人は

潔く俺の目の前でパパっと服を脱いで全裸になって、風呂に入って行った。


俺も服を脱いで後を追う。



ふたりで交代でささっと体と頭を洗い、湯船に入った。


「男二人ではいるには狭いな」


「だな」


「昔は従兄弟たちと一緒に入ってたからばあちゃんへいきだとおもったんかな。大人二人は狭いわ」


「ははっ」


「あ、祐人、明日俺が運転な」


「は?!」


風呂に俺の声が響いた


「うるせー、お前明後日仕事だろ?俺休みだし。ここ来るのも祐人が運転だったじゃん、ちよっとは休めよ」


「いやいやいや、俺運転苦じゃねーし、鳶職時代現場いくのに4時間とか5時間とか普通だったからな?遠出は男がかっこよく運転してく決まりだろ?!」


「いやそんな決まりねーよ。てか俺も男だしな」


「まじでおれよゆーだから」


「だめ。俺が運転。じゃなきゃ行かねー」


「ぐっ…」


行かねーと言われたら、これ以上ごねるわけにはいかない


「んいや、せめて、じゃあさ、牧場の里の行き帰りは俺、ここから家に帰るのは隼人、とかにしねー?な?…な?」


隼人はうーーーんと考えたあと


「牧場の里の行きだけならいい。帰りから家までは俺」


「んーーー………わかった」


「よし」



あついのでそうそうに湯船から出る。

バスマットの上で体を拭く。


隼人に場所をかわり隼人もバスマットの上で体を拭く。


俺は置いておいたパンツを履いて、寝巻き用のダボダボのシャツを着て、同じく緩めのハーフパンツを履いた。



歯磨きも済ませて、みんなにおやすみと挨拶をして、俺たちは寝室に向かった。


風呂の前、着替えを取りに来た時にエアコンをつけておいたので部屋は涼しくなっていた。



隼人は昨日と同じように、布団に大の字に倒れ込んだ。


俺も電気の紐を引っ張ってコダマにしてから、布団にドーンとねころんだ。


「んー、今日楽しかったなー祐人」


「だな。」


「牧場の里ってなにがあんの?行ってなにすんの?」


「動物と触れ合いができたり、なんか物作れたりするらしい。あとばななの里みたいに花がいろいろ咲いてってかいてあった。ああ、ソフトクリームもある。あと飛騨牛のBBQとかあるらしい」


「へー、明日牧場の里向かってる時にちょっとサイトみてみよっかな」


「酔わねー?」


「酔うわ」


「ははっ、んだよ、」


「今見よ」


と言って隼人は枕の上の方に充電器につないで置いてあるスマホに手を伸ばした。



「祐人はもう寝てていい、俺もちょっと見たら寝る」


「んー」



俺は明日を楽しみに目を閉じた。



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